100億企業化
築古ビル再生から東京プロマーケット上場へ~場の再生に懸ける新たな挑戦~
2026.02.04
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- 企業情報
- 会社名
- 株式会社LOOPLACE
- 設立
- 1998年
- 従業員数
- 40名
- 事業内容
- 築古ビルをはじめとした場の再生事業
リノベーション物件の売買、賃貸仲介等
店舗・オフィス・住宅デザイン・設計・施工各種専門工事
東京都千代田区に拠点を置く株式会社LOOPLACE(以下、LOOPLACE)は、築古ビルの再生とセットアップオフィスの提供を通じて、不動産の“再価値化”に取り組んできた企業です。2016年に本格参入したビル再生事業では、自社ブランド「gran+シリーズ」を展開し、老朽化ビルをデザイン性の高いワークプレイスへと生まれ変わらせました。
そして2025年、同社は社会的信用の確立とさらなる成長を見据え、TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)への上場を果たしました。
今回の上場には、「築古ビル再生という事業の安定性と将来性を広く認められたい」「資金調達力を得て、物件取得や地方展開など次のフェーズへ進みたい」という強い想いがあったと取材で語られています。本記事では、LOOPLACEがこれまで歩んできた道のり、上場に至るまでの葛藤と決断、そしてこれから描こうとしている未来を、取材内容と公開情報をもとに丁寧に紐解きます。
目次
1. 創業期と原点 — “場づくり”の原体験
LOOPLACEの原点は、建築・内装の職人としての経験と、そこから芽生えた「場づくり」への志にあります。公式サイトでは、同社を「古い建物や空間を活かす、不動産再生カンパニー」と紹介しており、築古不動産を再生することで「はたらく場を、好きな場へ。」という想いを体現しています。
もともと、ゼネコンからの内装工事の受託や請負といった施工事業を中心としていたLOOPLACEは、社会的な建物の老朽化や既存不動産のストック活用の必要性が高まる状況のなかで、「ただ施工する」だけではなく「既存の場に新たな価値を与える」可能性に気づきました。特に、築古ビルを活かすことで、資産価値の維持・向上を図るだけでなく、環境負荷の軽減や都市空間の持続性という観点からも、“リノベーションによる再生”という仕事の意義を実感したといいます。

このような背景と感覚をもとに、LOOPLACEは単なる工事請負会社としてではなく、「場の再生」を行う事業会社としての方向転換を検討し始めました。公式には、会社の設立は1998年。そこから、築古不動産の再生やオフィス空間の再定義というビジョンを少しずつ具体化させていきました。
こうした最初の歩みは、ただ物件を建てる/直すという“建築の発注–施工–納品”という流れを超えて、既存の建物と街の文脈に“再生”の価値を与えるという、新しい視点の獲得へとつながります。これが、後に同社が掲げる「既存の場を、おもしろくする。」という企業ビジョンの根底をなす原体験となっています。
2. ビジネスモデルの確立 — 「既存の場を、おもしろくする。」という哲学
LOOPLACEは、「既存の場を、おもしろくする。」という明確なコンセプトのもと、築古ビルの再生をコア事業とする不動産再生カンパニーです。

自社一貫のワンストップ体制
LOOPLACEの特徴は、「企画・物件取得→デザイン設計→施工→リーシング→売却→運営管理」という一連のプロセスを自社だけで完結できるワンストップ体制を整えている点にあります。
この体制により、既存ビルをただ改修するだけではなく、入居ターゲットや用途を見据えた「用途企画」と「内装・デザイン」にまで踏み込んだ再生が可能です。
ブランド「gran+シリーズ」の存在
LOOPLACEは自社の主力ブランドとして gran+シリーズ を展開。築古ビルを、家具付きセットアップオフィスやクリエイティブオフィスとして再生し、特にベンチャーやスタートアップ、小規模事業者を主要なターゲットとしています。
たとえば、最近売却を終えた「gran+KINSHICHO」プロジェクトでは、既存ビルを“住居兼事務所ビル”から、多様な働き方に対応可能なオフィスに再構築しました。
また、「gran+KANDA」プロジェクトでは、元カプセルホテルというユニークな既存用途を活かしつつ、「全フロア家具付 遊び心を取り入れたデザインオフィス」を実現しました。これにより、多様性とデザイン性を兼ね備えた入居空間を提供しています。
ストック型収益モデル + キャピタルリサイクル
LOOPLACEの現在の成長を支えているのは、築古ビルを再生し、高付加価値化して売却する「キャピタルリサイクル(売買差益)」のビジネスモデルです。
自社ブランドである「gran+KANDA」や「gran+KINSHICHO」などのプロジェクトでは、物件の仕入れから企画・再生を経て、テナント付けを行い、投資家へ売却することで大きな収益を生み出してきました。
一方で、売却益に依存するモデルは、高い収益性を誇る反面、売却のタイミングによって業績変動が生じる可能性があります。そこで同社は現在、将来の安定成長を見据え、運営管理を通じた「ストック型収益」の積み上げに注力しています。
具体的には、新ブランド「&PLACE」の展開やマスターリース事業などを通じて、物件を単に売却するだけでなく、継続的な賃貸・運営収入を確保する構造への転換を図っています。 今後は、固定費を賄う安定した「ストック収益」と、事業を大きく伸ばす「キャピタルリサイクル」の“両輪”を回すことで、リスクを分散しながらも柔軟な資本運用と持続的な成長を実現するハイブリッドな収益構造を目指しています。
3. 新展開 — 小規模オフィス市場への挑戦、「&PLACE」の立ち上げ
最近、&PLACE は、株式会社LOOPLACE が新たに挑んだ“小規模オフィス市場向け”のワークプレイスブランドです。
2025年10月、10名以下のスタートアップや少人数企業を主な対象に、築古ビルをフルリノベーションした「&PLACE 代々木」が第一号物件としてオープンしました。
このブランドは、従来の大規模オフィスやマルチテナント型セットアップオフィスとは異なり、「専有オフィス+共用ラウンジ・ミーティングルーム」を備えたラウンジ付きフレキシブルワークプレイスを志向しています。家具付き・初期コスト低め・契約のしやすさなど、起業直後や少人数企業にとって使いやすい仕様が特徴です。

