新規事業策定

「上場企業調査」の重要性

2024.02.06

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100億事業化に向けては「単一事業伸長」から「事業多角化・総合化」に舵を切る必要がある、というのはご承知おきのことと思いますが、実際に進めるうえではその目標とすべき存在:ベンチマーク先の設定に労を要するケースが多くみられるようです。

そこで是非、お勧めしたいのが「上場企業調査」。
決して数は多くありませんが、多角化している中堅企業のIR情報は、事業拡大を目指す多くの方にとって非常に示唆に富んだ内容である、と確信しています。

今回は実際に当社でも注目している数社を基に、上場している多角化企業が10年前後の変遷の中で、どのような事業戦略を取っているのか?について、IR情報を基に少しだけご紹介していきたいと思います。

パターン①:成長領域への積極投資

至極当然のことのように見えてしまいますが、1つ目のパターンに共通するのは「伸びる領域に投資している」ことでした。

介護事業・娯楽事業を主力とするA社では、介護事業内の「業態細分化」によって直近10年間で業績を拡大させてきています。
市場拡大によって「生活介護」や「相談支援」等、新たな業態が登場するとともにそのニーズを拾うことで、もともとは同程度であった事業構成は、介護:娯楽=3:1程に拡張しています。

葬儀・仏具領域に携わるB社では、自社のドメインを「終活領域」と再定義することで、「相続・遺品整理」等、これまで取り逃がしていた市場を獲得しながら、横串機能を持たせることで、自社内の送客の仕組を整えていくことに成功しています。

両者に共通するのはいずれも「成長産業」に早期から目を向け、その攻略にリソース配分を惜しまなかったことにあります。
100億、もしくはそれ以上の拡大には「平等・均等配分」よりも「メリハリ投資」が必要であることの証左と言えるでしょう。

パターン②:地域×顧客の転換投資

リユース関連市場で地域トップシェアを誇るC社は、物流機能をM&Aすると共に海外2か国へと事業展開を行うことで、事業の安定拡大を実現させています。
「エリア拡大」に主眼を置き、そのために必要なコア機能への投資が功を奏している事例のひとつでしょう。

フード領域で有力企業の1社であるD社は、業界に甚大な影響をもたらしたコロナ禍においてDXを敢行、なんと「外食」領域を大きく成長させることに成功しています。

テーマは違えど、どちらの会社も勝ち筋の明確となったテーマについて徹底的に創意工夫を凝らした結果、事業構造に厚みを持たせることに成功しているのです。

船井総研には「ツキの原理」という言葉がありますが、複数の事業を行う上場企業にとっても、より一層「ツキ(=伸びる外部環境/強みのある内部環境 他)のあるものを伸ばす」ことが有効であるという事ができると思います。

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伊藤 匠

執筆者名:伊藤 匠

新卒で船井総研に入社後、再生可能エネルギー分野における新規事業参入支援(主に太陽光・蓄電池販売)に特化し、累計では300社以上のコンサルティング実績を誇る。
その後は事業イノベーション支援部へと参画、従業員100名以上の中堅企業を中心に新規事業参入・事業計画策定のサポートについて、資料作成から先方へのプレゼンテーションまで幅広く行っている。常に事例に基づく成功確度の高い提案スタイルは、経営者からも高い支持を得ている。

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