100億企業化

【100億宣言】アスミホールディングス、M&Aと“事業化”で描く建設業界の次世代戦略

2026.03.26

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【100億宣言】アスミホールディングス、M&Aと“事業化”で描く建設業界の次世代戦略
 
建設業界が直面する伝統的な請負モデルの限界。その構造的課題に対し、M&Aによる事業領域の拡張と、土地の仕入れから開発・建設までを一気通貫で手掛ける「事業化」を両輪で推進し、100億円企業への道を切り拓く企業がある。アスミホールディングス株式会社だ。同社は、単なる規模拡大を追うのではなく、事業ポートフォリオの変革を通じて、企業、ひいては地域社会や業界全体の課題解決に挑む。その成長戦略は、終わりなき挑戦の連続だ。

企業情報
会社名
アスミホールディングス株式会社
設立
2022年12月1日
従業員数
81名(グループ全体)
事業内容
土木工事、鉄道関連施設の建設・保守、民間建築物の設計・施工、土地の仕入れ・企画・設計・建設・販売、資材の製造および管理
100億宣言
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/01280-00.pdf

 

独立、そして見据えた「請負」の先

2011年、代表は長年籍を置いた建設会社を離れ、独立起業の道を選ぶ。それは、単に一つの会社を興すという決断ではなかった。創業当初から、価格競争や景気の波に左右されやすい従来の「請負」モデルの先に、自らが事業の主導権を握る未来を見据えていた。
 
「経営している限りゴールはない」。この言葉に象徴されるように、現状維持は停滞を意味する。受注して施工するという枠組みの中で数字を積み上げるだけでは、いずれ限界が訪れる。その危機感こそが、アスミホールディングスの原動力であり、常に次の一手を模索し続ける企業文化の礎となった。創業は、終わりなき成長への挑戦の始まりを告げる号砲だった。

成長の第一エンジン、鉄道インフラ企業との融合

創業から数年、着実に事業基盤を固める中で、同社は大きな転機を迎える。2019年、JR関連の工事を主軸とし、地元で堅実な経営を続けてきた歴史ある建設会社をグループに迎えたのだ。このM&Aは、単なる事業規模の拡大にとどまらない、質的な飛躍をもたらす戦略的な一手だった。


 

公共性の高い鉄道インフラ事業は、安定した収益基盤となる。それまで自社が培ってきたノウハウに加え、数十年にわたり特定領域で専門技術を磨き上げてきた企業の知見と信頼が融合した。このM&A成功体験は、同社に「自分たちにないものを外部から取り込み、より大きな価値を創造する」という成長方程式を確信させ、その後のM&A戦略の基盤を形作ることになる。盤石な事業基盤の獲得は、次なる挑戦に向けた力強い助走となった。

三方良しの採用革新。社会人野球チームという「解」

成長戦略を加速させる上で、避けては通れないのが「人」の問題だ。特に建設業界では、若手人材の確保は長年の経営課題となっている。この難題に対し、同社は極めてユニークなアプローチを打ち出した。社会人野球チーム「アスミビルダーズ」の設立である。


 

これは、単なる福利厚生や企業PRの施策ではない。そこには、「業界の人材不足」「野球選手のセカンドキャリア問題」「地域からの人口流出」という3つの社会課題を同時に解決しようという強い意志が込められている。野球に打ち込んできた若者たちを新卒社員として迎え入れ、仕事と競技を両立できる環境を提供する。この取り組みにより、同社は一般公募では獲得が難しい、熱意ある若手人材の安定的な採用チャネルを確立した。
 
近年では、採用した選手を自社だけでなく、趣旨に賛同する取引先企業にも配属させることで、業界全体への貢献も視野に入れる。自社の成長が、地域や業界の活性化に繋がる。この「三方良し」の精神が、同社の採用戦略の根幹を成している。

ホールディングス体制への移行。多様な文化を束ねる求心力

M&Aによって多様な企業が参画する一方、新たな課題も生まれる。それは、それぞれが持つ歴史、文化、および給与体系や評価制度といった社内制度の統合だ。特に、数十年の歴史を持つ企業をグループに迎えた際、その伝統や仕事の進め方を一方的に変えることはできない。それぞれのプライドを尊重しつつ、いかにしてグループとしての一体感を醸成し、シナジーを最大化するか。
 
その解として、同社はホールディングス体制を構築した。各事業会社の代表はホールディングスの役員も兼任し、グループ全体の経営方針や重要事項を「協議して決める」仕組みを徹底。特定の事業会社が主導権を握るのではなく、あくまで親会社であるホールディングスが最終決定権を持つことで、公平性と透明性を担保する。このガバナンス体制が、異なる背景を持つ組織を一つのベクトルに束ね、グループ全体の求心力となっている。

請負からの脱却。「事業化」で利益構造を自ら創る

安定した事業基盤と人材獲得の仕組みを確立した同社が、次なる成長の核として注力するのが「事業化」だ。これは、従来の請負モデルから一歩踏み出し、自社で土地を仕入れ、企画・開発・建設・販売までを一気通貫で手掛けるビジネスモデルへの転換を意味する。
 
