全社的なシステムの導入をサポートし、顧客情報の一元化に成功
株式会社 シモジマ
業種:事務用品や包装・装飾用品を扱う専門商社会 社 名 | 株式会社 シモジマ |
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設 立 | 昭和37年4月26日 |
従 業 員 数 | 807名(連結)(2021年3月31日現在) |
事 業 内 容 | 紙袋・包装紙・紙器などの紙製品事業、ポリ袋・粘着テープ・食品包装資材などの化成品・包装資材事業、POP用品・文具事務用品・店舗雑貨など店舗用品事業の大きく3部門 |
既存の販売ルートからの売上低下に伴う新規開拓を目的に、EC販売の形を構築。外商部門と連携したビジネスモデルの構築を支援。合わせて、部門ごとに分かれていた顧客管理システムの一元化、大規模システムの導入プロジェクトを支援。新規顧客を大幅に増やし、1顧客あたりの販売額もアップすることができた。
プロジェクト開始前の課題
- 既存の販売ルートの売上低下
- 顧客情報の管理が販売部門ごとに分かれ、システムも未連携
提供したソリューション
- ECサイトのリニューアルと各部門との連携、顧客情報の一元管理
- 全社横断的なシステム「セールスフォース」の導入
導入後の効果
- 顧客情報を一元で管理し、部署横断的でより顧客満足度の高い提案ができるように
- 顧客のLife Time Value(LTV)が前年比120%アップ
- 外商と連携することで年間売上見込み4万円の顧客を月間売上平均50万円に
1920年に包装材料の問屋として創業し、100年の歴史を持つシモジマは浅草橋の問屋街にメインの店舗を構え、店舗を訪れる小売店経営者などにラッピング、包装資材などを販売する小売りを行っていました。
その後時代の変化等もあり、問屋街も小売りも衰退したことから、そのあおりを受けシモジマも売上が低迷、売上高が数年続けて前年比を下回る厳しい状態でした。
店舗の場所に左右されない、飲食店、問屋の需要に影響のない場所での販売、事業モデルが必要であると、経営者は考えていました。
また、以前からECサイトは存在していたものの、ECの顧客情報はEC部門だけが保有している形でした。それはECに限らず会社全体の課題で、顧客の情報は各販売部門のみが保有し、顧客情報の一元管理もできていない状態だったのです。
シモジマは、船井総研の創業者である舩井幸雄が先代社長の頃から経営の支援をしている、付き合いの長い企業です。
市場の変化に伴い、それまでの小売業に関するコンサルティングだけでなく、新たな販売方法についての相談を受け、担当コンサルタントがECサイト立ち上げに関する提案を行いました。
また、シモジマの良さを活かしてサイト経由の注文を外商と連携して対応する形の構築を目指し、そのための方法として全部署、全社員が共通して使用できるシステムの導入を提案しました。
〇会社の強みを活かしたECサイト開発・連携
「課題の解決に必要なのは、単なるECサイトの立ち上げではなく、シモジマが関わって顧客のLTVを上げること」と考えました。
ただ顧客が買いたいと思う商品を買えるECサイトをつくるだけでは、売上は増えてもすぐ価格競争に巻き込まれてしまいます。
シモジマは外商部門があり、地域別営業人員も多いのが会社としての強さです。その強さを最大限に活かせるよう、EC、店舗、外商によるLTV最大化を目指しました。
具体的な方法として、まずは新規流入を増やすべく、ECサイトを大幅リニューアル。ECサイトに登録した顧客のユーザーIDをデジタル資産として活用し、リアル店舗でのキャンペーン情報の通知を送り、オンラインからオフラインへ誘導。さらに大きな取引になりそうな顧客を絞り込んで、法人営業部からアプローチ。
こうすることで、「その部署の顧客」を、「会社全体の顧客」に変えることができました。
顧客が業種コードを入力すると、業種コードに従ってその顧客に役立つ情報を掲載したページに自動的に進む形も整備しました。顧客はECサイトをきっかけに、商品を店舗で見たい人は店舗へ行きやすいようにしたほか、外商部門が対応することで顧客満足度が高まるところは外商が担当。
外商部門が顧客のニーズに合う提案をすることで、より受注を増やす形です。
顧客のLTVを高めるために重要なのは、有益な情報を多々届けることです。そのため、ECサイトの立ち上げ後は有益な情報発信に特化した施策を多々実施しました。情報の確度が高まるよう、メールマガジンもできるだけ業種別に送る形にしています。
シモジマはBtoB業態で、扱う商材の性格から顧客1社1社との付き合いも長く、顧客の事業者数、事業所のカバー率なども把握できています。顧客の現状を適切に把握し、過去の注文状況などLTVの伸び率等を加味して、順次適切なアプローチを行うようにしました。
〇全社横断的なシステムの導入、その定着、運用を支援
顧客の分析、適切なアプローチ方法を決めるために、船井総研はシステムの導入を提案しました。
顧客管理は各部門でそれぞれが行っていたので、各部門にしてみれば、自分のところ以外にどのような顧客がいて、どのくらいの売上になっているかはわからない状態です。そして顧客管理システムも部門の数だけ存在していました。
そのような課題をクリアするために欠かせないのが、顧客管理システムの一元化です。全社的なシステムとして、Salesforceの導入を提案、運用の形についても支援しました。
Salesforceを使って、ECと店舗の顧客の行動履歴を分析。取引額が大きくなる見込みがある顧客を抽出、外商部門につなぐようにしたのです。
システムの一元化で大変なのは、顧客情報の活用方法、分析して出したい結果などが部署ごとに異なることです。ある部署にとっては使いやすい形でも、別の部署にはまったく使えない仕様になってしまっては、全社横断型のシステムにはなりません。
経営トップの全社統一のシステム導入という判断のもと、システムをどのように活用するか各部門と調整しながら導入・運用し、そして実際の成果につなげる、それを船井総研はプロジェクトの中心となって行っていきました。
そのような顧客分析とアプローチの最適化を通じて、シモジマが提供している商品の認知度が高まり、また顧客のLTVも向上して売上アップにつながりました。
ECと店舗での販売だけであれば、売上見込みは年間4万円程度にしかならなかったのが、外商の担当案件になったことで月150万円にアップしたケースもあります。
「シモジマの会社としての強さは、外商部門があり、地域別営業人員も多く抱えていることです。
長きに渡り顧客のニーズを満たし続けてきた歴史があり、取り扱う商品の数も多く、同社のサービスや顧客にもたらす価値について、しっかり伝えることができれば必ず顧客の支持を集めることができると考え、時代に合った形を提案し、システムの導入をお手伝いさせていただきました。
シモジマは今後、この度整備した販売環境に合わせて人材の採用をしていき、さらに高い成果につなげていけるよう、EC販売がもっとも売りやすい商品の開発なども行っていく予定です。
会社の積み重ねてきた実績や信頼を礎に、時代に合わせて新たな手を打っていく同社を、引き続き支援させていただきたいと考えています」