100億企業化

中期経営計画は不要?これからの時代に必要な経営視点

2021.08.18

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この低成長時代でも、持続的に二桁成長し続けている企業の経営者の方々にインタビューさせていただき、ハッとした発言が「私たちの会社では、中期経営計画は作っていません」というお言葉です。
私たちは経営コンサルタントという立場で、過去何度も中期経営計画づくりをお手伝いしており、中期経営計画の必要性を強く感じておりました。しかし、成長を続ける経営者が何名も口を揃えてお話されているということは、ここに成長し続けるヒントがあるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、「なぜ、中期経営計画が要らないのか」「では、どうしたらいいのか」について、お伝えいたします。

“いままでの”中期経営計画づくりが不要と言われる理由

① 「積み上げ式」中期経営計画では、実現性の低くなる
一部、停滞したタイミングはありましたが、戦後の日本経済は急成長しました。ひとつの要因として、人口増加でした。人口は戦後7,200万人でそこから、2008年には1億2,800万人のピークを迎えましたが、実に約80%近く人口が増えております。
つまり、人口が増えるのが当たり前化しており、人口増加とともに中期経営計画の数値も右肩上がりで上がっていく計画が立てやすかったのです。しかし、2048年の人口は1億人を下回ると言われており、明らかに市場環境が異なります。昨対から◯%増やし続ける、いままでの積み上げ式(フォアキャスト視点)では計画の実現性が低くなり、中期経営計画の立て方を変える必要性があります。

② より先が読みにくい時代に突入し、修正が効かない
コロナ禍だけでなく、今後はより先行きが不透明な時代と言われ、よりテクノロジーの進化により、いままでの常識が通用しません。
多くの企業の中期経営計画が修正を余儀なくされたのではないでしょうか。今回のコロナに限らず、変化に柔軟できる体制や仕組み、組織づくりが求められます。

③ 中期経営計画は誰のため?社員の心に響かない
特に問題なのが、経営陣の数値目標と戦略づくりのためになっている場合です。年間のスケジュールの中で、中期経営計画を作るタイミングが決まっており、計画づくりが目的になっているケースです。
社員数100名前後の場合、社員に計画を理解して実行できないと、業績は上がりにくいですが、中期経営計画が経営陣止まりになっている場合、社員が「心から計画を実現したい」と思えていない可能性が高いです。

では、これからの時代どうしたらいいのか

「経営陣も社員で共に実現したいビジョンを明文化する」ことが重要です。特に、伸びている企業の特徴として、理念・ミッションに基づいたわかりやすいビジョンになっている点です。※ビジョン=目指したい姿
しかし「わかりやすい」というのは、どういうことでしょうか。それは、根底となる理念やミッションが「誰が見ても理解できる内容になっている」「定義が決まっている」「関係性が理解できる」、になっていることが重要になってきます。その根底の上で、どういう姿になるのか?を本気で突き詰めている会社が伸びております。

数値をどのように扱えばよいか

ビジョンは「目指したい姿」であり、ある程度具体的にしないと社員へ伝わりません。そこで、◯年後に「我々はこんな会社になっていたい」「そのために我々はこんなことをしたい」というような、経営陣と社員の「したい」を言語化した定性的な状態をイメージするのが良いです。数値はあくまで、その定性的な状態を表す表現であり、必達目標ではありません。
一方で、ビジョンを実現するための道筋が必要です。そこで活用されるのが「ビジョンから逆算した中期経営計画」です。◯年後のビジョンを実現するためには、逆算すると段階的にはこのくらいの状態になっている必要がある、そのためには、数値としてはこのくらい必要、という逆算した1~3年程度の中期経営計画は必要です。(バックキャスト視点)

最終更新日:2025.11.11

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鈴木 温大

執筆者名:鈴木 温大

埼玉県出身、新卒で船井総研に入社。
コロナ禍において、多くの中堅中小企業が赤字経営や倒産に追い込まれる状況を目の当たりにし、この国を支える企業のために尽くそうと決意する。
売上高10~50億規模の100億企業化に向けて、OA機器・運送・自動車・小売りなど幅広い分野に関わり、売上拡大に向けたロードマップ策定・組織変革・新規事業立ち上げを中心に従事。
「ジャパンアズナンバーワンをもう一度。」をモットーに、日本経済を底上げしたいという思いのもと、売上100億を実現することで日本企業のトップ1%化を目指す支援を日々行っている。

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