新規事業策定

地域密着企業の多角化戦略には「地域コングロマリット経営」が熱い

2023.04.03

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日本市場は成熟化。1事業1本足打法から多角化戦略へシフト

 

下山経営に突入した日本市場で、どの業界も勢いが鈍化し、成熟化しております。

成熟化した中で、どうやって次の10年勝ち残るか。いままでは、1事業に軸足を置き深掘りし続けるだけで勝てました。

 

例えば、多店舗出店や大型店舗出店などです。しかしながら、

成熟化する業界に軸足を置けば、底なし沼のように沈んでしまうでしょう。

 

次の時代に向けて、1事業だけでなく、複数の事業へ多角化する

「コングロマリット経営(多角化戦略)」を考えていかなければなりません。

もちろん、コングロマリット経営にはメリット・デメリットがあります。

 

メリットは、次の成長のタネを見つけられ、さらなる成長のドライブをかけられる、

既存事業とのシナジーが期待できる、調達や販売などのリスクを分散・軽減できる、などです。

 

一方デメリットは、経営資源が分散する、利益率が下がる点や投資回収できない可能性がある、などです。

特に、人口減少と少子高齢化が顕著な地方商圏こそ、

地域に密着した「地域コングロマリット経営」を歩むべきだと考えております。

 

売上20~50億企業の地域を面で捉える「地域コングロマリット経営」

 

これからの地方商圏は、需要側である人口も減っておりますが、それよりも供給側の地域企業の活力が下がっております。

ロードサイドの店を見ても、フランチャイズ飲食店や大手大型店舗ばかりで、

地方商圏の金太郎飴化が止まらず、その地域“らしさ“が失われています。

 

そこで、その地域の魅力を一番に理解し、発信できるはずである地域密着企業が、

地域を面で支える「地域コングロマリット経営」をして、地域を盛り上げる=地方創生・地域貢献だという考え方です。

 

地域コングロマリットのパターンも、以下5パターンを考えています。

◆モデル①ニーズ拡張型
既存事業の資源・技術・ノウハウを応用し、「同一動詞で異なるニーズの客層」を獲得する多角化パターン
◆モデル②サプライチェーン統合型
既存事業の「前後の業種」を行うことで、顧客の裾野を広げる多角化パターン
◆モデル③付随拡張型
主たる商品・サービスに付随する商品・サービスを付加することで、顧客の単価アップを図る多角化パターン
◆モデル④販路開拓型
製造工程や技術が似た製品を作り、異なる業種の顧客へ裾野を広げる多角化パターン
◆モデル⑤異業種混合型
既存事業の技術やノウハウはあまり用いず、「異なる業種の客層」を獲得する多角化パターン。FCやM&Aで展開することが多い

 

画像

 

地域コングロマリット経営で選ぶべき新規事業の“選球眼“

 

では、事業を多角化させ、地域コングロマリット経営するために、どのような視点で新規事業を選ぶべきでしょうか。

 

①売上規模追求型ではなく、省人・高収益事業
売上を伸ばすだけではなく、利益率の高いビジネスに着手すべきです。

例えば、無人・省人度の高いビジネスで多店舗出店をする、一つの選定基準として、初期投資は高くても、

営業利益率20%以上は確保し、回収期間を圧縮(5年以内)できるものを選ぶようにしたいです。

 

②これからも有望な成長市場に位置しているか
この先10年も伸びる見込みがある事業しかやってはいけません。流行りなのか、時流なのか、見極めが必要です。

その際に、なぜ成長マーケットと言えるのか、その根拠・理由が無いと、

事業を立ち上げても川の流れに逆らって泳ぐようなものです。

地方商圏に位置する経営者であれば、東京都心の最新事例を月1は見に行くことをおすすめします。

 

③人財吸引力としての魅力があるか
省人・無人事業にすべきと①で記載しましたが、省人・無人の多店舗を管理・業績アップをするマネージャーは必要です。

そのようなマネージャーや新規事業を立ち上げ・推進できるような人財を採用するためには、人財吸引力としての魅力を出せるかどうかが重要です。
(例:◯◯×デジタル・◯◯×社会性・◯◯×地方創生 など)

 

④既存の経営資源・成功体験が生かせるか
経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を活かせるのか、という視点です。

特に、地域密着企業の一番の財産は「顧客リスト」です。既存顧客へどうクロスセル・アップセルできるか、

創客・送客できるか、という視点を考えたいものです。大手企業には真似できない地域密着企業の強みを活かして、

新規事業の成功確度を高めるべきです。

 

⑤中核事業を基点とした「サイクルに組み込まれる」内製化発想ができるか
自社の既存事業の強みを活かせるか、という視点がないと、

他社と同条件あるいは低条件からのスタートになり負け戦に挑むことになります。

強みの視点として「ソフト」「ハード」両面から考えたいものです。

例えば、④であげた強固な顧客基盤やマーケティング力、理念が浸透した顧客接客力、豊富な若手人財、有力立地などです。

どうしてもハード面に寄った強みを列挙しがちですが、ハード面は大手企業に資金力で勝てないため、ソフト面の強み探しが重要です。

 

以上、いかがでしたでしょうか。地域密着企業の多角化戦略として

「地域コングロマリット経営」「新規事業選定の視点」を解説しました。

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今 亮太郎

執筆者名:今 亮太郎

多種多様な業種・業界の中堅・大手向けコンサルティング業務を経験。

具体的には、大手企業の戦略策定や事業計画策定、市場調査など幅広い領域の実務をこなす。

現在は、いい会社を一社でも増やす思いで「成長戦略づくり」「新規事業立ち上げ」「ホールディングス化」「組織づくり」等、の「中堅企業の価値向上支援」を行っている。

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