新規事業策定

自動車業界の現状と今後の課題を解説:新規事業参入で成功した事例をご紹介

2024.04.12

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自動車業界の概況について

自動車業界は現在、深刻な商品不足の状況にあります。
新車および中古車の両方で商品不足が顕著であり、特にこの過去1年間は大きな乱高下が見られます。
新車市場では回復の兆候が見えつつありますが、完全な回復にはまだ遠い状況です。
新車の供給や輸出が増加すると中古車の需要が上昇しますが、この需要の変動により相場が急激に変動する状況が生じています。

過去5年間ほど、大手企業の売上成長が急速であるという傾向が顕著です。
新車ディーラーに関してはディーラー同士の統合が進み、中古車販売店では大手3社が全国展開を拡大し、地域の地場企業の売上が減少の流れになっています。

カー用品店は中古車や新車よりも成熟業界ですが、自動車販売に参入する動きが見られ、転換が進んでいます。
同様に、ガソリンスタンドも大手が車販事業に参入し、M&A活動が活発化しています。
需要と供給のバランスが変化し、自動車業界は苦戦しています。

苦戦傾向と言われている要因の一つは、自動車の単価は、20年前に比べ軽自動車でも130%以上、輸入車は170%ぐらい上昇している一方で、通常世帯の平均年収は108%です。
供給される車は値上がりをしてく状況のため、その結果、中古車への需要が増加しています。
この状況に対応するため、ディーラーは顧客獲得やサービスの強化に取り組んでいますが、まだ普及が進んでいない現状があります。

コロナ禍においては、自動車需要が一定の需要を保ちました。特にコンパクトな移動手段やキャンピングカーなどの需要が増加しました。
しかし、2022年以降の経済・社会的変革期において、自動車業界は大きな転換を迎える可能性があり、地域の地場企業がどういう対応していくかが非常に大事な時期になってきています。

自動車業界は「失われた30年」と言われていますが、多くの業界で苦境に立たされる中、自動車業界は比較的安定した経営を続けてきました。
一方で、この安定が成長の阻害要因となっている可能性があります。同業界において30年間の成長マインドやベンチャーマインドが失われつつあり、現在その影響が出ていると考えられます。

自動車業界は今後、さらなる変革を迎えることが予想されます。
コネクテッドや自動運転などの新技術やサービス展開が進む中、中小・中堅企業も事業戦略の見直しや新たな取り組みが必要とされます。
特に、地域の企業は社会的意義と売上成長を両立させる戦略を模索する必要があります。

自動車業界における異業種展開

①拠点展開・同業種複合ブランド化

拠点展開と同業種複合ブランド化は、企業の強みを増やす戦略です。例えば、中部地方にある会社は軽自動車販売に特化していますが、その強みを生かして普通車の販売拠点を増やし、さらには中古車販売も手掛けています。この取り組みにより、顧客層を広げつつ、売上を100億円近くまで成長させています。これは本業の他店舗や他業態による成長戦略の一例です。

同様に、中部地方の別の企業は、個人向けリース事業で急速に拡大しています。創業からわずか7年で15店舗を展開し、短期間で50億円を超える売上を達成しました。1つの事業で多店舗化を図る戦略が功を奏しています。

また、中国地方のあるディーラー企業も、他業態化を進めています。これまでの国産車ディーラーだけでなく、輸入車ディーラーを展開し、さらにはディーラーをまとめてディーラー街を形成する取り組みも行っています。こうした戦略により、売上を維持し、成長を遂げることが可能になっています。これらの取り組みは、既存事業の強みを活かしつつ、新たなビジネスチャンスを探る戦略の一環です。

50億を超えるまでのシナリオ
中核業態で限られた商圏で多業態化する、または中核業態を多商圏にドミナント展開することは、50億を超える売上を目指すのに有効と考えられます。

②顧客を軸にしたシナジーが出る業種

顧客を軸にしたシナジーが出る業種というのは、中部地方のあるローカル企業が良い例です。この企業は自動車販売事業を中心に展開しており、中古車販売で成長を遂げ、大型拠点を展開しています。地方の人口が約10万人ほどの町に位置し、土地が比較的手頃な価格で手に入ることから、大規模な敷地を確保しました。この大型拠点化により、顧客名簿が一つの拠点で多く抱えられるようになりました。そのため、顧客名簿を有効活用するために、さまざまな事業を追加して展開しています。ガソリンスタンドやカフェ、レンタカー、フィットネスジムなど、様々な業種を取り入れ、周辺の異業種も含めて事業を拡大しています。これにより、本業を強化し、新規の顧客獲得だけでなく、既存顧客の維持も並行して行っています。人口減少に対応しながら事業を展開している点が特徴的です。

