新規事業策定

異業種・新規事業の立ち上げで成功している隠れ企業の共通点

2023.07.10

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約6割の地域で人口が半減以下に うち1/3の地域は人が住まなくなる

先行き不透明と言われるVUCA時代では、未来予測などしても意味がないと言われており、
経営に求められる力として
「シナリオプランニング力(いくつか想定されるシナリオを立て対応する力)」
「レジリエンス力(回復力・耐久力)」、
「グリッド力(やり抜く力)」などが挙げられます。
世界的に一番精度の高い未来予測は何か、ご存知でしょうか。
それは「人口予測」と言われております。

特に、日本は人口統計の正確性が高いため、ほぼ予測どおりになるようです。
少子高齢化と言われてはや10年程度経っており、もはや危機感が薄れておりますが、
国では新たな国家づくりのために、さまざまなインフラが検討されております。
2014年の国土交通省が公表した「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」では、
急激な人口減少・少子化、高齢化により、約6割の地域で人口が半減以下に、
うち1/3の地域は人が住まなくなる、と記載されております。


出所:国土交通省「国土のグランドデザイン2050 ~対流促進型国土の形成~」(2014年)

人口10万人以上市町村を中心地とした1時間圏内を都市圏とした場合、
都市圏は94(2010年)から69(2050年)になり、25都市圏(27%)が減少します。
特に、人口30万人未満都市は27のうち18箇所(67%)が都市圏外に該当する予測です。
みなさまの地域の商圏人口はどのくらいでしょうか。
また、この先の人口予測は把握されておりますか。
自社だけでの生き残りのためには、自社の力だけではなく、立地の取り方が非常に重要です。

10年後を見据え、30万人都市で生き残る

上記のように地域インフラを考えると、
人口の少ない地域での経営は、短期的には競合度が低いかも知れませんが、
中長期的には沈みゆく船かもしれません。
最低でも商圏人口30万人都市に拠点を持つべきだ、とも言われております。
地域別の出店方法として本丸・出城戦略が挙げられます。
本丸は地方商圏に軸足を置きながら、出城として小~中・都市圏(30万人以上)の出店へチャレンジするという考え方です。

やはり強い“移・食・住”ビジネス

家計の支出状況を表す家計調査年報のデータを参照すると、
支出の23.9%が食料で、次の6.0%が移(自動車)を含む住居で、
17.0%が交通・通信となっています。
特に地方地域においても、生活インフラである衣(移)・食・住の市場規模は
一定程度確保されています。


出所:「家計調査報告(二人以上の世帯)」(2019年)
※異常値の少ない消費行動コロナ前データを利用するため、2019年データを使用

やや乱暴な推計ですが、食市場を商圏人口30万人で考えると、
30万人×一人当たり食支出(年間)40.3万円だと、約1210億円になります。
同様に住居市場を圏人口30万人で考えると、300億円になります。
地域内の市場は、ある程度決まっています。
地域密着企業は、どの地域で、どれだけ面で展開し、地域内シェアを高められるかが、勝負の分かれ道です。

例:住宅会社が異業種・新規事業を立ち上げ

地域を面で獲る企業になるために、異業種・新規事業の立ち上げで成功している隠れ企業が増えております。
実際、まさか住宅企業が経営しているとは知らかなった、施設や店舗が実はあります。
例えば、住宅会社のビジネスセンターピンは「仕入」と「集客」です。
土地仕入をしやすくするため、相続を狙った事業として、農業や葬祭、介護事業などです。
また、ターゲットを集客しやすい事業として、家具・雑貨業態やウェディング、フィットネスなどです。


ビジネスのポイントは、入口と出口です。
入口である集客商品を何にするか?出口である収益商品を何にするか?
おもしろそうだから、新規事業を始めよう、ではなく、自社の商流に活かせる新規事業の見極めが必要です。

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今 亮太郎

執筆者名:今 亮太郎

多種多様な業種・業界の中堅・大手向けコンサルティング業務を経験。

具体的には、大手企業の戦略策定や事業計画策定、市場調査など幅広い領域の実務をこなす。

現在は、いい会社を一社でも増やす思いで「成長戦略づくり」「新規事業立ち上げ」「ホールディングス化」「組織づくり」等、の「中堅企業の価値向上支援」を行っている。

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