100億企業化

広告と価格の関係

2019.09.24

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お手伝いしている食品会社の通販顧客の新規開拓のために、昨年の歳末ギフトの時期にある全国紙に新聞広告を出しました。
 
結果的には980円のお試し商品が6200個売れました。食品の通販の場合、顧客を一人開拓するコストが3000円~5000円と言われていますので、今回の場合、広告費から計算すると開拓コストは1件@160円程度になります。通常の20倍程の広告効果を出したことになります。
 
とにかくスゴイ反響で朝から電話が鳴り止まず、FAXとネットから注文が入り続けたそうです。
 
今回はこの大当たりした新聞広告の事例を検証してみたいと思います。成功要因は2つあります。
 

【与件整理】
・広告主:農業生産法人
・商品:みかん5キロ
・価格:980円
・強み:生産から販売までの一貫体制

 
★成功要因1.価格
船井総研では、予算における数字の基本理論を持っています。
 
お客様は予算を「1、2、3、5」で考えるというものです。例えば、ギフトを買うときに、1000円、2000円~3000円、5000円かで考えるというものです。1000円が予算帯のお客様は2000円の商品は買わないということです。
 
今回の場合、競合調査やこれまでの経験からみかんの予算帯を2000円と仮定して企画を考えました。
 
2000円が予算帯のお客様に新聞広告を見て興味を持ってもらえる価格はいったいいくらなのでしょうか?
船井総研の価格理論で考えると、以下のようになります。
 
■客予算と価格の根源的分岐点

・2000円予算帯=下限1800円~上限2700円
・1000円予算帯=下限800円~上限1800円
 
今回の980円という価格が当たったのは、2000円が予算帯のお客様で見ると、1800円の分岐点を越えて、800円の2段階目の分岐点に近い数字だったので、超目玉商品としてインパクトがあったのだと分析しています。結果的には2個購入した人も多くいました。
 
これを価格の「根源的分岐点」と言います。これは人は価格に対して「4、8、18」という価格で考えるというという数字の考え方です。 980円で言うところの800円と1800円です。
 
この「1、2、3、5」「4、8、18」はすべての商品やサービスの価格に当てはめる事の出来る心理的な数字だと思います。
 
ボジョレーヌーボーが発売になった際も、通常1800円以上のフルボトルに対して、イオンやドンキホーテがペットボトルを使って、750円~880円のバリュー商品を開発したのもこの「根源的分岐点」の価格理論で説明することが出来ます。
 
みなさんが扱っている商品の予算帯を把握すること、その上でいくらの価格を付けるのか?
 
この価格に対する姿勢は、不景気で価格に敏感な今の経済状況を考えると極めて重要です。
 
お客様が喜ぶ価格を考える必要があります。
 
 
★成功要因2.クリエイティブ
今回の場合は新聞広告ですので、自動車、ビール、旅行、薬、書籍、健康食品、地域産品などなど数多あるの広告の中からいかに目立ち、商品やブランドの特性を伝えられるかが勝負になります。以下、広告を制作する上で留意したポイントを整理します。
 
ちなみに、広告業界は大不況で、かなり広告料金も下がって来ているので、今までマス広告には手が出なかった企業でも出稿できる様になっています。
 
・ポイント1.価格の理由
 なぜ安いか?「生産者直販」「豊作」「初めての方のお試し企画」など通常価格からの割引の理由が明確。
 単純な値引きではお客様は反応しない
 
・ポイント2.スーパーカスタマー
 商品の理解者の代表として、著名人、有識者の推薦は効果的。
 今回は地元出身の文化人の方に推薦コメントをお願いしました。
 
・ポイント3.反響体制
 新聞を見たお客様が電話、FAX、ネットからストレス無く注文が出来る導線の確保
 
・ポイント4.時流適応
 節約志向が強い消費トレンドなので、今は「送料無料」が必須
 
・ポイント5.限定感
 数量、期間を限定をする事でお客様が行動しやすくなる
 
・ポイント6.明確化
 「何屋の広告か?」が一目瞭然解るようにする。多くの広告の中のひとつである事を忘れてはならない
 
・ポイント7.安心感
 食品の場合、商品の安心・安全に対する担保が購買決定の決め手になる。産地、生産の顔が見える広告は◎
 
以上です。
 
そもそもの魅力的な商品力がある事が前提ですが、戦略的な価格設定と効果的な伝わる広告クリエイティブが、通常の20倍の効果を出した新聞広告の秘訣というわけです。
かっこいい広告を作っても売れないと何の意味もありません。
 
この次の打ち手は、この約6000人のお客様をリピート化することです。この場合、リピート商品の価格設定がポイントになります。
 
1000円の予算帯の商品を購入したお客様なので、次の商品の価格の上限は1800円であると考える事が出来ます。
 
今年も景気は良くならないと予想されますが、原理原則を知って正しい努力をすれば、不景気でも商品は売れます。

最終更新日:2025.11.11

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鈴木 温大

執筆者名:鈴木 温大

埼玉県出身、新卒で船井総研に入社。
コロナ禍において、多くの中堅中小企業が赤字経営や倒産に追い込まれる状況を目の当たりにし、この国を支える企業のために尽くそうと決意する。
売上高10~50億規模の100億企業化に向けて、OA機器・運送・自動車・小売りなど幅広い分野に関わり、売上拡大に向けたロードマップ策定・組織変革・新規事業立ち上げを中心に従事。
「ジャパンアズナンバーワンをもう一度。」をモットーに、日本経済を底上げしたいという思いのもと、売上100億を実現することで日本企業のトップ1%化を目指す支援を日々行っている。

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