新規事業策定

少子化でも生き残る塾業界の成長マーケットとは

2021.03.25

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■少子化により学習塾業界は厳しいイメージがあるが…実は

近年、少子化の影響で人口ピラミッドにおける子供の割合が減り続けていることはみなさまご存知のことと思います。
少子化によるターゲット層のシュリンクに加えて、講師などの人手不足や同業他社との競争の激化により、2014年から2018年まで学習塾・予備校業界の倒産件数は上昇しており、世間的には学習塾業界は停滞しているイメージが持たれてしまっています。
しかし、倒産件数が増えている反面、実は市場は横ばい~増加の、安定した成長を維持している、成長市場でもあるのです。

出典)帝国データバンク 教育関連業者の倒産動向調査(2019年1月9日)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190105.html 

出典)日本経済新聞社「矢野経済研究所、国内教育産業市場(主要15分野)の調査結果を発表」 (2019年11月28日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP524305_Y9A121C1000000/

どうしてターゲットは減っているにもかかわらず市場は伸びているのでしょうか?

■業界のなかでも、「伸びているマーケット」がある

我々はよく一緒くたにして「塾業界」と言ってしまいがちですが、その中でもマーケット区分は様々です。ターゲットが小・中・高校生、浪人生のどこに当たるのか、どういった指導方法を行うのかによって市場の動向は全く変わってきています。
先ほど申し上げた、業界の中でも好調なマーケットのひとつは実は予備校事業です。
少子化で若者の人口は減っているものの、2008年ころから”脱ゆとり”教育が叫ばれ、学校以外での学習の需要は増加し続けています。特に、小・中学生の学習塾費用は落ちている中で高校生は増加の傾向にあり、同時に大学進学率も上昇を続けています。
また、学習塾にくらべて予備校は圧倒的に単価が高いことも好調の要因といえます。

出典)文部科学省 子供の学習費調査(平成28年度・平成30年度)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/1268105.htm

出典)文部科学省 学校基本調査(令和2年度)
https://www.mext.go.jp/content/20200825-mxt_chousa01-1419591_8.pdf

もうひとつ、塾業界の近年のトピックスとして、従来の集団指導型や映像授業型モデルから、スタディサプリなどに代表されるように、モバイルを活用したビジネスモデルが次々と増えてきており、単に映像などのコンテンツの強さだけでは勝てない潮流が生まれていることが挙げられます。
予備校のビジネスモデルは大学受験という指導内容の難しさにより人材獲得の参入障壁が高く、そのため動画授業の隆盛がありました。しかし、情報化の時代の中で、カリスマ講師授業のような優良で強いコンテンツに誰でも簡単にアクセスできるようになったことで、その優位性は失われつつあります。

そのような中で、いま新たに注目されているのが、パーソナルに寄り添った個別指導型のビジネスモデルです。フィットネスでも同様のことが言われていますが、情報が氾濫する時代だからこそ、個人が自分で情報の取捨選択をすることが難しくなっています。

塾業界でも、学習習慣のついていない生徒や、どのコンテンツが自分に合っているかわからない生徒にたいして、パーソルに寄り添える指導方法が求められているのです。

■「予備校×個別指導」が成長業態

個別指導という言葉自体はよく聞くけれど・・・と思った方も居られるかもしれませんが、上で申し上げたように、予備校の参入障壁の高さにより、これまで「個別指導の予備校」というのは有力なプレーヤーが生まれにくい状況がありました。

しかし近年は、情報分析により、目指す大学ごとの詳細な勉強方法や個々の生徒の習熟度、学習すべきルートを見える化させることで、現場のスタッフの「勉強を教える存在」という負担を減らし、「生徒に寄り添ってモチベーションを維持させるパーソナルトレーナー」としてのあり方にシフトしている有力プレーヤーも現れはじめています。予備校業界の課題である、参入障壁と人材問題の双方を解決することに成功しているのです。

例えば、兵庫県の人口22万人の住宅立地に校舎がある企業では、開業2年目でコロナ禍でも1校舎あたり年間3000万円の粗利をたたき出しており、この業態は今後伸びる成長領域と言えます。

■新規事業として塾業界に再注目すべき

そもそも塾業界は、初期投資1000万円前後で、1教室30坪、特殊な資格が不要と、新規参入がしやすいことが魅力と言われています。特別な機器等が必要な業種に比べて初期投資が大きくかからず、仕入れの在庫などを抱えるリスクが少ない業態です。加えて、生徒の卒業までという期限はつくもののストック型のビジネスであり、若者と接点が持てるという意味で本業とのシナジーも期待できます。例えば5年間で10教室開校すれば、年間約1億円の営業利益も目指せる業態なのです。

課題は人材の採用であり、受験に必要相当の知識と、教務のスキルも必要であるため、一朝一夕でスタッフがスキル習得できるわけではありませんが、上記のようにシステム化・省人化に成功している企業もあり、フランチャイズで事業参入を検討の際は、人材の採用育成に関してサポートのある本部を検討するのがベターといえます。

昨今のさまざまなトレンドを併せてみれば、少子化のなかでもまだまだ予備校業界の成長は見込めると言え、有望な新規事業検討先といえます。
詳細が気になる方は、こちらから無料レポートもダウンロード可能です。
みなさまの新規事業検討に当たって、一助となれば幸いでございます。

最終更新日:2025.11.11

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鈴木 温大

執筆者名:鈴木 温大

埼玉県出身、新卒で船井総研に入社。
コロナ禍において、多くの中堅中小企業が赤字経営や倒産に追い込まれる状況を目の当たりにし、この国を支える企業のために尽くそうと決意する。
売上高10~50億規模の100億企業化に向けて、OA機器・運送・自動車・小売りなど幅広い分野に関わり、売上拡大に向けたロードマップ策定・組織変革・新規事業立ち上げを中心に従事。
「ジャパンアズナンバーワンをもう一度。」をモットーに、日本経済を底上げしたいという思いのもと、売上100億を実現することで日本企業のトップ1%化を目指す支援を日々行っている。

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