新規事業策定

財務戦略

自動車業界におけるM&Aという選択肢

2023.06.23

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船井総合研究所 モビリティ支援部 マネージング・ディレクターの服部憲と申します。

自動車業界向けにコンサルティングをさせていただく中で、持続的成長を続けられる企業様の背景を見ると、「M&A」という選択を視野に入れていることがあります。本日は、自動車業界におけるM&A事情についてお伝えをさせていただきます。

【トピックス1】
M&Aが企業成長に寄与する背景(理由)とは?

 

本題に入る前に、なぜM&Aが企業成長に寄与するのか?の背景を正しく理解しておく必要があります。

自動車業界は成熟期を超え、100年に1度の変革期にあります。国の統計資料では自動車保有台数も天井を迎え、減少に回りつつあります。
少子高齢化が進むこと、自動車の耐用年数が上がり続けること、そして電動化によって自動車の購入単価が上がり続けることを考えると、自動車の購入意欲は下がり続け、保有台数も減り続けることになります。

 

そのためにサブスクや残クレのようなサービスが普及していき、レンタカー・カーシェアの選択肢も増えていくことになります。

 

このように自動車ビジネスという市場は「車輌購入」という選択肢だけでは伸びにくくなり、様々な選択肢を模索する段階にきているのです。

企業成長に寄与する3つの要因は下記の3点。

 

①成長している市場に参入する(65.3%)
②既存の事業のシェアアップを図る(3.9%)
③M&Aを行う(30.6%)

 

実は自動車業界は細かく分けていくと複数の業種に分かれますので、

①の市場参入においてはガソリンスタンドが自動車販売に参入、新車ディーラーが中古車販売に参入、中古車販売店が新車リース販売に参入、といったことも広い視点では市場参入に当たります。

 

これは実はどんどん進んでいます。

 

②のシェアアップは多くの企業が努力していることかと思います。

既存事業の出店戦略や営業力強化、販促力強化もここに当たるので、やりやすいしイメージは付きやすいことですが、実は最も難易度の高いことを多くの企業が行っていることになります。

 

そして③のM&Aを行うことは選択肢としては非常に有効なことになります。自動車業界でも、ディーラー同士がM&Aで統合することも増えていますし、ガソリンスタンドやカー用品の大手が自動車販売店をM&Aすることも増えています。

 

もちろん、異業種参入するにあたってM&Aを入り口にする企業も増えているのも事実です。そしてM&Aを活発に行う企業は軒並み業績が向上しているのです。

だからこそ、自動車業界においては「M&A」も成長市場と言えるかもしれません。

 

【トピックス2】
自動車業界におけるM&Aの最新事情

 

自動車業界における2023年の時流は下記の3つだと予測しています。

 

1.同一業種の多角(マルチブランド)化
2. 同一業種の多拠点化
3. M&Aを活用した異業種・別業種展開

 

1は、以前は少数であった需要が顕在化してきています。

例えば「ニッチカテゴリーの中古車」「新車リース・サブスク」「レンタカー」なども当てはまります。同一業種内で可能な限り多角化することは地域密着企業の成長戦略としては重要な選択となります。

 

2は、成功事業の多拠点化です。
これは王道の成長戦略ですが、地域密着と採用難を理由に、結果的に多拠点化を選択してこなかった企業は多数いらっしゃいますが、

何も選択せずとも戦える商圏や事業があるのであれば、一定のエリア内では多拠点化することも大事なポイントです。

 

3は、自動車関連業界という、100年以上の歴史があり、業歴も20年以上の企業が多い環境の中で、この10~20年は変化をしなくてもなんとか生き残れたかと思います。

ですが向こう20年を見据えると、情報社会になり、消費者が適切に企業を比較・選択することが当たり前になった社会では、生き残りのための差別化の難易度が高くなります。
デジタル化もしなければならない上に、社員の世代交代も考えなければならない時代に、商品・サービスの差別化だけでなく、人の差別化すら難しくなっていくため、既存事業だけで変化を生み出すためには労力がとても必要になります。

だからこそ、今後は周辺事業も含めた異業種展開も視野に入れ、経営における変化を強制的に目指さなければなりません。そのきっかけとしてM&Aはとても有効であり、結果を出しやすい選択になります。会社も組織も変わるためにも、売上成長にもM&Aは重要なポイントです。

 

今後も間違いなく、M&Aは増えていきます。

業界内でも整備工場やディーラー同士のM&Aという名の淘汰が始まりつつありますが、地域の有力企業は、ある一定の売上規模もあるため、成長業種への参入としてのM&Aも視野に入れるべきだと思います。

目先のことよりも長期的な視点での事業拡大を見据えてM&Aを検討して頂くと成長の可能性がより広がると思います。

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渡邊 功一

執筆者名:渡邊 功一

成蹊大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。

自動車メーカー・ディーラーの経営コンサルティングに従事し、2018年より自動車部門を統括する部長に就任。

2021年より価値向上支援部ディレクターに就任。

様々な業種の新規事業やHD化、M&Aなど幅広いコンサルティングを実施している。

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