100億企業化

【100億宣言】真空・半導体分野で世界をリードする金属加工企業

2025.12.09

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山形県鶴岡市に本社を構える同社は、半導体製造装置や真空関連装置の分野で世界を舞台に挑戦を続けている高精度金属加工企業です。30年以上にわたり難易度の高い加工に挑戦し続け、国内外の顧客から厚い信頼を獲得してきました。

今回のインタビューでは、代表取締役の楯岡社長に「100億宣言」に込めた想いと、その背景にある経営理念、これまでの歩み、さらに今後の成長戦略についてじっくりお話を伺いました。
 
 

企業情報
会社名
株式会社サンテック
設立
1988年7月
従業員数
150名
事業内容
工作機械(マシニングセンタ、NC旋盤、NCフライス、汎用旋盤、ボール盤等)や溶接作業による、各種金属部品の加工やユニット組立の受託生産
100億宣言
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/00720-00.pdf

 
 

創業の歩みと会社の原点

1988年、バブル経済の真っただ中にサンテックは設立されました。
設立の背景には、東京・青梅市に本社を置く指田製作所の事業拡張と生産分散の方針がありました。当時、指田製作所では受注が増えすぎて東京での拡張が難しくなっており、その新たな生産拠点として、創業者の出身地である山形県鶴岡市に工場を設けることが決まりました。
現会長の指田重治郎氏は、もともと鶴岡出身で、高校卒業後に都内の日本電子株式会社へ入社。電子顕微鏡関連の調達業務などに携わっていましたが、20代で指田製作所へ転じ、創業家の養子となりました。その後、1988年に鶴岡への新工場設立を主導。これがサンテックの創業につながりました。
創業当初は、東京の指田製作所からの仕事を中心に請け負う体制でスタート。指田製作所で訓練を積んだ人材が鶴岡に移り、現地で加工を引き継ぐ形で生産を開始しました。東京では対応が難しいとされる高精度・高難度の案件が回ってくることも多く、そうした仕事に取り組むなかで自然と技術力が磨かれていきました。
やがて、「下請けの仕事をこなすだけではなく、自らの技術で新しい価値を生み出そう」という方向性を明確化し、真空用途の精密機械加工という専門分野への挑戦が始まりました。このとき掲げた「真空用途の精密機械加工で世界規模の企業との取引を目指す」という想いが、今日まで続く同社の理念の礎となっています。
 

2.事業の中核と技術的な強み

同社の中核事業は、半導体製造装置に不可欠な「ターボ分子ポンプ」のコア部品加工です。この部品は世界中の半導体工場に導入されており、同社はその重要部品を長年供給してきました。また、電子顕微鏡や航空機の主要部品など、超精密加工が求められる分野でも「最後はここに頼めば間違いない」と顧客から評価されてきました。難易度の高い案件に応え続ける姿勢こそが、顧客からの厚い信頼を支えています。
製造体制も充実しています。マシニングセンターを約50台、NC旋盤も50台以上保有し、年間数千種類におよぶ多品種部品をジャストインタイムで供給する体制を整備。さらに製造技術グループが工程設計を担い、品質を安定化させています。
 
▼イメージ▼

 
「難しいものほど私たちの出番。最後に頼られる存在であることが、最大の強みです」
この技術力と生産体制が、国内外の大手メーカーから長年にわたり直接指名を受け続ける理由となっています。
 

「100億宣言」に込めた意味

2025年に発表された「100億宣言」は、単に売上100億円を目指すという経営計画ではありません。楯岡社長は次のように語ります。
 

 
「100億円という数字そのものに執着はありません。大切なのは資金を残し、社員に賃金として還元し、地域に還元していくこと。そのための象徴が“100億”なのです」つまり、100億円は目標ではなく手段。全社員が目指すべき分かりやすい指標の一つです。企業が成長し続けることで、社員の生活を豊かにし、地域の雇用や発展に寄与することが真の目的です。
この宣言はまだ始まったばかりであり、今後、全社的な取り組みとしてどのように形になっていくかが注目されています。経営層としては、社員一人ひとりが「なぜ100億を目指すのか」を自分ごととして考え、共に成長を実感できるような環境づくりを進めていきたいとしています。
 