LOOPLACEは元来、gran+シリーズ による築古ビル再生オフィスの提供を主力としてきましたが、&PLACEの導入により、「成長段階や企業規模に応じたオフィス提供」という新しいポートフォリオ構成を可能にしました。
この展開は、変化する働き方や起業・少人数事業の増加といった社会のトレンドを取り込み、既存不動産の再価値化だけでなく、「使いやすいオフィス」「柔軟な働き場所の提供」という新たな価値を生み出す挑戦でもあります。
4. 上場への決断と準備 — TOKYO PRO Market 参入へ
2025年10月21日、LOOPLACEは、TOKYO PRO Market(TPM)への新規上場を実現しました。
従来、築古ビルの取得から企画・設計・施工・運営管理・売却までを自社で一貫して手がけるワンストップ体制で事業を進めてきた同社にとって、この上場は「事業の安定性と将来性を社会に示す機会」と位置づけられています。

上場にあたって、LOOPLACEはこれまでの実績だけでなく、「マスターリース事業の展開」や「地方展開」といった成長戦略をあわせて提示。これにより、安定収益基盤の強化だけでなく、さらなる規模拡大と流動性の確保を見据えています。
この決断は、単なる資金調達手段ではなく、築古ビルを再生・運営する不動産再生モデルの価値を、より幅広いステークホルダーに伝えるための「社会的信用力の獲得」を意図したものです。TPM上場は同社にとって、新たな一歩であり、「再生ビジネスの安定運営と成長」を両立させる重要な転換点です。
5. 上場後の現状と収益モデル — ストック収益と成長戦略
TPM上場を経て、LOOPLACEは、収益構造の整理と今後の伸長ポイントを明確にし始めています。公開資料には2025年2月期の売上高約23.74億円という数値が示され、翌期の伸長見通しも提示されています。
同社の収益基盤は、築古ビルの取得から企画・設計・改修、そして運営までを自社で完結する「ワンストップ体制」にあります。
さらに、上場後の成長戦略として、
・マスターリース事業の拡大
・地域展開(都心+大阪)
・&PLACE の本格展開
が挙げられています。

特に &PLACE は、10名以下の小規模企業や創業直後のスタートアップ向けという明確なコンセプトを持つことで、既存ブランド gran+ とは異なる役割を担っています。家具付きオフィスを必要最小限のコストで利用できる仕様は、成長初期の企業にとって使い勝手の良い“中間地点”として機能します。
上場による信用力を背景に、LOOPLACEはストック収益をベースとしながら、案件取得・運営の幅を広げられる環境を整えつつあります。
6. 課題と向き合い — 再生ビジネスの先にある不確実性
LOOPLACEが手がける築古ビル再生は、「再生 → 運営管理 → 再生」というサイクルによる収益構造を持ちますが、一方で幾つか注意すべき課題も存在します。まず、入居者募集や稼働率の維持は、ビルの立地や築年数、リノベーション内容、テナントのニーズ変化など多様な要因に左右され、常に安定とは限りません。
また、同社が選択した TOKYO PRO Market(TPM)への上場形態も、流動性の低さが一般的な指摘です。TPMでは株式の売買対象が「プロ投資家など」に限られ、一般市場に比べ活発な取引を期待しにくいため、株式をすぐに現金化したい場合には時間がかかる可能性があります。
さらに、地方展開や物件取得の拡大を掲げるならば、再生後の運営管理、地域特性への対応、維持コストの管理など、新たな負荷も増すことが想定されます。これらを見据え、LOOPLACEは安定運営を維持しつつ、成長を図っていく必要があります。
このように、「場の再生」による理念とビジネスを両立させるためには、収益の安定性と市場変化のリスクのバランス、そして経営の慎重な舵取りが、今後の大きなテーマとなるでしょう。
7. これからの展望 — “場の再生”が描く未来
LOOPLACEは、TOKYO PRO Marketへの上場を機に、築古ビル再生とオフィス提供という既存モデルをベースに、さらなる拡大を見据えています。最近では大阪・北区天神橋での物件取得により、関西圏への進出を始めています。
このような地域展開は、都心だけでなく地方を含めた既存不動産の再生という、LOOPLACEの「場を次の使い道につなぐ」という理念に沿った挑戦です。加えて、自社ブランド「gran+シリーズ」に加えて、小規模オフィス向けブランド「&PLACE」を両輪とすることで、企業規模やワークスタイルの多様性に応じた“場の選択肢”を提供する意図があります。

また、上場で得た資金調達力と信用力を活かし、今後はマスターリース事業や運営管理体制の強化、さらなる物件取得と再生によって、ストック収益と成長性を両立させる体制を構築する方針です。
古い建物に新しい価値を与え、ただの“物件”ではなく「働く/集う場」として生まれ変わらせる──。LOOPLACEのこのビジョンは、単なる企業拡大にとどまらず、都市や地域の不動産ストックを活かす社会的意義をも含んだ挑戦です。今後、同社がどのような物件を再生し、どのような“場”を創造していくのか、その動向に注目が集まります。
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