100億企業化
【100億宣言】オーケーズデリカ株式会社が挑む冷凍×多角化の成長戦略
2026.03.06
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オーケーズデリカ株式会社は、産業給食・学校給食で築いた品質と衛生の基盤を、福祉向け・OEM・冷凍へと拡張し、グループ約30億円規模から「100億」を射程に入れる。
工場投資、物流、組織ガバナンスという現実課題に正面から向き合いながら、「Food is life」を軸に、国内の食を支え、やがて海外へも日本食を届ける体制をつくり直していく。
- 企業情報
- 会社名
- オーケーズデリカ株式会社
- 設立
- 1987年4月
- 従業員数
- 275名
- 事業内容
- 給食弁当製造販売・惣菜製造販売・学校給食製造販売・介護食製造販売・食品OEM受託
- 100億宣言
- https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/01034-00.pdf
目次
1973年創業、現場起点での積み上げ
1973年(昭和48年)、弁当・給食事業として始まった。のちに拠点を三重県桑名へ移し、1976年に再出発してからは、工場でつくり企業へ届ける「産業給食」を主力に据えた。
高度経済成長期の需要拡大を追い風に、プレハブ工場から三階建ての建屋へ。量を伸ばす局面で、同社が選んだのは“ただ大きくなること”ではなく、日々の供給を止めない実装力を磨き上げることだった。

食は毎日ある。だからこそ、供給の安定性が信用の土台になる。現場で仕込み、運び、届ける。
製造と配達が人員の大半を占める体制(製造約100名、配達約80名)自体が、同社の歴史の結晶だ。営業が5~6名、栄養士が約10名、総務・管理が約5名という構成は、“売る”以上に“つくって届ける”ことに重心を置く意思決定の表れでもある。ここから先の挑戦も、この足腰を起点に組み替えていく。
価格競争を避け、品質で勝つへ転換
弁当市場が価格競争に傾けば、短期では数字が動く一方で、現場は疲弊し、持続性が落ちていく。同社はそこで、価格で巻き込まれるのではなく「品質で差別化する」方針を選んだ。転換点は明確だ。品質を“言葉”ではなく“基準”に落とし込み、次の成長の舞台として学校給食に踏み込んだ。

学校給食は、衛生基準が高い。参入障壁は、営業力よりも運用力にある。だから同社は、HACCP等の認証取得を前提に新工場を建設し、受注を拡大した。結果として、最大で複数の自治体を受託する規模へと伸ばしていく。
ここで得たのは売上だけではない。衛生・品質・オペレーションを、組織として再現可能な型にする経験だ。さらに、リーマンショックで企業向け弁当が落ち込む局面でも、自治体受注などでカバーし持ち直した。単一市場の変動に耐えるための“柱”を増やし、品質を軸に領域を横展開する。この考え方が、のちの福祉・OEM・冷凍へも連続していく。
福祉とOEM、冷凍で第二のエンジンへ
近年の伸長は福祉向け(施設向け)だ。食数の積み上げだけでなく、冷凍化やパッケージ化によって売上を伸ばす。ここにOEM(食品の受託製造)を掛け合わせ、供給の相手を“自社の配達網”に限定しない形へ広げていく。食をつくる機能を、社会の別の需要へ接続し直す発想だ。
その意思決定を具現化したのが、2023年の第二工場建設である。冷凍弁当・冷凍惣菜の生産体制を整え、主に東京のメーカー向けに供給している。
冷凍は単に日持ちを伸ばす技術ではない。配送距離、納品タイミング、供給先の業態を変え、製造の設計思想そのものを変える。

