100億企業化
【100億宣言】小平株式会社、110年以上の歴史を礎に描く「地域共創とグローバル展開」の次世代戦略
2026.04.16
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以上の時を経て、同社は今、大きな変革期の只中にある。地域に根差したエネルギー事業を基盤としながら、IT、貿易へと多角化を推進。さらに、一度は分かれたグループ会社との再統合を目前に控え、売上100億円企業という次なるステージを目指している。安定した収益基盤と、爆発的な成長事業を両輪で駆動させ、その経営資源を地域社会へと大胆に還流させる。
その独自の経営モデルは、人口減少や産業空洞化といった課題に直面する多くの地方企業にとって、持続的な成長を実現するための新たな羅針盤となりうる。本記事では、4代目として改革を牽引する小平勘太社長への取材に基づき、その軌跡と展望を紐解いていく。
- 企業情報
- 会社名
- 小平株式会社
- 設立
- 1965年(昭和40年)グループ前身は1912年
- 従業員数
- 75名
- 事業内容
- エネルギー事業、DX事業、グローカルビジネス事業
- 100億宣言
- https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/01221-00.pdf
- 会社HP
- https://www.kobira.co.jp/

目次
世代を超えた再結集、兄弟で紡ぐ新たな100年の計
小平株式会社の歴史は1912年、鹿児島県いちき串木野市にて、採掘道具を修理する一軒の鍛冶屋として幕を開けた。2代目の時代にLPガス事業に参入し、地域のエネルギーインフラを支える企業へと成長の礎を築く。しかし、祖父の代に事業は2つに分かれるという転機を迎えた。
卸事業を営んでいた小平株式会社は、3代目である父が継承し、エネルギー事業を基盤としながらもITや貿易といった多角化経営を推進。一方、小売事業を営んでいた太陽ガス株式会社は叔父が継ぎ、LPガス、電力、再生可能エネルギーといったエネルギー事業を深掘りする道を選んだ。

そして現代、代替わりの時を迎え、小平勘太氏が小平株式会社の4代目社長に、そして実弟が太陽ガスの経営を継承。かつて袂を分かった2つの会社は、兄弟が手を取り合う形で、2026年8月に再び一つのグループとして統合されることが決まった。これは単なる血縁による再統合ではない。太陽ガスが持つ「特定地域での高いシェアと深耕ノウハウ」と、小平がM&Aを通じて築いてきた「広域な商圏」という、互いの強みを掛け合わせる戦略的な一手である。
統合後の混乱を最小限に抑えるため、バックオフィスの統合は既に完了。さらに、小平が管轄していた鹿児島県内のガス小売事業を1年先行して太陽ガスへ事業譲渡するなど、周到な準備が進められている。
約65億円(2025年実績)の事業規模から100億円企業へ。2つの会社の歴史が再び交差し、新たな成長の歯車が力強く回り始めている。
異色の経歴を持つ4代目、9年の時を経て経営改革に着手
この大改革を主導する小平勘太社長の経歴は異色だ。
京都大学農学部で稲の品種改良を研究し、同大学卒後、イリノイ大学アーバナシャンペン校の大学院で農学修士号を取得。その後、ITコンサルティングファームに就職し、大手食品メーカーのサプライチェーン・マネジメントなどに従事した。さらに、自ら農業系の会社を3社起業し、事業売却まで経験するという、多彩なバックグラウンドを持つ。
2012年、満を持して家業である小平株式会社に戻るも、当時は3代目である父親が経営の第一線で辣腕を振るっており、9年間は自身の事業を中心に活動。
風向きが変わったのは2021年。本格的に会社の経営に関わるようになると、長年の経営で硬直化した組織体制が浮き彫りになった。
「会社が混乱していた」と小平社長は当時を冷静に分析する。
この状況を打開すべく、外部から優秀な人材を登用するという大胆な策に出た。
東京大学出身の池田氏を副社長として迎え入れ、二人三脚で組織の近代化を断行。年功序列の風土が根強かった組織に、科学的なマネジメント手法と新しい風を吹き込んだ。
現在は、小平社長がIT・貿易・全体戦略、弟がエネルギー事業、そして池田副社長が人事・AI・バックオフィスを管掌するスリートップ体制を構築。それぞれの専門性を活かし、グループ全体の成長を加速させている。

