100億企業化

100億企業化へのM&A―③―

2025.12.12

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いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
株式会社船井総合研究所 取締役専務執行役員兼、
株式会社船井総研あがたFAS 代表取締役社長の出口 恭平です。

船井総研グループでは、2025年の1月に、事業承継・M&Aを専門とするグループ会社、船井総研あがたFASを立ち上げ、譲渡側・譲受側両方のM&Aのサポートをおこなっています。
今回は、3社によるM&Aによる100億企業化のモデルケースを詳細に解説させていただきます。このモデルケースが、次のステージを目指す企業の皆様にとって、具体的な戦略立案のヒントや、新たな成長への選択肢となれば幸いです。
どうぞ最後までご覧ください。

※前回の内容はこちら 100億企業化へのM&A―②―

M&Aによる100億企業化のモデルケース①

スターティア様のご紹介

スターティア様は、現在は売上200億を超えられているOA機器販売業界の大手企業様です。
先日、当社のOA機器販売業向けの勉強会で、笠井会長にご講演頂いたのですが、私は痛く感銘を受けました。
 
笠井会長がこの事業を始められた時は、いわゆる、どぶ板営業で、毎日、飛び込み営業、電話営業。成果が出なければ、土曜も出勤して営業、という世界だったということですが、
売上高が25億円ぐらいの時に、笠井会長は、

「これでは社員も会社も疲弊する。こんなことでは100億はいかない。」
「もっと、会社のためにもなり、お客様のためにもなり、取引先のためにもなり、業界全体が良くなる方法はないのか」

と考えられ、M&Aを成長戦略の中心に据えられた、というのです。

つまり、営業担当者は一切新規営業をしない。後継者がいない同業者をM&Aでグループ化して、新規のお客様を増やしていく。営業担当者は、既存のお客様に喜んでいただくことをすることに徹する。
営業担当者が追いかけるのは、新規開拓の数字ではなく、お客様の満足度、取引先の満足度です。
実際に、毎年、お客様満足度調査、取引先満足度調査を徹底され、それを最重要KPIにされています。
そうして、15社をM&Aでグループ化して、売上100億を突破、そして、200億に達されたのです。
 
M&Aにおいても、「経営者、従業員、お客様、取引先がみんなハッピーになる、四方良しのM&Aしかしない」ということを徹底されておられるため、M&Aした先の社員さんも殆ど辞めない、業績も伸びている、ということです。

そして、そういう評判を聞いた同業者が、後継者に困ると、グループインを打診してこられる。そういうことを実現されています。
実は、勉強会とセミナーで、笠井会長のお話を2度聞いたのですが、2度とも大変感動しました。

M&Aによる100億企業化のモデルケース②

医療法人さくら会様のご紹介

今年のサステナグロースカンパニーアワードのM&A/事業承継賞を受賞された、医療法人さくら会様。
医療の世界では、病院のM&Aは10年以上前から盛んに行われていましたが、診療所、いわゆるクリニックのM&Aはそれほどではありませんでした。
しかし、例えば歯科で言うと、さくら会様は現在24拠点、医療収入も50億円を超えられ、直近の3年間で8つのクリニックをM&Aされています。

歯科業界では多くが1医院で、拠点展開されている法人が少ない中、24拠点というのは群を抜いています。
そして歯科業界は、他の業界と同様に経営者の高齢化が進み、事業承継に悩んでいるクリニックが多い中、圧倒的に譲受手が不足しています。
業界外の方は、歯科医院はご子息、ご息女が継がれるケースが多い印象を受けられているかも知れませんが、実際には、ご子息・ご息女が継がないケースが圧倒的に多いのです。

そのため、数少ない譲受手に沢山の承継希望案件が殺到することになります。
このような業界は他にもあり、他社に先駆けて、M&Aに取り組み、また、その体制を作られた法人、企業は、業界の圧倒的な革新者になる可能性があるのです。

殆どが1医院である歯科業界にあって、今回のモデルケースであるさくら会の黒瀬理事長は、当初は自前で、分院展開を積極的にされていました。その頃から「なぜ、拡大するのですか?」とよく周囲に聞かれたそうです。

黒瀬理事長の答えば明確です。

「当初は患者さんのため。増え続ける来院患者さんに対応するために、分院を出した」
「次の段階では、従業員のため。従業員が分院長など、次の成長のステージがあり、将来に希望が持てるように、更に分院を展開した」
「現在は、法人の理念実現のため。歯科を通じて日本に予防医療を普及させ、患者様を救いたい。治療そのものを減らしていきたい」

このような理念が明確であるからこそ、その理念に共感される院長先生が、承継のお話を持ち込まれます。
当社主催のM&Aセミナーで黒瀬理事長にご登壇いただいた際も、ご参加の先生が、承継の相談をされていました。

100億化へのM&Aの鍵は、意外なことに経営理念の構築と浸透にあるのです。

M&Aによる100億企業化のモデルケース③

GENDA様のご紹介

GENDA様は、2018年の設立以来、「楽しさの総量」の増加をミッションに掲げ、ゲーム、エンターテイメント領域を中心に積極的なM&Aを実施しており、その件数は創業来40件(2025年3月時点)に上ります。創業から5年でグロース市場に上場し、その後わずか半年で時価総額1,000億円を突破しました。

船井総研のお付き合い先の企業様の場合、当初は自前で店舗展開、拠点展開され、その後、業界の成熟してくる中で、M&A戦略に舵を切られる場合が多いのですが、GENDA様は、その設立時から、超成熟化したゲーム・エンターテイメント業界において、M&Aによる業界再編、業界革新を戦略の中心に据えておられるとも言えます。  

このような企業に触れると「自社とは違う」、「凄いけど、自社の参考にはならない」と思われる方も多いのではないでしょうか?
しかし、私は、まさに、これこそ「びっくり現象」だと感じました。
「びっくり現象」というのは、私が船井総研に入社してから知り、感心した船井幸雄の言葉の1つです。
上手に経営するためには、時流を読み、時流に適応することが大切。ここまでは、誰しも、それはそうだ、と思います。問題は、では、どのように時流を読むのか?です。  船井幸雄は、時流を読むコツは「びっくり現象」を見ることだと言います。「びっくり現象」とは、今までの世の中にはなかったこと、今までの常識では考えられないこと、にわかには本当なのか信じられないようなことも、これに含まれます。これらの「びっくり現象」の中に、未来のヒントがある、というのです。

当社・当グループでは、様々な業界のM&Aの状況を把握・情報提供に努めています。
また貴社の事業や実情に合わせ、なM&A戦略の選択肢をご提案しております。
どのような戦略的M&Aが現実的に可能か、一度、貴社の選択肢としてご検討されてはいかがでしょうか。
M&A戦略のご相談や、具体的なサポートにご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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出口 恭平

執筆者名:出口 恭平

関西大学社会学部卒業後、2004年 船井総合研究所入社。
2005年から法律事務所のコンサルティングを開始し、日本における士業分野のコンサルティングを創出・確立した。
社会性と収益性を両立する経営を一貫したテーマとし、2014年から医療・福祉・教育分野の責任者として、同部門を主力部門に成長させた。
2020年3月、船井総合研究所 取締役 専務執行役員に就任。
2025年1月、M&Aと事業承継を専門とする、船井総研あがたFASを設立し、代表取締役社長に就任。

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