100億企業化

【100億宣言】明工が挑む社員起点の総合金属加工メーカー化

2026.03.24

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株式会社明工は、売上約45億円・5工場体制の住宅関連メーカーとして、社員の意識改革を起点に「100億宣言」を掲げました。狙いは目標数値の掲示ではなく、オーナー色の強い体質から脱し、ボトムアップで組織を動かし、住宅トップスリー向け深耕と非住宅分野参入、そして技術の汎用性による新規市場開拓を同時に進める覚悟の明文化です。
 
採用・定着、育成、設備投資、品質規格、環境対応、デジタル刷新までを一体で進め、金属加工の総合メーカーへ舵を切ります。

企業情報
会社名
株式会社明工
設立
1969年9月
従業員数
185名
事業内容
建築金物 サッシ金物 内装建材 アルミ形材加工品 製造販売
100億宣言
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/00991-00.pdf

 

「100億宣言」は、数字ではなく組織変革の作動スイッチ

同社は従業員約190名、うち工場などで働く従業員が約110名、営業や開発、管理部門などで働く従業員が約82名。社長自らが営業、人事、経営企画、広報までを幅広く兼務し、まず「会社の動かし方」を変えることから始めます。
 
住宅関連売上が約9割という現状は、強みである一方、国内人口減少と住宅着工数の減少傾向が進めば、長期的に依存構造がリスクになる。ここに正面から向き合うために必要なのは、設備や販路以前に、社員一人ひとりが会社の危機と可能性を自分事として捉える状態です。


 

だからこそ「100億宣言」を掲げると、平川社長は語ります。
 
この宣言は、現場の改善や提案、挑戦を“会社が許可する”ための旗であり、覚悟の提示です。2035年に向けた長期経営計画や100億円達成のロードマップも、社員主体でつくることを目指します。組織が自走する構造へ切り替える。その起点が宣言です。

人が残らない会社を、人が増える社員ファーストの会社へ

就任前、同社は人事部門が存在しておらず、社員が定着するための育成ややりがいのある、働きやすい環境の整備などが、仕組みとして成立していなかった。その結果として離職率は二桁台。
 
ここを最優先の経営課題に置き直し、大手人材紹介会社と契約し、2025年1月から求人票を掲載し、その結果、応募は1年間で1,000人超。面接が400人、採用は30名。退職者を差し引き、28名の純増に至りました。紹介手数料も掛かるため、安い投資ではありませんが、組織を作り直すための必要経費として引き受けます。
 
同時に「辞める会社」から、「働き続けたい会社、社員から選ばれる会社、社員ファーストの会社」へと条件を揃えます。


 

基本給のベースアップは毎年1月に必ず実施すると社員に約束。残業は禁止し、原則8時間で帰る。転勤なし。工場稼働も8時間のみで運用する。さらに、再雇用時の60歳での給与カットを行わない運用を採り、2026年から定年を65歳へ引き上げることや、年間休日を現状115日から127日に増やすことも検討中です。
 
結果として、就任から1年4ヶ月で離職率は3.8%まで改善します。社員ファーストはスローガンではなく、稼働設計と制度設計で実装する方針です。

トップダウンからボトムアップへ。責任の置き方を変革

同社が変えるのは福利厚生だけではありません。意思決定の構造を変えます。オーナー一族中心のトップダウン体質が強かった時代、現場は「決まったことをやる」になりやすく、危機感も当事者意識も育ちにくい。そこで同社は、社長である自分が最終決定権を持つ雇われ社長であることを明示した上で、社員から意見を積極的に募り、議論して決めるプロセスへ移行します。
 
ここで重要なのは、責任の所在です。社員の提案は評価対象にする。しかし失敗した場合の責任は、最終決定を下した社長が負う。提案者を守るのではなく、挑戦が組織に残るように責任構造を設計する。これによって社員は「言っていい」「やっていい」に変わり、「自分の会社だ」という当事者意識を持てるようになります。


 

最大のリスクは、社員の危機感欠如です。
 
同社はここを弱点ではなく、変革の余地=チャンスと定義します。意識改革は精神論ではなく、提案が出て、議論が起き、決まり、実行され、失敗しても学びが残る。その循環を回すことです。100億宣言は、この循環を会社の標準動作にするための約束でもあります。

後継者不足を放置しない、育成制度への落とし込み

事業が伸びても、任せられる人がいなければ組織は止まります。同社は次期社長や各工場長の後継者が社内に十分育っていないという危機感を、経営の中枢課題として扱います。そこで執行役員制度を導入し、生え抜き幹部社員4名を執行役に任命。権限と期待を明確にし、育成を「気合」から「役割」に変えます。
 