盤石なエネルギー事業が生む、次なる一手への原動力
グループの売上の大半を占め、安定したキャッシュ・カウとなっているのがエネルギー事業だ。
太陽ガスは創業の地である日置市周辺で寡占的なシェアを誇り、ガス供給だけでなく、電気、リフォーム、水道設備といったアップセル戦略で顧客単価を向上させてきた。
一方、小平株式会社はM&Aによって鹿児島市や宮崎県都城市といった人口増加が見込めるエリアに商圏を持つ。再統合により、太陽ガスが長年培ってきた「深耕モデル」のノウハウを、小平の「広域商圏」に展開することが可能となる。これにより、さらなるシェア拡大と収益向上が見込まれる。

「エネルギー事業はサブスクリプションであり、一度顧客基盤を築けばチャーンレート(解約率)は極めて低い。指数関数的な成長はないが、線形で着実な成長が期待できる」と小平社長は語る。
さらに、業界全体の課題である技術者不足に対し、他社がアウトソーシングに頼る中で、あえて技術の内製化を推進。これが参入障壁となり、他社との明確な差別化要因となっている。また、小水力発電や太陽光発電といった脱炭素への取り組みも、国の政策と歩調を合わせながら着実に進めており、50年先を見据えた持続可能な収益基盤を構築している。
この盤石な事業基盤があるからこそ、ITや貿易といった成長事業へ大胆に投資できるのである。
“お家芸”を自社サービスへ、顧客との関係性を深化させる新戦略
同社は、この安定した数万件にのぼる顧客基盤を、単なるガス・電気の販売先として捉えていない。それをプラットフォームと見立て、新たなサービス展開を加速させている。 その象徴が、2026年4月から開始する住宅メンテナンスのサブスクリプション事業だ。
これは、月々500円程度のポイント積立で、 コンセントの交換から水道の修理、エアコンの取り付けまで、暮らしのあらゆる困りごとに対応する。
これまでは、顧客から得た保険料収入の大半を手数料として保険会社に支払っていたが、サービスを完全に内製化することにより、単なる収益の改善に留まらず、地域のお客様の困りごとに自社で即応できる体制を整える。既存の顧客基盤を、一生涯の安心を支えるプラットフォームへと進化させることで、地域インフラを次世代へ繋ぐ持続可能なモデルを実現する。
「ガスを契約したら、くらしの安心もついてくる」。そんな世界観の実現は、顧客のLTV(生涯顧客価値)を最大化するだけでなく、地域住民の生活インフラを包括的に支えるという、同社の使命をも体現している。安定した基盤の上で、新たな収益の柱を育てる戦略がここにも見て取れる。

「ブルーカラーを支えるIT」で地方のレガシーシステムに挑む
小平社長が自ら率いるIT事業は、「ブルーカラーを支えるデジタル」を明確なコンセプトに掲げる。売上規模こそ2〜3億円とまだ小さいが、その狙いは壮大だ。
AIやローコード開発ツールを駆使し、ITリテラシーが高くない現場の人間でも、音声入力やシンプルなUIで直感的に使える、業界特化型のサービス開発に注力している。新聞配達や牛乳配達といった、地域密着型の小規模事業者に向けた配送管理システムはその一例だ。
中でも特に手応えを感じているのが、地方企業に根強く残る「レガシーシステム」の刷新事業である。
古い独自言語で書かれ、開発者もいなくなり誰も全容を把握できないような旧式のシステムを、AIエージェントが解析し、最新のWebシステムに作り替える。
「下請けにはならない」という創業以来の哲学に基づき、下請けは行わず、あくまで自社サービスとして価値を提供することにこだわる。
まずは自社の旧システムで実証を重ね、そのノウハウを武器に、同様の課題を抱える全国の地方企業への展開を目指す。
地方中小企業の痛みを知る同社だからこそ提供できる、伴走型のDX支援。それは、地方全体の生産性向上に貢献する、大きな可能性を秘めている。