成長戦略の柱

成長戦略は大きく4つの柱で整理されています。
 

 

1 部品の大型化への対応

半導体や電子顕微鏡分野では部品の大型化が進行しています。これに対応できる設備とノウハウを整備することが、今後の国際競争で生き残る必須条件となります。同社は積極的な設備投資により、このニーズに応える体制を整えています。
 

2 自動化・省人化

半導体や電子顕微鏡分野では部品の大型化が進行しています。これに対応できる設備とノウハウを整備することが、今後の国際競争で生き残る必須条件となります。同社は積極的な設備投資により、このニーズに応える体制を整えています。
 

3 超精密加工の研究開発

安田工業と共同で、最新の5軸加工機を活用した超精密加工の研究開発を進めています。従来は困難とされた複雑形状の高精度加工が可能となり、世界市場での競争力をさらに高めていく計画です。
 

4 グローバル展開

昨今の円安相場や国際政治状況を鑑み、海外市場、とりわけヨーロッパでの事業拡大を重視。現地展示会に積極的に出展していく予定であり、新規顧客との接点を拡大していきます。また、ベトナム拠点を活用して外資系企業との直接取引を進め、グローバルサプライチェーンの中で存在感を高めています。
 
 

人材育成と組織文化

同社にとって最大の資産は人材です。技能検定の取得を積極的に支援し、すでに累計60名以上が合格しています。スキルやコンピテンシーに基づいた昇格制度を採用しているため、年齢に関わらず実力があればリーダーに抜擢される文化があります。
 

 
「若い社員が責任あるポジションに挑戦できることが、組織の活力につながります」平均年齢は39歳。20~30代が従業員の過半数を占め、現場の中核を担っています。若手の挑戦を支える仕組みが、会社全体の成長を加速させています。
また、経営理念として「ベストユーザーに愛される会社」「社員の力を発揮できる会社」「豊かな社会の発展に貢献する会社」を掲げています。毎日の唱和、ボランティア活動、教育支援を通じて理念を浸透させ、単なる標語に終わらせず、文化として根付かせているのも特徴です。
 

補助金活用と投資戦略

これまで同社は累計20億円規模の補助金を獲得し、設備投資や工場拡張を進めてきました。代表的なものは、サプライチェーン補助金(5億円)、ベトナム工場関連の支援(1.5億円)、山形県からの補助(約1.8億円)などです。
補助金を活用することで、過度に借入に依存せずに投資を実現。新工場建設や最新設備の導入などを堅実かつ大胆に進めてきました。堅実さと攻めの姿勢を両立できた背景には、この補助金活用の巧みさがありました。
 

グローバル展開と未来展望

今後は海外市場での存在感をさらに強化していきます。特にヨーロッパを中心に展示会へ積極的に参加し、新規顧客を開拓。ベトナム拠点も稼働し、外資企業との関係構築を深めています。一方で、地域社会との共生も重視する点もみられました。特に地元高校との連携や採用活動を通じて若手人材の育成を続けています。地域のボランティア活動や教育支援にも力を入れ、「地域に根差しながら世界と戦う企業」という姿勢を示し続けています。
 

 
「最終的に目指すのは、社員が誇れる会社。地方からでも世界市場で挑戦できるモデルを示したいのです」
 

まとめ ― 地方発ものづくり企業の挑戦

今回のインタビューで浮かび上がったのは、売上数字ではなく「人と地域」を大切にする姿勢です。世界シェアを誇る高精度加工技術を武器に、若手育成、堅実かつ攻めの投資戦略を推し進めています。
「100億宣言」は単なる目標ではなく、社員の幸福と地域の発展を両立させる理念的な挑戦で
す。地方から世界に挑む企業モデルとして、多くのものづくり企業にとって指針となる取り組みといえるでしょう。

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執筆者名:アカウントパートナー推進部

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