新規事業策定

なぜ、「地域コングロマリット型」新規事業参入が、今“チャンス”なのか?

2023.06.23

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地域コングロマリット型の新規事業参入とは、端的にいうと「既存事業の認知・影響度が及ぶ商圏」をターゲット商圏ととらえ、その商圏内で新しい事業に参入をしていく手法になります。

 

例えば既存事業が東北商圏で食品製造業を展開していた企業様であれば、東北商圏内で「食品小売事業」や「観光事業」を新規事業として展開していくような方法は、地域コングロマリット型の新規事業参入となります。

 

船井総研では2023年より、地域の中小企業様が成熟化する日本市場においても持続的に成長しつづけるための経営戦略の1つとして「地域コングロマリット化」を提唱しています。

本コラムでは改めて、『なぜ、「地域コングロマリット型」新規事業参入が、今“チャンス”なのか?』について、解説をさせていただきます。

 

理由①商圏内認知のある会社なら、販促効率が極めて高い(顧客獲得・人材採用等)

 

▶例えば既存事業でフィットネスクラブを展開していた企業様の場合、これまでの事業で接点をもった顧客名簿に対して、新規事業に参入した旨をPRしていくことも可能でしょう。

▶その他、「地元で有名な会社」であれば、「あの会社が新規事業で〇〇に参入したんだ。昔からある、信頼できる会社だから、今度新しくできた店舗を利用してみようかな」

といったような具合で、上手なプロモーションを行えば、既存事業で接点をもっている人へ、短期間で事業参入したことを認知させることも可能です。

 

理由②物理的な距離が近い方が、経営トップ層も事業マネジメントしやすい

 

▶新規事業を立ち上げ、推進をしていく過程においては、想像しなかった事象が発生しがちです。そうなったときに、既存事業拠点との距離感が、極めて重要になります。

▶既存事業と同一商圏であれば、経営者様も定期的にフォローでき、緊急事態時は既存事業社員を応援に向かわせることも可能です。

 

理由③地域の観光資源が生かせる「インバウンド・観光型事業」は、今後も成長予想

 

▶地域コングロマリット化を目指す上で、「具体的に参入を考えていく事業案」については、地域の魅力が生かせる事業=地域食材を生かした事業、観光資源を生かした事業、が候補に挙がる可能性は高いでしょう。

▶インバウンド・観光型事業は、2030年・2040年といったマクロトレンド的に成長が期待される領域のため、新たな収益の柱にできる可能性が高い事業と考えられます。

 

理由④地方創生イメージは、「優秀人材惹きつけ」「自治体から応援されやすい」効果も

▶地域コングロマリット化を推進することで、「地域に根差して、地域をよくするための事業開発を進めていく企業」という企業ブランドイメージを打ち出すことができます。

▶こうしたブランドイメージは、若手優秀人材を惹きつける上で効果的なことはもちろん、自治体からも応援されやすく、有益な情報が優先的に集まってくる、という副次効果も期待できます(例:優良物件情報が先んじて集まってくる)

 

理由⑤従来は難しかった「事業間シナジー創出」が、技術進歩により容易になっている

▶CRMシステムが発達した結果、既存事業と新規事業とで獲得した顧客情報をトータルで管理し、単一事業の枠を超えて、事業間で連携した販促活動を、スピーディーに実現できつつあります。

▶10年前は、事業間連携を実現するためのシステム投資には莫大なコストがかかったケースも、現在では、よりローコストに、より効果的な事業間シナジー創出を狙ったデジタルマーケティングが可能となりました。

 

以上①~⑤の理由をまとめますと、地域コングロマリット型の新規事業参入は、経営資源で大企業に劣る部分を、商圏を絞ることでカバーしながら、

高いシェアを獲得していくことが可能な戦略であり、中小企業様が更なる事業成長を考える上で「有力な戦略オプション」になると言えるでしょう。

 

これから、各地域に存在する中堅企業様においては「顧客の囲い込み」が更に進んでいくと考えられます(例:住宅販売企業は、住宅販売の前後の需要も、介護事業者は、介護前後の需要も)。

一気に、地域に住む方々の“生活需要”をおさえにかかっていくことが予想される中で、先んじて「地域コングロマリット化」を進めた企業様が、10年後・20年後に、地域の有力企業としての確固たるポジションを築くことになると予想します。

 

今後10年、20年先の事業成長を考えたい経営者様は、今一度「地域コングロマリット型の新規事業参入」の可能性を、検討してみてはいかがでしょうか。

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吉田 創

執筆者名:吉田 創

船井総合研究所に入社以来、様々な業種・規模のクライアントに対し、経営戦略/中経営計画の策定、ビジネスモデルの再構築、新規事業開発をサポートし、これまでの累計担当社数は300を超える。

その経験を活かし、持続的成長に向けた課題を見える化する「ビジネスモデル診断」の開発、高収益なビジネスモデル作りを目的とした経営者研究会「企業価値向上益経営フォーラム」を主宰している。

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