新規事業策定

売上100億円の壁を乗り越えるために中堅化企業は何をすべきか

2023.03.02

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売上100億円企業はどのくらい存在するのか?

突然ですが、全国に100億企業はどのくらいあるかご存知でしょうか。

実は、全国約150万(TSR登録法人)の法人のうち、

100億以上の企業は約1.6万社・1.1%しかないようです。

 

私たち船井総研は、多くの地域密着一番店クラスの中小企業様と

お付き合いをさせていただいていますが、

たしかに売上100億以上は少ない一方で、

極稀に地域で知らない人はいない「ヤンキーの虎」と言われる

地域密着の100億以上企業もあり、その地域の移食住を面で展開しています。

 

中小企業に潜む100億の壁

私たちも色々な企業を見てまいりましたが、

どうやら中小企業には100億の壁があるようです。

100億の壁

 

出所:東京商工リサーチ
※小売や卸・製造業等をイメージしているため、粗利100%ビジネス

 

100億の壁を超えるためにはどうしたらいいのか、

壁の手前にいる10~100億未満企業は約10万社・6.6%を占めます。

 

特に20~50億の企業は、市町村単位の一番店企業で、「中堅化企業」と言えます。

 

中堅化企業の特徴としては、

✓創業者の経営手腕により20~30年の間で堅実に業績を伸ばし続けてきた
✓経営者のトップダウンで約100名前後まで拡大し、店長クラスの幹部が揃っている
✓新卒採用の際、内定者からは「人が良い」「あたたかい人が多い」が入社理由

などです。

 

一見良さそうな中堅化企業ですが、経営者からは

 

「いまはいいが、この先10年後にバトンタッチできるか」
「いまの社内の雰囲気は良いが、ぬるま湯組織化している」
「私の残された経営者人生は、私がいなくても回る経営体制を創ることだ。
時間がない、私にとっての最重要経営課題だ」

と伺いました。

 

では中堅化企業が踊り場を乗り越え、

次のステージ100億の壁を乗り越えるためにはどうしたら良いでしょうか。

経営者に求められる全社戦略の重要性

20~50億企業の経営者への提言は、

「事業戦略」ではなく「全社戦略」に注力する時間をもっと増やしませんか、

ということです。

 

事業戦略とは、事業競争戦略とも言われ、

その事業で市場のシェアをどのように勝ち取るかです。

 

視点としては内部要因の

「①戦略コンセプト(一貫性あるフロー)」

「②組織能力(徹底・熟練度)」

「③ボジョンニング(ユニークな切り口)」や

外部要因の「④業界構造(市場規模、競合度)」

「⑤時流の追い風」などを、

 

日々分析し、施策の改善・改良する必要があります。

よく使われる事業競争戦略のフレームワークとしては、

一般的には「3C分析」「5フォース分析」、

中小企業には「船井流・差別化の8要素」などが使えます。

 

一方で、今回の中堅化企業にとって肝になるのが全社戦略です。

全社戦略とは、全社経営戦略とも言われ、

自社のビジョンや中長期事業計画実現のために経営資源を分配し、

最大効率化させることです。

 

視点としては、「事業ポートフォリオ」「組織・人事戦略」「財務戦略」になります。

 

よくあるケースが、

「事業戦略と全社戦略をくっきり2つにわけられていない。ゆえに全社戦略に意識的に時間を使えていない」
「事業戦略に社長がどっぷり入り、戦略ミーティングといいつつ店舗の販促会議化している」
「結局、社長のトップダウンで販促や接客対応の意思決定をしている」

などです。

 

日々の改善・改良は大切ですが、

改善・改良からは大きな変革は生まれません。

 

100億の壁を乗り越えるためにも、

ちょうど20~50億の「中堅化企業」のレンジは、

経営者トップダウン経営を卒業し「社長は全社戦略に注力し、

事業戦略は幹部に任せるチーム経営へ」移行するタイミングです。

ビジョン実現のための戦略

 

新規事業と既存事業の高収益化を目指そう

中堅化企業経営者の役割として

「事業ポートフォリオの見直し」

は次の10年成長するために最重要で必要です。

 

やるべきことは、2つで

「新規事業の選定」と「既存事業の高収益化」です。

 

既存事業の高収益化はデジタルでビジネスモデルを変容させ

(DX)で一人当たり生産性をあげて、収益確保の最大化を狙うべきです。

 

「経営者のデジタル適応度」が肝ですが、

既存の延長線上で前知識があるため、ある程度考えやすいと言えます。

 

一方、畑違いで思考停止になりやすいのが「新規事業の選定」です。

 

これからも市場は伸びるのか、競合はもういてレッドオーシャン化していないか、

商慣習がわからないので、コケそう、という不安感が生まれます。

 

そこで新規事業の立ち上げに重要なのが、1勝1分け1負の視点です。

 

3つやって1つ勝てば良い、負けても損失は最小化する撤退ラインを明確にする、

というフットワークの軽さを経営者が持たないと、いつまでたっても新規事業の芽は出ず、

収益性が高く・成長性の無い成熟化する既存事業1本足打法経営になります。

 

まずは、社長が3つは新規事業を探し、立ち上げるところがスタートラインです。

 
船井総研では、ベストな時間の使い方は保守7割:革新3割とお伝えしております。

 

今回で言えば、事業戦略(足元の):全社戦略(未来への時間)の比率を、7割:3割へ。

トップで99.9%決まります。

 

次のステージに向かうためにも、まずはご自身の手帳を開いていただき、

未来の時間を作ってはいかがでしょうか。

 

 

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今 亮太郎

執筆者名:今 亮太郎

多種多様な業種・業界の中堅・大手向けコンサルティング業務を経験。

具体的には、大手企業の戦略策定や事業計画策定、市場調査など幅広い領域の実務をこなす。

現在は、いい会社を一社でも増やす思いで「成長戦略づくり」「新規事業立ち上げ」「ホールディングス化」「組織づくり」等、の「中堅企業の価値向上支援」を行っている。

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