請負事業では、どうしても発注者の意向や価格競争力に収益が左右される。しかし、「事業化」においては、自らの意思で付加価値を創造し、利益率をコントロールすることが可能になる。これは、大手デベロッパーの事業スキームにも通じる考え方であり、建設業がサービス業、開発業へと進化していく姿ともいえる。


 

この戦略転換は、一人当たりの生産性を飛躍的に高める可能性も秘めている。単純な人員増による規模拡大にはリスクが伴うが、事業構造そのものを変革することで、より少ない人数で大きな売上と利益を生み出すことができる。同社は、この「事業化」こそが、持続的な成長を実現するための鍵であると確信している。

上場と「100億宣言」に込めた覚悟

かねてより経営目標として掲げてきた「売上100億円」。その志は社内に留まることなく、企業としての透明性と信頼性を公に示すステップへと向かう。同社は、次なる成長ステージへの体制を整えるため、TOKYO PRO MARKETへの上場を果たした。これはゴールではなく、社会的な公器となるための、いわば”覚悟”の表明であった。


 

さらに、その株式公開というコミットメントに続き、国の「100億企業宣言」という施策と結びついたとき、目標は社内外へのより力強いメッセージへと昇華する。
 
これらの公の宣言の狙いは、資金調達や補助金といった実利的な側面だけではない。「自分たちは上場企業であり、100億円を目指す企業の一員なのだ」という意識を全社員で共有し、士気を高めることにある。経営者が語るだけでなく、公の目標として掲げることで、それは揺るぎない”旗”となる。
 
100億円という数字は、あくまで一つの通過点に過ぎない。しかし、その旗を目指して全社が一丸となるプロセスそのものが、組織をより強固なものへと鍛え上げる。上場、そして100億宣言は、アスミホールディングスが次のステージへ進むという、確固たる意志の表明なのだ

未来への布石。ヘルスケア領域への挑戦と次世代への継承

「事業化」を推進する上で、最初のターゲットとして選んだのがヘルスケア施設、すなわち老人ホームの開発だ。社会的な需要が見込める一方で、大規模なマンション開発などに比べて事業規模が比較的手頃であり、自社の現在の実力でも十分に「勝てる」市場だと判断した。
 
まずは着実に成功事例を積み重ね、事業化のノウハウを蓄積していく。5年程度はこの領域で事業を伸ばしつつ、また次の新たな市場を探っていく。この堅実な戦略は、リスクを管理しながら着実に成長を目指す同社の姿勢を物語っている。
 
さらに、この新たな挑戦を推進するため、大手企業で開発のノウハウを学んだ後継者がグループに加わった。外部で得た新たな知識や視点が、社内に新しい風を吹き込み、事業化戦略をさらに加速させていく。未来を見据えた人材への投資と継承もまた、同社の重要な成長戦略の一つだ。

成長を加速させるM&A戦略。欠けているピースを求めて

100億円という目標を3カ年で達成するために、オーガニックな成長だけではスピードが足りない。そこで鍵を握るのが、これまでも成長の原動力となってきたM&A戦略だ。ただし、その狙いは以前とは変化している。
 
かつては事業の柱を増やすためのM&Aだったが、これからは自社のバリューチェーンに欠けている「ピース」を埋めるための戦略的M&Aを重視する。具体的には、民間建築の施工能力と、現代の建設プロジェクトでボトルネックとなりがちな「設備」関連の機能だ。


 

同業種を買収して水平的に規模を拡大するのではなく、川上から川下まで、自社グループ内で完結できる体制を構築する。この垂直統合によって、外部環境の変化に強い、高付加価値な事業体へと進化を遂げようとしている。M&Aは、同社にとって成長を加速させるための、極めて戦略的な一手であり続ける。

終わりなき挑戦。地域と業界の未来を創るコングロマリットへ

アスミホールディングスの歩みは、建設業界の枠組みを超えた挑戦の連続だ。M&Aによる事業領域の拡張、社会課題の解決に繋がる独創的な人材戦略、そして請負モデルからの脱却を目指す「事業化」。その根底には、現状に甘んじることなく、常に変化し続けるという強い意志がある。
 
同社が目指すのは、単なる巨大な建設会社ではない。多様な機能を持ち、自らの意思で事業を創造する「建設コングロマリット」としての姿だ。その挑戦は、自社の成長だけでなく、地域経済の活性化、そして建設業界全体の未来をも照らし出していく。アスミホールディングスの終わりなき航海は、まだ始まったばかりだ。

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佐藤 大輝

執筆者名:佐藤 大輝

新卒で株式会社船井総合研究所に入社。医療機関向けのコンサルティングに従事し、入社3年目にして歯科コンサルタント部門MVP受賞。マーケティング全般を得意とし、集客のみならず採用、組織づくりなどのマネジメント分野においても、マーケティング視点を活かした戦略立案から実行サポートを行う。業界内の中小〜中堅規模のクライアントに対し、集客支援にとどまらず、組織変革を伴う事業推進を主導してきた。

コンサルティングを通じ、単に規模を拡大するだけでなく、人・社会の幸福を追求できる「強い企業」創りを目指す。事業の急成長に伴う組織の歪みや課題を、マーケティングとマネジメントの両輪で解決し、次なるステージへと飛躍する企業の確固たる礎を築いていく。

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