人事組織

100億企業実現後のあるべき姿に向けて~今から行うグループ経営人財の登用~

2022.12.23

▼『100億企業を実現した5人の経営者の成功事例』 無料ダウンロードはこちら

【本レポート要旨】

・日本の事業法人上位1%に入る100億企業は目指すべきゴールとなるものであるが、

その先を見据えた事業展開も視野に入れるべきではないか

 

・少子高齢化を背景とした日本国内の市場が縮小傾向にある上に、

政治、経済、社会、技術革新他、経営環境の不確実性が高まっている

 

・企業としての“ぶれない軸”を持ったうえで、企業全体の“柔軟性を高める”こと、

この2 点が企業の持続的成長に欠かせない

 

・1点目“ぶれない軸”は、PMVV を明示的に定めることであり、

この軸を関係者全員と共有できていることが必要

 

・2点目“柔軟性を高める”は、事業、組織構造、経営のインフラ(システム)、現場での
働き方、働く人のマインド他、経営に関わるあらゆるものの柔軟性をたかめることである

 

・事業の柔軟性を高めるには、事業の新陳代謝が必要であるが、

単一事業の中での新陳代謝では限界もある

 

・複数事業を抱えるグループ経営は、事業の新陳代謝を図りやすく、

また、事業ポートフォリオによるリスク低減効果も得やすい

 

・柔軟性を高める経営を維持するためには、

グループ経営を担う人材の登用・育成がカギとなる

 

■企業を取り巻く環境

 

日本の事業法人上位1%に入る100億企業は、

当該事業の市場シェア上位ポジションを確保でき、

市場での存在感を背景に、主体的な事業活動が展開できる企業群に属することになります。

 

市場内の他社との競争だけに陥ることがなく、

自社がイニシアチブをとって市場内で事業展開ができることは、

さらなる市場シェア獲得や、

様々なオプション

(例えば、縮小傾向にある市場においては、シェアトップ企業であれば残存者利益獲得)

が取りえます。

 

このポジションを確保することができる100億企業の到達は

並大抵の努力だけでは成し遂げられず、多くの年月も費やすことになり、

目指すべきゴールたるものとなります。

 

しかし、目指すべきゴールである100億企業は、

視点を変えると1つの企業成長の通過点としてとらえるべきとも言えます。

 

市場シェア拡大を突き詰めていくことが最良の戦略となる場合もありますが、

日本の多くの企業がおかれている市場は、

少子高齢化を背景に、先細りの傾向にあります。

 

その先細りの市場においてシェアトップを獲得したことを

ゴールとしてよいのかと思われるのではないでしょうか。

 

また、技術革新や環境負荷対応など

外部環境変化の大きなうねりが速度を上げて

各市場の既存ビジネスモデルに影響を及ぼしつつある中で、

ビジネスモデル変革への対応が求められる状況にもあります。

 

一つの市場に留まること、

既存のビジネスモデルの延長線で事業を展開することは、

不確実性を増す経営環境下では、

苦戦を強いられる可能性が高いと言わざるをえないでしょう。

 

■100億企業の先の目指すべき姿 ~~変化に対応できる企業となること~~

外部環境変化が激しさを増しているとお伝えしましたが、

予測可能な変化と予測困難な変化があります。

 

予想可能な変化は、人口動態です。

 

確実に少子高齢化は進みますので、商圏内の世帯・人口の減少が、

市場規模の縮小につながります。

 

一方、政治、経済、社会、技術革新他は、総じて予測困難な変化です。

そして、その変化が、技術革新を中心に加速していると言えます。

 

つまり、人口動態にみられるように確実に市場が縮小する未来が迫っている上に、

予測困難な環境変化、それも高速度な変化に晒されている状況です。

不確実性を増す経営環境に晒される状況は避けることはできません。

そのような中で取るべき方向性は、

 

①ぶれない軸を明確にする

②環境変化に対応できる柔軟性を装備する

③リスク低減を実現する

 

になります。

 

まず、①は企業経営の根幹をなす、

P(理念、パーパス)、M(ミッション)V(ビジョン)V(バリュー)を定めることです。

 

企業の存在価値、目的、行動指針他、企業として

変えてはならないものを明確にすることと、

これらを役職員はじめ関係者に共有することで、

ぶれない軸を固めることです。

 

100億企業を目指す際に整備・構築されているものです。

 

②柔軟性は、企業経営の階層ごとに発揮されます。

 

例えば、

事業の階層では、単一事業経営ではなく、

複数事業を抱え事業の組み換えを含めた新陳代謝を繰り返すことできるグループ経営のほうが、

柔軟性が高いと言えます。

 

