パーパス経営

低成長時代でも伸び続ける中堅企業の特徴とは?

2023.04.24

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低成長時代でも伸び続ける中堅企業は何が違うのか?

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売上規模や社員数の多さだけが企業の良し悪しの判断軸ではありませんが、私どもは「良い会社(組織)であり続け、

世の中に良いことをし続けている会社には人(社員、顧客)が集まり続ける」という考えのもと、

「組織のカベ」を超えて、100名超え、300名超え、1000名に近づける企業は何が違うのか?

を研究、整理し、お伝えしています。

(ちなみに、社員数が100名超えの企業は1.0%、300名超えの企業は0.3%ぐらいだと言われています。)

 

日本は先進国の中、西暦1990年代から30年近くGDPが横バイの唯一の国です。

そのような経済状態の中、当時社員数数十名足らずだった中小企業が、社員100名、300名と持続的成長を続けている組織になるところは、

やはり、自社のパーパス,PMVV(理念、ミッション、ビジョン、バリュー)へのスタンスに違いがあると考えれます。

 

稲盛さんがおっしゃった「経営に必要な基本項目」とは

売上1.5兆円を超える京セラ創業経営者であり、他にも、その当時、NTTによる1社独占だった電子通信業界で、

無謀と言われながら第二電電(DDI、現在のKDDI)を創業し大成功を収められ、また、70歳を超えてから、

経営不振に陥ったJALの(しかも無報酬で)会長に就任、立て直された、日本が誇る経営者のお一人に稲盛和夫さんがいらっしゃいます。

 

誠に僭越ながら、稲盛さんのお言葉をお借りして、「組織のカベ」を超えるための基本項目を整理させていただきたいと思います。

(ちなみに、稲盛さんは弊社主催の年に1度のビックイベント 「経営戦略セミナー( 2022年6月に95回目を迎えた )」の第35回目のゲストとしてご講演をいただきました。)

 

稲盛さんがかつて、今から35年前、1987年のある講演で、事業成功のための必要な要素についてお話されたことを要約してご紹介させていただきます。

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(以下要約)
「経営に基本的に必要なことは、まずは4項目、①みんなが幸せになることを考えること、

②闘志、負けん気、③(謙虚にして驕らない)誰にも負けない努力、④才覚、ビジネスの知恵です。

 

この4つが備わっていれば、ビジネスは99%成功します。ですが、これだけでは不十分で、あと2つの要素がないと、

中小企業のままで終わるか、途中で破滅する可能性さえあります。

その2つとは、⑤自分に酔うこと、⑥徳・人格、です。」(出典:京セラ㈱稲盛ライブラリー 「経営の本質」)

 

計画づくりの前に大切なことは「酔う」こと

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(「徳・人格」のお話は非常に大切な本質的なお話ですが、僭越至極なお話ですので控えさせていただきまして、)

「酔う」ことの大切さについて、第二電電(DDI、現在はKDDI)を創業される時のエピソードを絡めて以下のようなことをおっしゃっています。

 

「事業をする場合に、一般的に酔ってはいけないということが言われます。事業計画を作るために分析し、

比較し、収支、採算を見て計算します。そうした理性先行でまず考えてしまうと『絶対にするな』という結論にしかなりません。

すべてに計算がつくような事業は、誰かがやっていますから魅力がありません。

 

私は第二電電の創業を決めた時は、情報通信事業は全くの門外漢で、何をどうやっていいのか、さっぱり分からず、五里霧中の状態でした。

ただ、高度情報化社会に進む中で世界的な視野で、情報を伝達するコストが1社独占であることは世の中にために決してよくない。

 

事業には莫大な投資がかかり、事業資源としてはないないづくしで全く勝算はありませんでしたが、

誰も手をあげるところがなければ自分がやるしかない。

 

そして、(動機善なりや、私心なかりしかの自問自答の中で)この思いの熟慮を重ねる中で、

自分自身が自分に酔いました。それが情熱、パッションにつながり、動機付けになりました。

 

“酔う”ことで踏み出せるのです。酔わなければできるわけがありません。

そして、一歩踏み込んだ瞬間から、綿密に計画を(五里霧中の状態ながら)懸命に考えていきました。

 

踏み込んでからは、酔ったままでは失敗します。綿密な計画を必死で立てることが必要です。」(出典:京セラ㈱稲盛ライブラリー 「経営の本質」)

 

稲盛さんのこのお話は、企業が持続的成長するための大切なポイントとして、現在でも全く古びることなく、本質的な内容だと強く感じます。

 

「事業計画」策定と「ビジョン」策定の違い
「ビジョン」からしか変革・イノベーションが起こらない

例えば、社員数50名前後のある企業で300名超えの企業を目指すには、

(右肩上がりの高度経済成長時代ならともかく)ある種、夢に“酔う”ことが必要ではないでしょうか。

 

まず酔って、第一歩踏み出し、踏み出した後に綿密に計画を考える。

そうしたステップがないと全国の0.3%のステージにはいけないと思います。

 

複数の企業を比較検証する中で、「事業計画」を策定することと「ビジョン」を策定することでは一線を画すものであり、

低成長時代でも持続的成長を続けて、中堅企業になっているところは「ビジョン」をしっかり描いているようだ、

ということが分かってきました。

 

「事業計画」というのは過去、現状からの延長線上で計画を立てていくこと(フォアキャスト思考で描くこと)です。

 

その一方で「ビジョン」はありたい姿を描き(夢に酔い)、

そこから逆算して計画に落とし込んでいくこと(バックキャスト思考で描くこと)です。

 

「組織のカベ」を超える、社員300名、1000名超えのためには、バックキャストで夢に酔い、一歩踏み出してから、綿密に計画を立てる。

 

この場合、その計画策定自体は過去の延長線上ではありませんので、答えがすぐに見えるものではありません。

五里霧中の中、1つ上へのギアチェンジ、(単なる改善ではなく)変革・イノベーションするべきことを考え出し、計画をまとめることになります。

 

VUCAの時代と言われる目先不透明な時代には、企業に変革・イノベーションを常態的に起こせるかが問われます。

 

ぜひ、皆さまも従来のフォアキャスト思考での事業計画とは別に、バックキャスト思考でのビジョン策定を構想、推進していただければ、と思います。

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南原 繁

執筆者名:南原 繁

新卒で入社以来、流通小売業、飲食サービス業、製菓製パン業、地域遊休地開発、観光事業、企業CRE戦略、自動車販売業の幅広いフィールドを通じて、船井流マーケティングの基本ベースを習得する。

30年来低成長が続く国内経済で、持続的成長を続ける中堅企業化の共通要因として、戦略・仕組みの上位概念としてのパーパス(PMVV)が必要不可欠であるという視点で、中堅・大手企業に特化した総合コンサルティングサービス構築を進めている。

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