100億企業化
企業の成長における「踊り場」を最短にするために経営者がすべきこと
2025.05.19
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船井総合研究所 アカウントパートナー推進部 マネージング・ディレクターの鈴木圭介です。
企業の成長は、多くの場合、一直線には進みません。
船井総研の知見によれば、企業は「N字型」の成長曲線を描くことが多く、その過程で必ず「踊り場」を迎えます。
この踊り場とは、これまでの成功パターンやビジネスモデル、組織体制が限界を迎え、成長率が鈍化したり、あるいは業績が低下したりする時期を指します。
当社のお付き合い先でもある横山興業株式会社様の事例では、市場が微減する中でもV字回復を遂げ、100億円に到達されていますが、その過程では売上が大きく減少する時期も経験されています。
この落ち込みから再び成長軌道に乗せるために、新技術の導入や新規事業開発、未来に向けた投資などを継続されています。
踊り場、特に「再構築フェイズ」と呼ばれるこの時期には、業績の低下、生産性の低下、離職率の増加、最悪の場合には不正の増加といった様々な課題が顕在化することがあります。
しかし、より本質的な問題は、この時期の経営課題が特定し難く、潜在的なケースが多いという点にあります。
経営者自身も課題意識が不明瞭なことが多く、これまでの延長線上にある解決策を試みても、根本的な変革には繋がらず、同じことが繰り返されやすいのです。
目次
踊り場脱出の鍵:「改善」から「変革」へのシフト
従来の延長線上の「改善(インプロブメント)」だけでは、この踊り場を脱することは困難です。
例えば、新規出店や新規エリア進出といった既存事業のブラッシュアップは、比較的短期間(1~2年)で成果に繋がる「改善」のアプローチと言えます。
しかし、踊り場を抜けて非連続な成長を実現するためには、新規事業の立ち上げ、事業ポートフォリオの最適化、「攻め」のホールディングス化、M&Aといった「変革(イノベーション)」のアプローチが必要になります。
これらの変革は、成果が見えるまでに3~5年といった時間を要し、緊急ではないものの、企業の将来にとっては極めて重要な事項となります。
横山興業様が市場微減の中でV字回復を達成された背景には、主事業での新技術導入に加え、本業周辺からの新規事業立ち上げや、複数の技術開発・新規事業開発のバリエーションをお持ちであったことが挙げられます。
特に、既存技術を活用して新市場を開拓するようなアプローチは、新たな成長ドライバーとなり得ます。
未来に向けた挑戦や投資を、苦戦する時期であっても継続された点も、再構築フェイズを乗り越える上で非常に重要になります。
企業の成長は必ず踊り場を迎えますが、その期間をいかに短くできるかが、その後の持続的な成長を左右します。これまでの延長線上ではない、抜本的な「変革」戦略が必要になるのです。
非連続な成長を実現する「10年ロードマップ」
企業の成長における「踊り場」を最短にし、非連続な飛躍である「ムーンショット成長」を実現するためには、これまでの経営計画の考え方をアップデートする必要があります。
多くの企業で策定されている中期経営計画は、一般的に3ヶ年程度の期間を設定し、月次KPIを積み上げる「積上方式(フォアキャスト)」で現実的な目標達成(90~100%)を目指すものです。
これはこれで重要ですが、新規事業の立ち上げや抜本的な組織・財務改革といった、成果に時間がかかる「変革」を計画に組み込み、実行するには限界があります。
中期経営計画だけでは、新しい事業への転換や大きな挑戦が難しく、時には足かせになってしまうこともあるのです。
そこで重要となるのが、「10年ロードマップ」の策定です。
10年ロードマップは、文字通り10年間の長期的な視点に立ち、目指したい非連続的な未来の姿から逆算して計画を立てる「逆算方式(バックキャスト)」を採用します。
達成度は70~80%というビジョン基準で設定し、直近3年間の現実的な計画と、4年目以降の想像・夢想を組み合わせて構築します。
これにより、短期的な視点では難しく思える大きな目標や、その達成に必要な抜本的な変革を計画に落とし込むことが可能になります。
ムーンショット成長を導く「逆算方式」とPMVVの重要性
「ムーンショット」とは、困難は伴うものの野心的で夢のあるビジョンや計画を指し、J.F.ケネディ大統領のアポロ計画のように、強い意志と明確な目標設定がその実現を可能にします。
10年ロードマップ策定の出発点となるのは、経営者自身が「ワクワクする」ような未来のビジョンを描くことです。
このワクワクするビジョン、すなわちPhilosophy(理念)、Mission(ミッション)、Vision(ビジョン)、Value(バリュー)といったPMVVは、企業が根幹として実現していきたいこと、社会的な課題と連動する「すべきこと」を明確にし、計画全体を貫く指針となります。
PMVVを明確にし、10年後の目指す姿を発信することは、社内外に対し企業の方向性を示す上で極めて重要です。
特に、将来の幹部候補となる優秀な人材を引きつけ、育成し、定着させるためには、「この会社には10年後、こんなワクワクする未来が待っている」「あなたにはこのポジションが用意されている」と示すことが不可欠です。
10年かけて成長したメンバーが、会社の将来に不安を感じて離職してしまうことを防ぐためにも、明確で魅力的なビジョンは必須なのです。
このように、10年ロードマップは単なる数値目標の羅列ではなく、PMVVを核に、企業の存在意義と将来の姿を描き、そこから逆算して必要な戦略要素を組み込んでいく、ムーンショット成長を実現するための羅針盤となるものです。
日本企業のトップ1%の売上高100億円を目指し、
逆算したロードマップ策定・実行をサポートします
「100億企業化」とは、中小企業が持続的成長を遂げるために、重要な戦略の一つになります。現在、政府も売上高100億以上を目指す中小企業へ補助金や税制優遇策などを検討・後押し始めております。
船井総合研究所では、2022年より本格的に開始した「100億企業化プロジェクト(10年ロードマップ策定プロジェクト)」にて、70社以上の企業様からコンサルティングのご依頼をいただいています。
2022年~2023年にロードマップを策定された企業様の業績を確認させて頂くと90%ほどが業績を向上させておられ、その内20%は、ここ数年の中でも最も大きな業績向上幅を実現されています。
先が見えない時代だからこそ、先を見る力が必要であり、軌道修正を繰り返しながら、成長戦略を描き、実行することが重要です。
当社の100億企業化コンサルティングについて、下記ページにまとめました。
ぜひともに戦略を立てていきましょう。

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