100億企業化
【100億宣言】株式会社オカモトヤ、創業110年超で築く「人が輝く働き方」の未来
2026.03.06
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創業110年超、文房具の老舗からワークスペース構築のプロフェッショナルへと進化を遂げた株式会社オカモトヤ。同社は今、売上100億円という大きな節目を目前に捉えている。
しかし、その道のりは単なる事業拡大の歴史ではない。時代の変化を的確に捉え、顧客の「働く」に寄り添い、そして何より自社の社員一人ひとりが輝く環境を追求し続けた変革の物語である。世代を超えて受け継がれる「コツコツと信頼を築く」精神を土台に、同社が描く次なる100年とは。
- 企業情報
- 会社名
- 株式会社オカモトヤ
- 設立
- 1912年6月2日
- 従業員数
- 133名
- 事業内容
- 文具、事務用品、OA機器、オフィス家具の仕入、販売
コピー機、加算機の修理
印刷物の販売 - 100億宣言
- https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/01646-00.pdf

目次
変化への挑戦、その原点は1912年の神田にあった
変化への挑戦、その原点は神田小川町の写真館にあった。創業者は当初、まだ目新しかった「活動写真(映画)」の事業に携わっていたが、その不安定さから、より堅実な商売への転換を模索していた。
そして1912年、官公庁街に程近い虎ノ門で売りに出されていた文具店「岡本洋行」と出会う。官公庁からの安定した需要を見込み、事業と社員をそのまま引き継ぐ形で買収。これが、100年以上にわたる「働く」を支えるビジネスの幕開けとなった。

創業当初の主力商品は、墨や筆、半紙といった「文具四宝」。官公庁へ足繁く通い、御用聞きとして信頼を積み重ねていく。この地道な活動が、関東大震災や戦争といった幾多の国難を乗り越える礎となった。
特に、震災で周辺一帯が焼け野原になる中、奇跡的に焼失を免れた倉庫の商品が、事業継続の生命線となったというエピソードは、同社の強運と底力を象徴している。
高度経済成長の波に乗り、事務用品の総合商社へ
戦後、日本が高度経済成長期に突入すると、ビジネスの現場で使われる道具も劇的に変化した。筆はボールペンに、和紙は洋紙に、そして手書きが主流だった時代から、複写機や印刷機が不可欠な時代へと移り変わる。
この変化の波を見事に捉えたのが、先々代の社長である。彼は、ペンのような小さな文具から、それを綴じるファイル、保管するキャビネット、さらには大型のコピー機に至るまで、「オフィスで必要なもの」をワンストップで提供する体制を構築。
日本の経済成長と歩調を合わせるように、事業領域を拡大していった。さらに、業界団体の設立に尽力し、メーカーや同業者との強固なネットワークを築き上げた。個々の取引に留まらず、業界全体を活性化させるという視座が、オカモトヤを単なる小売店から、業界内で確固たる地位を築く総合商社へと押し上げたのである。
「仕組み化」という次の一手。効率化で築いた新たな競争力
時代が平成に移ると、オフィス用品の世界にも新たな競合が登場する。翌日配送を強みとするオフィス用品通販の巨人である。従来の、営業担当者が顧客を訪問し、注文を受け、自ら商品を届けるという対面型のビジネスモデルは、効率性の面で大きな課題に直面した。
この課題に先手を打っていたのが、先代の社長(現会長)だ。大手事務機器メーカーでの研修経験を持つ彼は、早くから業務の「仕組み化」の重要性に着目。
通販事業者が台頭する以前から、同業他社と共同で物流会社を設立し、各社が個別に行っていた在庫管理や配送業務を集約していた。さらに、販売から仕入れまでを一元管理する基幹システムも自社開発。営業担当者が本来の提供価値である「顧客との対話」に集中できる環境を整えたことは、巨大な競合に対抗するための先見の明であった。
新時代へのバトン。現社長に託された「空間」という価値創造
約20年前、現社長が入社した際に、父である先代社長から託されたミッションは明確だった。「定価のないものを強化しろ」。文房具やオフィス機器といった「モノ」の販売は、価格競争に陥りやすく、利益の拡大には限界がある。会社の未来のためには、デザインや設計といった付加価値の高い「コト」、すなわち「オフィスの空間構築」で新たな収益の柱を育てる必要があった。