また、組織や業務の階層においても、

 

既存のものに固執することなく、

不要なもの、無駄なもの、非効率なものを代謝し、

 

環境変化に応じて必要な組織、業務を取り入れていく姿勢により、

柔軟性を高めることができます。

 

また、働き方に関しても、

 

年功序列ではなく、能力主義の登用により、

リーダー層の新陳代謝が進み、柔軟性が高まることになます。

 

ちなみに、これら新陳代謝を進める際の判断根拠となるのが、

①のぶれない軸になります。

 

最後に、

③リスク低減です。

 

事業そのものの新陳代謝を図ることが重要ですが、

単なる新陳代謝では環境変化への対応という意味では十分とは言えません。

 

リスク低減を図る有効な手段として、

ポートフォリオ経営(複数事業の組合せ)があります。

 

投資の世界では、金融商品の組合せの意味合いで使われていますが、

そもそも、ポートフォリオの直訳は「書類入れ・書類を運ぶためのケース」であり、

個々の書類を別々に扱うのではなく、

書類全体を一つのものとして扱うと意味を持っています。

 

つまり、企業経営に置き換えれば、

一つの事業に集中した成長を目指すのではなく、

複数事業の組合せを前提とした成長を目指すものです。

 

成長性、収益性、内在するリスクなどが異なる事業を複数抱えることにより、

単一事業経営と比べ、より安定した成長が狙えるメリットがあります。

 

これまで記載した“変化に対応できる企業となること”のポイントは、

複数事業を抱える(=グループ経営)です。

 

事業の新陳代謝の促進、事業ポートフォリオによるリスク分散は、

グループ経営によりそのメリットが享受しやすいと言えます。

 

■グループ経営とグループ経営機能強化~~100億企業の次のステージに向けて~~

 

不確実性が増す中、持続的成長を実現するうえで、

必要な新陳代謝の促進と、リスク分散が図れる、

グループ経営の有効性についてお伝えしました。

 

一方で、グループ経営にはデメリットもあります。

 

端的にいうと、“複雑さ”です。

 

個々の事業を経営しつつ、グループ全体の最適化も図らねばならない、

つまり複数事業を束ねることの困難さがあります。

 

複雑さの要因は、適切なリソース配分や、

経営基盤の整備(業務プロセスの標準化・効率化、IT、DX 化)、

ガバナンス・リスク管理などを個々の事業の最適に落とし込まず、

グループ全体最適化を前提に遂行しなければならないことです。

 

つまり、コーポレート部門(経営企画、財務・経理、人事、法務、システム他)

が複数事業を跨って機能しなければならないことです。

 

このデメリットへの対処方法は、

グループ経営に関わるグループ経営機能(本部機能)(図1参照)を強化することです。

 

つまり、

適切なリソース配分や、経営基盤の整備(業務プロセスの標準化・効率化、IT、DX 化)、

ガバナンス・リスク管理など、

複数事業の経営ならでは必要となる機能を明確にし、

適切な人材にその機能発揮の役割を担ってもらうことにあります。

 

ここでの最大の問題は適切な人材の登用です。

 

すべての事業に精通したうえで、

コーポレート部門の各機能の専門性を身につけた人財を如何に育成するかです。

 

これら人財の育成は、年数をかけながら、意図的に育成する必要があります。

要は適性があると思われる若手社員に場数を踏ますことです。

 

100億企業の次なるステージとして、環境変化に対する柔軟性があり、

リスク低減メリットがあるグループ経営を志向していただき、

グループ経営に向けた取り組みとして、

早期にグループ経営機能を担える人材育成に取り組んでいただければと思います。

▼『100億企業を実現した5人の経営者の成功事例』 無料ダウンロードはこちら

鈴木 圭介

執筆者名:鈴木 圭介

2007年株式会社船井総合研究所に新卒で入社。

法律事務所を中心とした士業事務所の事業戦略・マーケティング支援・組織開発に従事し、業界を代表する事務所・士業グループを多数輩出。

デジタルマーケティング関連テック・リーガルテックを中心としたテクノロジーを活用に強みを持ち、 スタートアップ企業と共に、士業事務所及び企業の変革をサポートしている。

近年は「中堅企業向け総合コンサルティング」の立ち上げに参画し、中堅企業向けのサービス拡充に向けて従事。

関連するDL資料

関連するセミナー

もっと読む→

100億企業化
コンサルティングに
ついてはこちら

Contact お問い合わせ