100億企業化への挑戦:ロードマップ策定と理念の言語化で描く、次世代への成長戦略

西日本食品工業

業種:食品製造業(春雨・即席食品等)

西日本食品工業

代表取締役社長

長田 和也

企業情報

会社名
西日本食品工業
設立
年月
従業員数
非公開
事業内容
食品製造(春雨等は九州スーパー棚割占有率約70%を記録)
100億企業化への挑戦:ロードマップ策定と理念の言語化で描く、次世代への成長戦略

 


 

西日本食品工業は、九州エリアで春雨製品などの高いシェアを誇る食品メーカーである。売上12億円から5年後に30億円を目指す中期計画を進める中、さらにその先の「100億企業」という未知の領域へ挑戦するために船井総合研究所(以下、船井総研)をパートナーに選んだ。単なる数値目標の策定にとどまらず、創業精神の言語化(PMVV)、そして10年後のビジョンを具現化するロードマップ策定プロジェクトを敢行。社長自身のマインドセットの変革とともに、新工場建設や人材採用など、次なるステージへ向けた具体的な行動が加速している。

 


 

経営/事業上の課題

  • 100億企業への道筋が不明瞭: 5年後30億円までの計画は見えていたが、そこから100億円に到達するための具体的なルートや事業ポートフォリオが描けていなかった。
  • 事業承継に向けた基盤作り: 現在60歳の社長から、将来的にご子息(後継者予定)へバトンタッチするまでの約10年間で、企業としての基盤を強固にする必要があった,。

  •  成長戦略の選択肢の整理: 海外展開やM&Aなど、非連続な成長手段の必要性は感じていたものの、自社に最適な戦略の意思決定が難しかった,

 

課題解決に向けた船井総研の支援概要

  • 10年ロードマップの策定: 現状の延長線上にない「100億円」というゴールから逆算し、必要な事業戦略・数値計画を構築,。
  • 企業理念(PMVV)の再定義と言語化: 社長の人生観や創業からの思いを深掘りし、次世代や社員に語れる「夢」としてミッション・ビジョン・バリューを明確化,。

  • 事業承継を見据えた判断軸の確立: 後継者が迷った際に立ち返ることができる、会社としての意思決定基準(価値観)を整備。

 

支援の成果

  • 経営マインドの変革と行動の加速: 「100億を目指す」という覚悟が決まったことで、新工場計画や人材獲得などの重要施策が具体的に動き出した。
  •  明確な「羅針盤」の獲得: 抽象的だった将来の夢が、実現可能性のある計画として可視化され、自信を持って踏み出す勇気を得られた,。

 


 

プロジェクトの背景

西日本食品工業は、春雨などの食品製造において、九州のスーパーマーケットで高い棚割占有率を誇るなど、強力な商品力を持つ企業である。 当時の売上は約12億円。5年後には30億円を目指す中期計画を推進しており、その達成に向けた道筋はある程度見えていた,。しかし、社長が60歳を迎え、約8年後に想定される事業承継や、さらにその先の「売上100億円」という規模を目指すにあたり、既存事業の延長だけでは到達できないという課題感を抱いていた。 海外展開やM&Aといった選択肢も視野にあったが、具体的にどのように100億円への梯子を掛けるべきか、その「ロードマップ」が不在の状態であった。

船井総研の選定理由

プロジェクトのきっかけは、船井総研からの「100億企業を目指しませんか」というDMであった。 「100億という数字は、それまで私の頭の中にはありませんでした。しかし、そのキャッチーなタイトルを見て、もしうちでも挑戦できるなら、今までとは違う景色が見えるのではないかと感じました」と社長は語る,。 最初の面談(Zoom)を通じて、船井総研とならば漠然とした夢物語ではなく、実現可能なロードマップが出来上がるのではないかという可能性を十分に感じられたことが、最終的な決め手となった。

プロジェクトの目標・課題と解決策

本プロジェクトの核心は、長田社長の大きな夢を、論理的な「計画」へと落とし込むことにあった。 主な取り組みは以下の通りである。

  1. 10年後のビジョンと数値計画の策定 中期計画(5年30億)のさらに先にある10年後の姿を描くため、既存事業の成長に加え、M&Aや新規事業展開を含めたポートフォリオを検討。社長が抱く「海外に出たい」という想いや、業界再編の動向(豆腐業界などの事例)を参考にしながら、自社に最適な成長モデルを模索した,。
  2. 企業理念(PMVV)の言語化 事業承継を見据え、社長個人の感性で行っていた経営判断を、組織としての判断軸へ昇華させる必要があった。自身の子供時代からの振り返りや深掘りを通じて、「自分の根っこには何があるのか」を徹底的に言語化。これにより、社内外に夢を持って語れる明確な指針(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)が完成した。
  3. 「長期ポジティブ・短期ネガティブ」な計画作り 100億という大きな目標(長期)に対してはワクワクするようなビジョンを描きつつ、足元の行動計画(短期)は緻密に積み上げるアプローチを採用。これにより、夢を語るだけでなく、実行力を伴う計画書を作り上げた。

 

船井総研の貢献

約5ヶ月間にわたる伴走支援において、船井総研は社長の想いを引き出しながら、客観的なデータと事例を用いてその想いを「形」にすることに注力した。 「自分一人では、100億という数字を目指すマインドにはなれなかったと思います。船井総研さんには、私の抽象的な想いを明確にしていただきましたし、厳しいフィードバックも含めて『甘くはありませんよ』と現実的な道筋を示してもらいました」と社長は振り返る。
また、事業承継を控える中、後継者がまだ入社していない段階であっても、将来後継者が判断に迷わないための「会社の価値観」を今のうちに明文化できたことは、100年続く企業への大きな布石となった。

プロジェクトの成果と今後の展望

プロジェクトを通じて得られた最大の成果は、社長自身の「やるぞ」という強い決意と、具体的な行動変容である。 「それまでは思いもしなかった100億を目指すマインドに変わったことで、自分を取り巻く環境も変化しています。4〜5年後の中期目標だった新工場計画が具体的に進み始め、人材の問題についても、100億にするために必要な決断ができるようになりました」(社長)。

 

作成されたロードマップは、単なる計画書ではなく、人生をかけて挑む価値のある「夢」となった。「そこに到達できるかは分かりませんが、目指すにあたって十分自分の人生を懸けられる、価値があるものが出来上がりました」と社長は語る。

 

今後はこのロードマップを羅針盤として、既存事業の強化、新工場の建設、そして次世代への円滑な承継を進めながら、西日本食品工業は100億企業への道を一歩一歩確実に進んでいく。

 


 

 

本記事は、実際のインタビュー音声および商談記録をもとに構成された事例紹介です。

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