しかし、当時の社内にそのノウハウは乏しく、提案といえばメーカーに作成を依頼した資料を右から左へ流すだけ。この状況を打破するため、彼女は自らCAD (図面作成ソフト)を学び、営業として新規開拓に奔走した。
解体予定のビルを巡っては移転案件を発掘し、自ら図面を引き、提案する。この徹底した現場主義と行動力が、同社の事業構造を「モノ売り」から「空間プロデュース」へと転換させる原動力となった。
社長自身の原体験が、企業文化を根底から変えた
入社から数年後、取締役に就任し、経営の中枢に関わるようになった彼女に、大きな転機が訪れる。結婚と出産だ。仕事と子育ての両立に奮闘する中で、時間的な制約や社会の風潮との軋轢に、彼女自身が深く悩んだ。
この経験が、それまで男性中心で「営業の女性は結婚すれば内勤へ」という暗黙のルールがあったオカモトヤの企業文化を、根底から見直すきっかけとなる。
「自分が経験したからこそ、変えられることがある」。彼女はこの想いを胸に、女性が出産後も営業として第一線で活躍し続けられる環境づくりに着手。時短勤務や在宅ワークなどの制度を整えるだけでなく、子育て中の女性を積極的に採用し、多様な働き方が当たり前の風土を醸成していった。この改革は、彼女が社長としてではなく、一人の働く女性としてのリアルな課題意識から始まったからこそ、多くの社員の共感を呼んだ。
社員満足度は79%へ。人が辞めない会社が持つ、本質的な強さ
この文化改革の成果は、明確な数字となって表れている。2015年から毎年実施している社員満足度調査。当初40%台だったスコアは、社員の声を真摯に受け止め、改善を繰り返すことで、直近では79%にまで上昇した。
特筆すべきは、この調査が紙ベースのアンケートから始まった、先代からの伝統であることだ。現社長はそれをデジタル化し、全社員に結果をフィードバック。「会社は社員の声を聞き、本気で変えようとしている」というメッセージを伝え続けた。
結果として、離職率は業界平均を大きく下回る5%前後で推移。新卒採用においても、給与や知名度ではなく「自由な社風」 「きれいなオフィス」、そして「働きやすさ」に魅力を感じて入社する学生、特に優秀な女子学生から選ばれる企業へと変貌を遂げた。同社が掲げる「理想の社員像」――自ら考え、少しの勇気とアイデアで前向きに進める人。この価値観に共感する人材が集まり、定着することが、持続的な成長の最大のエンジンとなっている。
100億円企業を支える「コツコツ」というDNA
オカモトヤの強みは何か。その問いに、社長は「コツコツできること」だと答える。文房具の納品という、一つひとつは小さな商売。しかし、「ちょっと印刷物お願いできる?」といった顧客の小さな困りごとに対し、「やりますよ」と実直に応え続ける。
その積み重ねが信頼となり、「今度オフィスを移転するんだけど」という大きなビジネスに繋がることを、全社員が経験として知っている。

驚くべきことに、同社は3,300社以上の顧客情報を、最新のCRM(顧客関係管理) システムではなく、昔ながらの「日報」をベースに管理しているという。しかし、入力率は極めて高く、上司と部下が日々共有し、チームで顧客へのアプローチ戦略を練る。
この一見アナログな手法が、社員一人ひとりの真面目さと、顧客と向き合う文化を育んできた。この「コツコツ」と信頼を積み上げるDNAこそ、110年以上の歴史で培われた、何物にも代えがたい競争優位性なのである。
官公庁ビジネスの躍進。自社の働き方改革が、新たな市場を拓く
近年、同社の成長を牽引しているのが、霞が関を中心とした官公庁向けのビジネスだ。売上はここ7年で倍増し、今や30億円規模に達する。長年の取引で築いた信頼関係が土台にあることは言うまでもない。だが、躍進の真の理由は、オカモトヤ自身が実践してきた「働き方改革」にある。
国が推進する働き方改革に対し、民間企業での豊富な実績を元に具体的なソリューションを提案できる。さらに、自社の男性社員の育休取得率が100%を達成するなど、制度を「語れる」だけでなく「実践している」説得力が、官公庁の担当者の心を掴んだ。自社の課題解決への取り組みが、結果として巨大な市場を切り拓く武器となったのだ。

100億の先へ。M&Aと「ウェルビーイング」で描く成長戦略
当初の計画より早く達成が見込まれる売上100億円。しかし、経営陣はすでにその先を見据えている。まずは、景気の波に左右されない「自力での100億円」を盤石にすること。
その上で、現在は首都圏に限定されている事業エリアを、M&Aも視野に入れながら全国へと拡大していく構想を描く。同時に、次なる付加価値として「ウェルビーイング」の追求を始めている。
会議室の笑顔の数をAIで計測する「笑顔計測」といったユニークな実証実験もその一つだ。「楽しく働く」をモットーとする社長のリーダーシップのもと、オカモトヤはこれからも「働く」の新しい価値を創造し、自らの未来を切り拓いていく。
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