財務戦略
企業成長を見据えた投資をする上で今活かすべき金融時流・財務戦略
2023.05.24
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今回は、100億企業化に向けて、企業成長を見据えた投資をする上で今活かすべき金融時流・財務戦略についてお伝えいたします。
企業成長を阻む経営者保証
皆様、100億企業を目指していく成長のプロセスで実行していく投資、どんなものが考えられるでしょうか?
新規採用やDX化はもちろんとして、新規事業立ち上げ、M&Aなどの戦略を推進すると今までは【千万】単位だった投資額が【億】単位に簡単に膨らんでいきます。
投資額が【10億】単位になることも多々あります。
多額の投資実行には、銀行借入による資金調達がつきものです。
その金額のケタが1つも2つも上がった場合の銀行借入にも、経営者保証がついているとしたら後継者の方はどう思うでしょう。
「会社の借金〇〇億円の保証をするくらいなら社長になりたくない」と考えるのは自然な流れです。
取引銀行から言われるがままサインをしている経営者保証が、事業承継を難しくするとしたら・・・
成長のために、次世代のために、実行する投資が足かせになるという本末転倒な結果となってしまいます。
そんな企業成長や後継者への承継を阻む経営者保証ですが、2023年は「経営者保証見直し元年」ともいうべきメモリアルな年。
金融庁より「経営者保証改革プログラム」が策定され、50年続いた融資慣行が見直される運びとなったのです。
このプログラムにより、今後の投資に必要な銀行借入だけでなく今までの銀行借入にも、
経営者保証を無しにできるチャンスが膨らむこととなりました。
しかし、これで自社の経営者保証がなくなると考えるのはお待ちください。
金融機関毎に、経営者保証に関する対応がかなり分かれており、企業側が待っていても金融機関が勝手に経営者保証を外してくれるわけではないことも事実なのです。
では、無保証を実現し企業成長を加速している企業は何が違うのでしょうか。
それは、自社から積極的なアクションを起こすことです。
無保証・無担保融資で資金調達枠を 1.5 倍にした事例
ここで、経営者保証100%解除に加え、無担保化、さらに融資枠を1.5倍に拡大した事例をお伝えいたします。
事例企業は、東北の総合エネルギー企業。
3 代目の社長は、ご自身の大病をきっかけに後継者育成・財務改善に着手し、
<Before>
・ 取引金融機関全行で経営者保証
・ 担保付融資の取引
という状況から、
<After>
・ 全行で経営者保証 100%解除
・ 借入金 5 億円の完済期間を 10 年から 2 年に短縮
・ 資金調達枠を無担保で 1.5 倍に拡大
を実現し、事業承継の準備だけでなく今後さらに投資を進めやすい財務体制を構築しています。
事例企業がとった無保証・無担保化の財務戦略とは、下記のステップを踏むことです。
①金融機関の評価目線を知る
金融機関は融資先を「格付」と呼ばれるランクで評価し、格付によって融資額・条件を決めています。
格付は決算書をベースに金融機関の評価基準(財務指標、定性面評価)で決定されており、基本的に次の決算書が出るまでの1年間は覆るものではありません。
ということは、格付によって金融機関の1年間の自社に対する融資方針が決まってしまうのです。
まずは自社の金融評価を把握し、自社の財務課題に対して
・金融機関評価から逆算した売上・利益目標の算定、施策の実行
・適切な決算対策・財務対策
を講じ、自社の格付を可能な限り上げることが大切です。
②自社の情報を開示する
自社の金融機関評価を上げるためには、金融機関に情報を正しく伝える必要があります。
無保証化・無担保化を含め、より良い融資条件を引き出すために重要な「格付」ですが、自社と金融機関の財務評価は必ずしもイコールではありません。
金融機関は、いわば「保守の権化」。
決算書の中で内容がよく分からないものは全て評価をしないケースが大半であるため、金融機関の一方的な評価により、
実態よりも自社の評価が勝手に下がってしまっていることも多々あるのです。
また担当者には自社の情報を伝えていても、実際に融資額・条件を決める融資担当にその情報が正しく伝わらないと、
無保証・無担保化を引き出すことはできません。
そこで自社の決算内容を説明資料に落とし込んで説明することにより、自社と金融機関の認識の齟齬を埋めることが重要なのです。
さらに現時点での評価が悪くても、今後数ヵ年の P/L・B/S 計画を提出することで、
未来の数字を加味した評価が期待できるため、より良い条件を引き出すことができる可能性があります。
自社評価を上げる情報開示とは、決算説明資料(=過去の数字の説明)と事業計画(=未来の数字の説明)が重要であることを押さえておいてください。
③新規行との取引を始める
①・②のステップを踏んでも、そもそも取引金融機関数が少なかったり有力地銀やメガバンクがメイン取引金融機関という場合には、
なかなか無保証・無担保化を対応してもらえないケースもあります。
その際に有効なのが「新規行との取引」です。
新規行は後発取引のため、既存行に負けまいと良い条件を引き出せる可能性が高いのです。
事例企業でも新規行と取引を開始し、その取引条件を既存行に波及することにより全行無保証・無担保化を実現することができています。
さらに融資条件の改善と並行して追加の融資枠を確保できたため、次なる投資に向けた資金準備も同時に進めることができました。
ここまで読んでいただいた皆さまに取り組んでいただきたいことは、まず①のステップ、「自社の状況把握」です。
1.会社と経営者の分離
2.会社の資産や収益力による返済力
3.適時適切な銀行への情報開示
以上3つの要件の詳細が書かれている「経営者保証ガイドライン」と自社の状況を照らし合わせましょう。
ガイドラインと照らし合わせて、自社が経営者保証なく銀行借入できないかどうか、まずは現状把握をし、そのうえで取引銀行との協議を行う。
これが経営者保証元年に必ず行うべきアクションです。
企業成長を加速するためには、経営者保証の対策はマストです。
後継者へのバトンタッチのため、今こそ時流に乗って経営者保証の見直しをしましょう。
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