福祉の現場で求められる安定供給とも相性が良く、OEMとしての再現性も高い。社長就任当時(約10年前)に約11億円だった売上は、産業給食・学校給食・福祉・OEMという複数の柱で拡大し、グループ全体で約30億円ほどへ。成長の本質は、流行の新規事業ではなく、既存の強みを別市場へ“移植”してきたことにある。
輸出は売上ゼロ、物流から設計し直す
同社は冷凍技術を基に、日本食の海外輸出も目指す。しかし現時点で輸出の売上はゼロだ。夢の数字を先に置かない。課題を具体に置く。その最大の論点が物流である。冷凍の流通、混載、コンテナ充填――海外へ出すとは、工場の外側の仕組みを持つことだ。
物量がまとまらなければコンテナは埋まらず、混載や輸送コストの壁が立ちはだかる。当初は輸出ターゲットとして香港・台湾を想定していた一方で、ブランディング会社の提案を受け、フランスなど欧州方面も視野に入れ始めている。
フランス向けには「精進料理弁当」を文化体験として打ち出す試みも進めている。ここで重要なのは、海外を“販路”としてだけ見ないことだ。日本食を、価格競争に投げ込むのではなく、文化として価値づける。そのためのプロダクト表現を、冷凍という形式に落とし込む。輸出は、工場を増やせば自然に伸びる領域ではない。国内の供給網とは違う設計変数があり、同社はそこを真正面から課題として掲げた。売上ゼロから始めるのは、遅れではなく、仕組みを先に作るための前提条件である。
工場キャパの壁、24時間稼働に頼らない
成長が進むほど、工場キャパシティは経営課題として露出する。24時間稼働で生産量を上げる選択肢はある。しかしそれは、従業員の疲弊や現場負荷という別のコストを積み上げる。持続性を犠牲にした成長は、食の事業にとって最も危うい。
同社は「規模拡大のために何工場作るか」という根本の問いに直面している。工場投資は軽くない。20年前に新工場を建てた際には約8億円の投資があった。一般的な大工場建設は6~7億円程度の投資規模が想定されるという認識もある。
だからこそ、工場を“積み上げる”だけの単純な拡大ではなく、ゴールから逆算した成長戦略を描き直す検討を進める。ここに「100億」を掲げる企業の現実感がある。

投資は設備の意思決定であり、同時に組織の意思決定でもある。新工場が増えれば、人も増え、管理の難度も上がる。生産能力だけでなく、運用能力、育成能力、統制能力を含めて“工場を持つ資格”が問われる。同社はその論点を、現場の疲弊という言葉で早期に捉えている。
任せる経営へ、外部知で成長を加速
同社は、以前のトップダウンやワンマン経営から転換し、社長が「任せる」スタイルへ舵を切った。任せるとは、丸投げではない。専門家やスカウトした外部人材、コンサルを積極的に取り入れ、ポイントごとにプロを入れる。事業立ち上げ、財務の見直し、採用・ブランディングなど、必要な機能を外から接続してきた。その結果として、産業給食・学校給食・福祉・OEMという複数の柱を伸ばしている。
組織面では、定着率向上のために待遇の底上げや、称賛や小さな手当といった感情的報酬も実施し、職場の雰囲気改善に努めてきた。食の現場は、オペレーションの精度が品質を決める。精度は、人が辞めないことで積み上がる。人材をコストではなく、品質の源泉として扱う姿勢がある。

若手の現場責任者に大きな裁量を与え、第二工場の工場長を若手に任せたように、成長の席を用意していく。事業が多角化し、グループ化が進むほど、「任せる」を支えるガバナンスが必要になる。
Food is life、100億を“手段”にする
同社は「フードイズライフ (Food is life)」をキーメッセージに掲げる。日々の食事の大切さ、食育、地域や国際社会への食文化の普及を重視する。理念は掲げるだけでは届かないため、ビジョンマップとしてイラストや漫画で表現した冊子をつくり、社員にも読まれる形へ落とし込んだ。
創業50周年の記念誌制作をきっかけに、経営計画書も漫画や写真を多用して分かりやすくしている。理解される言葉に変換すること自体が、組織づくりの施策になっている。
100億宣言は、当初は補助金申請がきっかけだった。しかし書き上げることで「やるべきだ」と本気になった。社会性を重視する一方で、事業の持続性・拡大が社会貢献を実現する手段だと位置づける。社員の幸せを目的に成長戦略を描く―――ここでいう成長は、数字のための数字ではない。

今後は10年ビジョンや幹部合宿で方針策定を予定し、既存事業の推進と新規事業検討、組織・採用戦略、財務・ガバナンス整備を含めてロードマップを描く。100億は、到達点であると同時に、組織を更新するための設計図でもある。
柱を増やし、仕組みで100億へ近づく
オーケーズデリカ株式会社は、産業給食で磨いた供給力を、学校給食の衛生基準で鍛え、福祉・OEM・冷凍へ展開してグループ約30億円規模へ到達した。
次の勝負所は、輸出の物流設計、工場キャパシティの限界、組織とガバナンス、そして大型投資を成立させる財務戦略である。銀行5行程度との定期的なコミュニケーション、外部の財務コンサル活用、M&A(「コスモミート」など)も含め、同社は外部知を取り込みながら意思決定の精度を上げてきた。
これからは、工場を増やすだけの拡大ではなく、ゴールから逆算した成長戦略へ描き直す局面に入る。「Food is life」を掲げ、食の価値を文化として広げる。そのために100億を選び、仕組みを作り、任せる経営をさらに強くする。積み上げてきた現場力を、次のスケールへ変換していく。
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