100億企業化

100億企業化へのM&A―①―

2025.09.17

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いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
株式会社船井総合研究所 取締役専務執行役員兼、
株式会社船井総研あがたFAS 代表取締役社長の出口 恭平です。

船井総研グループでは、2025年の1月に、事業承継・M&Aを専門とするグループ会社、船井総研あがたFASを立ち上げ、譲渡側・譲受側両方のM&Aのサポートをおこなっています。
100億を目指す企業の皆様にとって、選択肢の1つとして情報収集いただきたいテーマですので、本コラムにて詳しく解説させていただきます。

M&Aという選択肢

かつては、M&Aというと、大企業同士のお話が多かったのですが、中堅・中小企業にもM&Aが浸透してきました。日本企業が2024年に関わったM&A(合併・買収)の件数は4,700件と、データを遡れる1985年以降で最多となり、当然これには多くの中堅・中小企業のM&Aが含まれています。

船井総研が100億企業化プロジェクトの中でコンサルティングをさせて頂いている会社のスタートラインは、売上高20億~50億の会社様が多いですが、この規模の会社様の成長戦略には、M&Aが十分に選択肢に入ってきます。

例えば、これまでは自前で店舗展開してきたが、M&Aで同業他社にグループインしてもらって、店舗を拡大していく、展開エリアを拡大していく、M&Aで自社の事業とシナジーを見込める周辺業界に進出する、或いは、新規事業に参入するのに、自前で展開するのではなく、異業種の会社をM&Aして、スピーディに新規事業を立ち上げる、等々です。

より詳しい内容を、コラム化していますのでぜひお読みください。

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戦略的M&Aの進め方

「戦略的M&A」についてお話する前に、100億企業化の途上にある企業、即ち、売上高20億~50億の企業の実情として、以下のようなお悩みがある場合が多いです。

・今まで自前で成長してきて、M&Aをやったことがないのでイメージがつかない。
・M&Aの担当者や経験者がいないので、具体的にやれるイメージがわかない。
・M&A会社から案件が持ち込まれることはあるが、欲しい案件が持ち込まれないので、期待していない。
・M&A仲介会社から色々な案件が持ち込まれるが、多種多様で判断しづらい。

表現が難しいのですが、当社としては、M&Aは今まで取り組んだことがない企業様にとっては、今までの延長戦ではない特殊なものには違いないのですが、かといって、今までお考えだった経営と全く別で考えると、かえっておかしくなると考えています。

例えば、リフォーム会社A社が成長戦略として、拠点展開を計画している。5年間で、20拠点を展開したいと考えている。その中で、自前で展開する方法と、M&Aで同業をグループインして展開する方法を両軸で追いかけていく。
或いは、介護事業を展開する会社が、多角化するために、障がい福祉事業を展開することを計画する。その際、自前で展開するパターンと、M&Aするパターンを検討する、という具合に、自社の経営戦略と一体で考えて頂く方が成功確率が高いと考えます。

そうではなく、自社の経営戦略と関係なく、案件があるから、または条件が良いから、ということでM&Aに踏み切ったり、ということになると、失敗するケースが多いです。

一方で、自前で展開することだけを考えると、無理に思われた拠点展開や、新規事業展開が、M&Aまで選択肢に含めると、実現可能性を帯びてくる、というのもまた事実です。
或いは、自社の戦略に沿って、と言っても、自社はA市でリフォーム事業を展開しているから、次に拠点展開するとしたら隣接しているB市である。B市のリフォーム会社で条件の良い譲渡案件があれば、検討したい、というのは、一見、戦略的に考えているようで、非常に実現可能性が低いことになってしまいます。

M&Aを経営戦略に組み込んで、実現可能な戦略を描くためには、ある程度、実際に当該分野でどのようなM&Aが実施されているのか、どれぐらい譲渡案件があるのか、価格感はどれぐらいなのか、という情報をどれだけ持っているか、が決め手となります。

良い相手を見つける

上記にて、100億企業化へのM&Aは自社の経営戦略に沿って、実施すべし、ということを書きました。
「何を当たり前のことを!」とお𠮟りの声があるのも、良く分かります。

しかし、現実的には、自社の経営戦略に沿って、かつ現実的なM&Aを実行していく、というのは、M&Aが初めての企業様には難しいことです。

上記にも例に挙げましたが、
「自社はA市でリフォーム事業を展開しているから、次に拠点展開するとしたら隣接しているB市である。B市のリフォーム会社で条件の良い譲渡案件があれば、検討したい」
というのは、一見戦略的に考えているようで、そんなに都合よくB市の同業者の譲渡案件が出てくるわけではないので、非常に実現可能性が低いことになってしまいます。

実際に実現可能な、M&A戦略を描くとなりますと、自社の戦略を一定程度大きく描いた上で、それにマッチした対象企業を探索していく、ということになります。

例えば、売上20億円のリフォーム会社が、売上を25億にすることを目標として、隣接するB市のリフォーム会社をM&Aしたいと考えても、案件が出てくる可能性は低くなります。

しかし、この会社が、
「100億企業を目指して、同県内でリフォーム会社をM&Aしたい。更に、新築事業も展開するために同県内の住宅会社もM&Aしたい」
となると、マッチした譲渡案件が出てくる可能性は格段に高まります。

もちろん、自社のキャパシティを超えて、全国どこでもよいから同業者をM&Aしたい、というように線戦線を拡大しすぎて、実際にはマネジメントが出来ずに、失敗するということもあります。
従いまして、戦略策定・計画策定において、地域や業種をどこまで広げるのが適切なのか、M&Aのターゲットをどこまで広げるか、どこまで絞るのか、ということが非常に重要です。

我々の経験則からすると、経営コンサルタントとしては意外な結論が導かれます。それは、自前での展開のみを想定する場合より、広く考えた方が良い、ということです。
経営コルサルタントとしては、ついつい、びしっと切れのある答えを示したいために、かなり絞り込んだ作戦を立てがちなのですが、絞り込みすぎるとM&Aの対象は極めて限定され、候補企業数が確保できない、ということになります。
それよりも、自前で展開する場合よりも間口を広げて、広めに戦略オプションを想定するほうが、M&Aの対象と出来る企業も増え、現実的にM&Aを実行できる可能性が広がります。

自社で展開する場合は、自社の強みにフォーカスして戦略を作るため、逆に言うと、それによって限定してしまう部分が出てくるのですが、M&Aでは、むしろ自社にはない強みを獲得できる可能性があるのです。
これは、はじめてM&Aを考えられる社長が陥りやすいケースの1つかと思いますので、再考のきっかけにして頂ければ幸いです。

貴社の事業や実情に合わせて、100億企業化に向け、どのようなM&A戦略の選択肢があるのか、現実的にどのような戦略的M&Aが可能か、一度自社の選択肢としてご検討いただいては如何でしょうか。
当社・当グループでは、様々な業界のM&Aの状況を把握・情報提供に努めていますので、ご関心のある方はお問い合わせいただければ幸いです。

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この続きは、100億企業化へのM&A―②―にてお読みください。

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出口 恭平

執筆者名:出口 恭平

関西大学社会学部卒業後、2004年 船井総合研究所入社。
2005年から法律事務所のコンサルティングを開始し、日本における士業分野のコンサルティングを創出・確立した。
社会性と収益性を両立する経営を一貫したテーマとし、2014年から医療・福祉・教育分野の責任者として、同部門を主力部門に成長させた。
2020年3月、船井総合研究所 取締役 専務執行役員に就任。
2025年1月、M&Aと事業承継を専門とする、船井総研あがたFASを設立し、代表取締役社長に就任。

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