次に、ディーラー事業についても注目です。多くの企業が異業種展開を行っており、住宅やレンタカー、カー用品など、さまざまな分野に進出しています。これは単なる計画的な進出ではなく、様々なチャレンジを積極的に行ってきた結果です。最近では、旅行業やドローン、Eスポーツなど、自動車業界とは異なる領域にも進出しています。
これらの異業種展開が結果的に自動車業界に還元され、売上が100億円を超える成長シナリオとして考えられます。

100億を超えるまでのシナリオ①
地域や商圏のサイズによって異なりますが、まずは基幹事業の地域展開を最大限に拡大した後、関連する周辺ビジネスを展開して顧客シナジーを生み出す異業種展開が、
100億を超える売上を目指すのに有効と考えられます。

③売上貢献・ブランディングを優先した異業種展開

売上貢献・ブランディングを優先した異業種展開は、企業が新たな市場や顧客層に進出する際に戦略です。中国地方における自動車販売事業の例です。ここでは、自動車販売という既存の事業に加えて、カフェ、フィットネス、グランピング、家具、コインランドリーなどの異業種展開が行われています。この戦略の目的は、自動車事業とのシナジーを生み出すことよりも、新しい事業の選択肢を探求し、それぞれの事業を独立して強化することにあります。

一方、九州地方の会社では、ディーラー事業を中心に展開していましたが、M&Aを契機に異業種展開を果たしました。都市部ではなくローカル地域に焦点を当て、不動産の売買仲介やリフォーム、建築、賃貸管理など不動産関連事業に進出しました。その後、農業やフィットネスなど、さらなる異業種展開を行い、事業を拡大しています。
このような戦略の背景には、リスク分散や経営基盤の安定化、採用力の向上、そして既存事業とのシナジー効果の追求があります。

異業種展開における重要なポイントは、周辺業種のセグメント化や顧客名簿の二次利用などです。さらに、企業のリブランディングや人財採用の観点からも異業種展開は意義深いものとなります。自動車業界における採用難の解消や、ベンチャー的なイメージの強化を通じて、新たな人材の獲得やブランド価値の向上につながります。

100億を超えるまでのシナリオ②
異業種展開においては基幹事業よりも時流ビジネスへの全力投資し、必要に応じてM&Aを活用し、事業を展開していくことが重要です。

自動車業界の今後

現在、自動車小売サービス業界は成熟期に差し掛かっています。顧客の人口減や高齢化などの影響で、店舗展開や既存事業の拡大には限界があります。保有台数の増加は一時的なものであり、今後は減少傾向にあると予測されます。このような状況下で、業界全体の成長が見込めないことが課題です。

しかし、異業種展開を通じて新たな可能性が広がります。自動車業界に限らず、カーライフサイクルや地域の特性を踏まえた異業種展開が重要です。地域のモビリティハブやライフスタイルに密接に関連した事業を展開することで、地域の影響力を高め、顧客との接点を強化できます。

ただし、異業種展開は慎重に行う必要があります。無計画な事業拡大はリスクを伴います。したがって、地域の特性や顧客のニーズを十分に把握し、事業展開の適切な戦略を立てることが重要です。地域のモビリティハブを目指す場合、短期的な視点ではなく長期的な展望を持ち、収益度外視の覚悟を持つことが必要です。

また、異業種展開は顧客のライフタイムバリューを高める観点からも重要です。単なる事業多角化ではなく、顧客のライフスタイルやニーズに合ったサービスを提供することが求められます。そのためには、BtoBや社会的意義のある事業への展開も含め、事業的な多角化が不可欠です。

最後に、成長戦略と事業売却の選択肢についても検討する必要があります。主力事業が成熟化し、低収益・低成長、衰退の兆候が見られる場合、新たな成長事業を模索するか、事業売却を検討する必要があります。ただし、どちらの選択肢を採用するにせよ、計画的な戦略が求められます。成長戦略を描く際には、社員や顧客の幸福も考慮に入れることが重要です。

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執筆者名:アカウントパートナー室

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