新規事業策定

事業承継は準備が大事! 後悔しないための承継計画

2024.10.03

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平素よりご愛読いただきありがとうございます。
船井総合研究所 アカウントパートナー室の今です。

私は、地域密着でオーナー系の売上20~50億の経営者(50~60代)とお話する機会が多く、話の中心は「事業承継」です。状況を伺うと「大丈夫です。未来は明るいです、いまから準備しましょう」とお伝えできるケースが大半です。

一方、「◯◯社長、もう手遅れです。出口戦略を考えましょう」と大変失礼を承知で申し上げるケースが増えてきました。

貴社はどちらでしょうか。

承継で悩むある経営者「タロウ社長」の例をご紹介します。
手遅れにはなってほしくない。前者のように、明るい未来を共に創りたいと思って、同じような状況の経営者の心に火が灯ること祈って、記載いたします。

大学生の息子・娘は実家に戻ってくれるだろうか不安

そのオーナー経営者のタロウ氏は3代目で、地域の衣(移)・食・住などの、地域密着の事業を営む。急成長は無いものの、売上は微増傾向で、新卒も毎年数名は入社しており、いわゆる“安定企業”である。

3代目であるタロウ社長は、祖父や父の背中を見て育ち、幼心に「いつかは自分も社長になるのでは」と思い、尊敬する祖父の遺言である「社員を幸せにしてくれ。そして、◯◯よ、この会社を潰さないよう任せた」を全うするため、サラリーマンを経て実家へ戻った。タロウ社長自身は不動産系の新規事業を立ち上げて、収益基盤を安定化させ、社員数も80名近くになり、社員・家族の生活は困らないレベルまでの地域有力企業になった。

ただ20~30代のときのような熱は、いまのタロウ社長には無い。
経営計画は部長にそれぞれ立てさせたものを、総評ということで挨拶して終わりである。いまのタロウ社長の最大の悩みは、2人兄妹の息子(大学3年生)と娘(大学1年生)の就職をどのように考えているか、である。あまり就職活動をしているようには見えず、また実家に就職する話もしたことがない。社内で社長を任せられそうな人もいないわけではないが、どうせならば子どもたちへ承継したい。うちに入社してくれるだろうか。

親族承継か社員承継。でなければ、売却。

上記のようなご相談をいただくケースが最近非常に多いです。
そこで私がお伝えしているのは、「親族承継」か「社員承継」ができるよう、いまのうちに、準備をしておきましょう。企業規模が大きくなるために、準備は早いほうが良いです。

息子さん・娘さんが入社するのは、サラリーマン経験を積んだ最低3~5年後です。その時までに、「お子さんたちがタロウ社長の会社へ、入社したい会社になっているかどうか」で、親族承継できるか、否かが決まります。

ちなみに私自身は、親族承継は肯定派です。経営者である両親の苦労を見て育っており、「覚悟」が決まっている後継者が多いためです。覚悟が決まっていても、スキルや経営者としての向き不向きもありますから、親族承継でなくても、社員からの経営幹部を育てる取り組みは必須といえます。

社員から経営幹部を育てるためには、どうしたらいいでしょうか?
売上20~50億の次世代経営幹部づくりは視点を変えて臨む必要があります。通常、何かしら管理職から経営幹部を育てるわけですが、経営幹部となると求められるスキルが異なります。

管理職はPDCAを回すスキルが必要です。
一方、経営幹部となると「①市場と向き合う競争戦略(社外)ではなく、事業PFや人財、財務など経営戦略(社内)の目線」や「②理念やビジョンに酔い、ビジョンを妄想する力」、「③精神的な自律と覚悟」が必要になってまいります。
管理職から経営幹部を育てるときには、①~③の力が必要になるため、通常の管理職研修とは一線を画した「経営人財づくり」の取り組みが必要です。

「うちの会社は、いざとなったら売ることも考えています。実は自社に興味のある会社があると、M&A仲介会社から連絡をいただいておりまして・・・」と伺うケースもあります。おおよそ問題のない中小企業であれば、電話・手紙の連絡が来ていない会社はありません。
いまは、大M&A時代です。最終的にはその選択肢もありです。ですが、売却するのであれば、事業拡大をして、企業価値を最大化したタイミングがベストです。

いまやるべきことは、お子さんたちへの承継や社員への承継へ可能性を残し、企業成長をするのが、現社長のお役割ではないでしょうか。創業者のためにも売却は最終手段にして、もうひと頑張りしませんか。では、タロウ社長はいったい何をすべきか。。。

毎年の方針発表や◯周年パーティーで、 ワクワクできる未来を話せているか

お子さんたちや社員が承継したい、と思える会社とはどのような会社でしょうか。
シンプルに成長企業ではないでしょうか。業績がジリジリ下がり、人が辞め、沈みゆく船に誰が乗りますか。

そこで、事業承継を控える経営者へお願いです。
次の方針発表会や◯周年のパーティーで以下の内容をお話ください。

・10年後or 次の◯周年の中長期ビジョン物語
・10年後のビジョンを実現する成長ロードマップ
・成長するための事業戦略
・新規事業案を3つ(社長が事業責任者)
・社員の年収が上がる理屈のわかる人財戦略

これを、次の方針発表会や◯周年パーティーに向けて、現・経営幹部と共に作っていただきたいです。そして、発表後、徐々に次世代経営チームを混ぜて、ブラッシュアップをします。

船井総研の創業者・舩井幸雄氏は「中小企業はトップで99.9%決まる」とお話しておりました。
次の10年、進みゆく船か沈みゆく船か、その航路を決めるのは現社長です。

手遅れになる前に、準備できることを進める必要があります。いまのトップの行動で、未来が決まります。事業承継前後の経営者が、企業を永続させるために、持続的成長することを目指した経営者勉強会があります。ぜひご参加いただい、他の経営者と共に良い未来を創れるよう、我々も全力を尽くします。

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今 亮太郎

執筆者名:今 亮太郎

多種多様な業種・業界の中堅・大手向けコンサルティング業務を経験。

具体的には、大手企業の戦略策定や事業計画策定、市場調査など幅広い領域の実務をこなす。

現在は、いい会社を一社でも増やす思いで「成長戦略づくり」「新規事業立ち上げ」「ホールディングス化」「組織づくり」等、の「中堅企業の価値向上支援」を行っている。

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