売上成長の中核、驚異の「グローカル事業」
小平株式会社の事業ポートフォリオの中で、今、最も爆発的な成長を遂げているのが、わずか5名で運営されるグローカル(貿易)事業だ。もともとは「さつま揚げ」の原料となる魚のすり身の輸入から始まったこの事業は、10年ほど前に大きな転換期を迎える。事業の再構築を迫られる中、社長ともう一人の社員の二人体制で再出発。その過程で、近年の円安を好機と捉え、日本の高品質なスイーツや地域産品を海外へ輸出する事業へと大きく舵を切った。
この戦略が、7〜8年にわたる地道な販路開拓の末、大きな成功を収める。
特に米国の大手小売チェーン向けに、日本の工場でOEM製造したスイーツの輸出が爆発的に伸長。前年の年商5億円から、昨年は13億円へと急拡大した。
今期は20億円規模を見込むまでに成長したグローカル事業。円安を背景に日本の地域産品を世界へ届けるこの事業の真価は、その利益の『使い道』にある。世界市場で得た外来や知見を、再び鹿児島の産業育成や雇用創出、そしてまちづくりへと還流させる。 同社は自らを地域経済を循環させる『ハブ』と定義し、地方から世界へ挑む新たなモデルを体現している。
100億円は「地域への責任」、企業の成長が雇用と未来を創る
小平社長が掲げる『100億円』という数字。それは単なる規模の拡大を目指す指標ではなく、『100年先もこの地域に安心と希望の火を熾し続ける』 という、地域社会への約束だ。
次の100年を創るための挑戦権を、自らの成長によって勝ち取っていく。
「京都のような都市部と違い、鹿児島のような地方では、地域経済や雇用に責任を持つ気概のある企業は限られている。その役割を誰かが担わなければ、産業基盤も雇用も維持できない」と、その言葉には強い使命感が滲む。

同社にとって100億円という目標は、単なる売上規模の拡大ではない。それは、属人的な経営から脱却し、科学的なマネジメントを導入するための「覚悟の証」でもある。
組織やシステムへ積極的に投資し、社長個人のカリスマ性や能力に依存せずとも勝ち続けられる、持続可能な経営体制を構築する。その明確な基準が「100億円」なのだ。
企業の成長が新たな雇用を生み、地域に活気をもたらす。そして、魅力的な職場があることで、さらに優秀な人材が集まり、企業が成長する。この好循環こそが、人口減少時代における地方企業の生存戦略であり、同社の目指す未来像である。
地域貢献は最大の採用戦略、本社移転がもたらした好循環
小平社長の「地域への責任」という理念は、具体的なアクションとして地域社会に大きなインパクトを与えている。その象徴が、本社機能のシャッター商店街への移転だ。
過疎化が進む創業の地である日置市に本社を構え、空き家をリノベーションしたオフィスやコミュニティ施設「Hamaoka Pocket Park」を次々と開設。さらに、近隣の空き地には、新たに40名規模の本社移転した企業の社員が働く複合施設「猫狐馬ノ杜(ねこまのもり)」の建設も進んでいる。
これらの投資は、多額の現金を投じたわけではなく、補助金などを活用し、事業としてきちんと採算が取れるよう緻密に設計されている。

「地域貢献活動を行うことは、採用戦略にも繋がる」と小平社長は言う。これらの取り組みがテレビや新聞で紹介されることで、会社の認知度向上やブランドイメージの拡大に繋がる。その結果、高額な費用がかかる人材紹介サービスに頼ることなく、会社の理念に共感した優秀な人材が全国から集まるようになった。
最近では、社員がプライベートで社名を口にすると「ああ、あの素敵な社屋の会社ですね」と認知されているという。
地域への投資が、企業の成長に不可欠な「人」という最も重要な資産となって還ってくる。この好循環こそ、小平株式会社の最大の強みなのである。
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