財務戦略

100億円を達成した横山興業 株式会社に学ぶ、財務戦略と組織変革の秘訣

2025.09.10

▼『100億企業を実現した5人の経営者の成功事例』 無料ダウンロードはこちら

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
船井総合研究所 ファイナンスコンサルティンググループ マネージング・ディレクターの石田武裕です。

「売上100億円の壁」を前に、投資や資金調達が進まない、優秀な財務人材が見つからないなど、多くの経営者が悩みを抱えているのではないでしょうか。

先日のコラムで、これらの課題を成長を妨げる壁ではなく、「進化のチャンス」と捉え成長した、横山興業株式会社様の取り組みをご紹介しました。

本日はその振り返りのあと、横山興業株式会社様がいかにして、金融機関との信頼関係を築き、最適な資金調達を実現したのかを解説いたします。

大逆転の軌跡:危機を進化のチャンスに変えた経営哲学

愛知県豊田市に本社を構える横山興業株式会社は、1957年の創業以来、「創意無限・脱皮成長」を社是に掲げ、挑戦を続けています。
基盤となる自動車部品事業で培った卓越した技術を武器に、近年ではバーツールブランド「BIRDY.」や太陽光発電システム事業など、多角的な事業展開を成功させています。

かつて、主力事業の売上が40%も減少するという未曾有の危機に直面しました。
しかし、この苦境を「進化のチャンス」と捉え、既存の技術に固執せず、新技術・新市場への挑戦を決意。
独自のSFP工法の一部である精密技術や、超高張力鋼板のプレス成形といった高難度技術に挑む一方で、その技術を「液体の流れ」に応用したバーツールブランドを立ち上げるなど、独創的な発想で新たな価値を創造してきました。

代表取締役社長 横山栄介氏の「変化すれば必ずしも進化するとは限らないが、進化には必ず変化が伴う」という哲学のもと、社員の「素直さ」と「しつこさ」を強みとし、困難な状況をポジティブに乗り越える企業文化を築き上げています。
これらの絶え間ない変革が、横山興業を年商112億円を誇る企業へと飛躍させました。

今回は、横山興業が売上112億円という節目を達成するまでに実践した、投資、資金調達、そして財務組織に対する劇的な変革の軌跡を紐解いていきます。

1. 金融機関からの評価とコミュニケーションを重視する方針への転換

金型などの先行投資が不可欠な事業特性を持つ横山興業では、金融機関からの借入が常に事業資金の中心にありますが、かつてはその借入方針や現預金の扱いに関して独自の考え方を持っていました。

具体的には、将来の借入のために借入額は少ない方が有利と考え、利息を払って現預金積み増しは無駄であると認識していました。
いざという時も当座借越枠で対応可能だろうという性善説を持っており、現預金増強にはそこまで注力していませんでした。

しかし、借入の増額が困難になったり、条件交渉で不利になったりといった苦い経験を重ねた結果、大きなマインドセットの転換を図ります。
「現預金を積極的に積み増すことには注力せず、借入を主軸に事業を進める」という考えから、「現預金と借入の両方を増やし、金融機関からの評価を何よりも重視する」という方針へと転換。
「金融機関の評価を意識したBS(バランスシート)作り」が、経営における最重要テーマとなったのです。

2. 財務のプロフェッショナルを登用し、経営者と二人三脚で組織を強化

事業拡大に伴い、金融機関とのやり取りが増加する中、同社は財務体制の強化を決断します。
オーナー家の人材が財務を担う企業が多い中で、「知見ある人材を置くべき」との考えから、従前より財務担当者を外部から採用。
横山氏が定性面を、財務担当者が定量面を担うという明確な役割分担を確立しました。

この少数精鋭の体制が功を奏し、金融機関からの評価が向上。
資金調達などの交渉を有利に進められるようになりました。

3. 多角的な取り組みで金融機関からの信頼を獲得

横山興業は、金融機関からの評価を向上させるために、戦略的な取り組みを継続しています。

● 赤字の年にも開催した「決算報告会」:
財務状況だけでなく、経営者の定性的な評価や、将来に向けたビジョンを伝える場として活用。自社の成長ストーリーを継続的に発信することで、信頼関係を深めました。

● 地元メディアへの積極的な露出:
自社ブランドの確立やイメージ向上を図ることで、特に地銀や信用金庫が重視する定性面での評価を引き上げました。

4. 金融機関との信頼関係を築き、最適な資金調達を実現

横山興業の資金調達戦略は、事業成長に合わせて進化してきました。
地域信用金庫との関係を大切にしながらも、地方銀行との格付ミーティングや政府系金融機関の制度融資や国際協力支援など、幅広い金融機関との対話を積極的に行うことで、事業内容への理解と信頼を深めていきました。

この多角的な関係構築により、より多くの選択肢の中から、事業成長に最適な資金調達のあり方を見出すことができるようになりました。
その結果、自社の成長戦略を支えるパートナーとして、金融機関との強固な協力関係を築き上げています。

いかがでしたでしょうか。
横山興業様の成功は、ただの事業拡大の物語ではありません。
そこには、金融機関からの評価を劇的に変え、資金調達のあり方を見直すための、緻密な「財務ストーリー」が存在しました。
当社では、100億を目指す・実現した企業様が実際に取り組んだ財務戦略の事例を研究しています。
気になる方は、お気軽にお問い合わせください。

>無料経営相談の流れを見てみる

▼『100億企業を実現した5人の経営者の成功事例』 無料ダウンロードはこちら

石田 武裕

執筆者名:石田 武裕

新潟大学卒業後、政府系金融機関にて10年超、融資営業・審査一体の業務に従事後、 2017年10月船井総合研究所入社。

財務コンサルティングに従事し、キャッシュフロー改善、調達枠拡大等、 支援実績多数。

経営者の夢に寄り添いながらも、徹底した現場主義を貫き、企業経営者、 従業員とともに汗をかいて支援に取り組むことがモットー。

関連するDL資料

関連するセミナー

もっと読む→

100億企業化
コンサルティングに
ついてはこちら

お問い合わせ

CONTACT

CONTACT FORM