研修制度も整備します。全社員対象の研修、管理職向け研修、中途採用者のフォローアップ研修を用意し、執行役員向けには2泊3日の缶詰研修を予定しています。狙いは知識の付与だけではありません。「会社をどう動かすか」「工場をどう率いるか」を共通言語にし、判断基準を揃えることです。
 
同社にとって育成は、現場の善意に委ねる領域ではありません。仕組みとして回す領域です。100億宣言が組織の覚悟なら、執行役員制度と研修は、覚悟を実務に変換するトランスミッションです。危機感が薄いことを嘆くのではなく、危機感が立ち上がる場を設計する。人が育つ環境を用意し、任せられる状態をつくる。これが2035年へ向けた長期計画を成立させる前提になります。

住宅トップスリー深耕と非住宅分野参入、そして技術の汎用性による新規分野開拓を、同時に走らせる

売上の約9割を占める住宅分野は、同社の土台です。その土台を強くしながら、依存を減らす。矛盾するようでいて、両立させます。
 
住宅分野では、業界トップへのアプローチを強化し、上位3社向け受注を拡大。大手上位数社の合算売上規模に照らせば、同社がそこへの販路を拡大していくことで100億円到達は現実的だという観点に立ちます。取れる市場があるなら、取りに行く。勝ち筋を明確にして集中する判断です。
 
同時に非住宅分野への新規参入も。自動車、半導体、鉄道車両、ロボット。住宅着工数が減れば、住宅依存の企業は売上が半減する可能性がある。その未来を前提に、多角化を「いつか」ではなく「今」始めます。根拠は技術の汎用性です。同社の金属加工(アルミ・ステンレス部品)の技術は、住宅以外でも使われる。既存技術を他分野に展開することで、新しい売上の柱を立てます。100億宣言は、成長の夢ではなく、生存と拡張を同時に成立させる戦略の宣言です。

「総合メーカー化」と提案型営業で、断らない会社へ

現在の主力はプレス加工です。しかし同社は、旋盤、マシニング、鍛造、レーザー加工、放電加工など多様な加工技術を備えた「金属加工の総合メーカー」を目指します。意味は明快で、これまで断っていた案件に対応できるようになり、提供できる製品・部品の幅が広がる。顧客が求める加工を一社で完結できれば、取引の入口も、取引の深さも変わります。
 
技術だけではなく、売り方も変えます。開発部門は約13名。従来は顧客引き合いに対応する“設計”寄りの業務が中心でしたが、今後は自社でユニークな製品を開発し、顧客へ提案する「提案型営業」を強化します。社内のスローガンは、受け身の「農耕民族」から、能動的に獲物を探す「狩猟民族」へ。
 
狩猟民族化とは、闇雲な新規開拓ではありません。技術の棚卸しを行い、加工の組み合わせで価値をつくり、相手の業界課題に合わせて提案することです。総合メーカー化は、営業の武器を増やす投資でもあります。断らない会社は、受注機会を逃さない会社になります。一方で、創業者オーナーが55年をかけて培ってきた良き企業風土はしっかりと残していきます。製造業としてQ(=Quality、品質)、C(=Cost、価格競争力)、D(=Delivery、納期遵守)で優れた生産現場をしっかりと守り、40年、50年と続く販売先や仕入先との信頼関係も維持していくことも極めて重要です。

設備・品質・環境・デジタルを束ね、EBITDAで強い企業へ

成長は気合ではなく、体力の設計で決まります。同社は設備投資水準を抜本的に引き上げ、従来の年間投資額を10倍に引き上げる方針に転換。100億円規模を見据え、既存工場の生産性向上を優先し、時間当たり生産数を1.5倍に引き上げるなど、改善を再現可能な仕組みとして定着させます。


 

品質・環境・デジタル化も同時に強化します。2026年に向けて国際規格(ISO 9100・14001)を取得し、海外・自動車市場への対応力を高める。環境面ではCO2排出や排水の測定を開始し、5年計画で削減を進めます。
 
ERP刷新にも年間投資額の5割以上を投じ、補助金を活用しながら機能を強化。投資に基づく成長路線を確立すべく、指標は当期利益からEBITDAへ転換します。これらの施策は当社の自助努力に加え、親会社である(株)事業承継機構の支援も大いに活用しながら果たしていく方針です。100億宣言は、この転換をやり切るための覚悟です。

まとめ

株式会社明工の100億宣言は、売上規模を追いかけるための号令ではありません。社員の意識、責任の置き方、育成、投資、売り方までを一体で組み替え、組織を「自走させる構造」へ切り替えるための思想となります。
 
住宅分野の深耕と非住宅参入を同時に進め、総合金属加工メーカーへ進化する道筋は、環境変化に耐えるための生存戦略であり、拡張戦略でもあります。人に投資し、仕組みに落とし、数字で鍛える。その積み重ねの先に、100億円は“結果として”現れます。明工は今、成長のための覚悟を、組織の標準動作へと変え切ろうとしているのです。

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