ものづくりは演歌だ!! ユニークな新商品戦略で世界へ(売上106億円)2025年12月号

社長就任から見据えた未来、新商品開発、果敢な財務戦略、そして進化する企業文化

2015年、包行氏がキャニコムの社長に就任した時、会社は売上約50億円という安定した基盤を持ちつつも、新たな成長への模索を続けていました。しかし、彼は単なる現状維持ではなく、その先の100億円企業という壮大な目標を掲げ、会社全体に変革のメスを入れていきます。それは、市場の未来を見据えた新商品開発への果敢な挑戦、困難を乗り越えるための緻密な財務戦略と未来への布石となる大規模な工場投資、そして何よりも、企業を内側から強くする企業風土と制度の抜本的な改革が、有機的に結びつき、三位一体となって実現された壮大な物語です。数々の試練と逆境を乗り越え、いかにしてこの輝かしいマイルストーンに到達したのか。包行氏への詳細なインタビューを通じて、社長就任からの変革の軌跡を深く、多角的に紐解いていきます。

インタビュー&レポート

株式会社筑水キャニコム
代表取締役社長

Yoshimitsu Kaneyuki

包行 良光氏

3代目就任後10年間で年商50億円から106億円を達成

市場の潜在ニーズを掘り起こし、未来を創造するイノベーションや工場への投資を行うことで人材育成の早期化を実現し年商100億円を突破しました。

BusinessSummary

実質債務超過状態から工場と人材への投資で年商100億達成の逆転物語

株式会社筑水キャニコムは、農業、林業、土木建設の各分野で利用される産業用機械の開発、製造、販売を主力事業とする機械メーカーです。 狭い箇所や急峻な地形でも使える隙間(ニッチ)の市場をターゲットとしています。大手メーカーは、大きな市場で汎用性の高い製品をターゲットとする傾向がありますが、同社はあえてそ の逆を行く戦略をとっています。その代表例が「草刈機まさお」「ピンクレディ」「アラフォー傾子」といった、一度聞いたら忘れられないユニークなネーミングの製品群です。

 

これらの製品は、まるで現場の相棒であるかのように親しまれ、農業や土木建設の現場で「かゆいところに手が届く」機械として高い評価を得ています。ユニークなネーミングは、単なる遊び心 にとどまりません。顧客の心に深く残り、製品に愛着を持ってもらうための戦略です。これは、同社が掲げる「ものづくりは演歌だ」という哲学、すなわち顧客の心の琴線に触れる製品を 提供し、長く愛され続ける関係を築くという姿勢の表れでもあります。近年、その躍進は目覚ましいものです。

 

かつて40億円台で伸び悩んでいた売上は、2015年の52億円を皮切りに 「50億円の壁」を突破すると、その後わずか8年で倍増し、ついに売上100億円の大台を達成しました。今や10年連続の増収増益を記録しています。 まず、同社が社長交代時に直面していた「実質的な債務超過」という深刻な課題を明らかにします。次に、その状況を打破した大きなターニング ポイントとして、キャッシュフロー問題と、「アメリカ市場への本格進出」、誰もが実現不可能と考えた「新工場建設」について詳述します。

 

そして最後に、それらの大胆な戦略がいかにして会社を再生させ、100億円企業へと到達させたのか、その全貌に迫ります。これは、一人の経営 者の覚悟とリーダーシップが、地方企業をいかにして蘇らせたかという、逆転の物語です。

 

CompanyHistory

「ものづくりは演歌だ」というスローガンのもと年商100億を突破

包行氏就任後の筑水キャニコムの沿革

2015
創立60周年。社長に包行氏が就任。 ●内閣総理大臣表彰 第6回ものづくり日本大賞 製品・技術開発部門優秀賞/受賞製品:四輪駆動乗用草刈機『まさお』
2016
東京事務所「グローカル・ヘッドワーク・オフィス」を開設。 ● 中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定
2017
資本金1 億円。 ●経済産業省「地域未来牽引企業」に選定
2018
中四国センターが移転。 ●日刊工業新聞社 第28回ネーミング大賞ビジネス部門1 位/受賞製品:ハンドガイド式雑草刈機『荒野の用心棒ジョージ』 CG510K ZC
2019
多目的造林機『山もっとモット』の販売を開始する。 ●日刊工業新聞社 第29 回ネーミング大賞ビジネス部門2 位/受賞製品:太陽光発電所専用・乗用草刈機『SUN SUN MASAO SUN 』CMX2508
2020
●日刊工業新聞社 第30回ネーミング大賞ビジネス部門1位 ● 公益社団法人中小企業研究センター 第54 回グッドカンパニー大賞特別賞
2021
新工場「演歌の森うきは」が福岡県うきは市鷹取に完成。 ●日刊工業新聞社 第51 回機械工業デザイン賞 IDEA 日本商工会議所会頭賞 ●日刊工業新聞社 第31 回ネーミング大賞/受賞製品:ラジコン 式ハンマーナイフモア『アラフォー傾子』AS751RC -C
2022
乗用草刈機『りんごブラッサムまさお』の販売を開始する。新型の大型塗装施設を増設し、「演歌の森うきは」が本格稼働する。 ●日本経済新聞社 第3 回NIKKEI全国社歌コンテスト情熱賞 ●九州・山口ベンチャーマーケット2022 第二創業部門大賞 ForbesJAPAN賞● ForbesJAPAN SMALL GIANTS AWARD 2022-2023グランプリ
2023
乗用草刈機『フルーティまさお』の販売を開始する。生コン運搬車『コンクリート砂男』の累計販売数1 万台突破。福岡県博多市に福岡本社(ジャスパーラボ博多・デザインの森博多)を設置。 同時に、東京 のグローカル・ヘッドワーク・オフィスを東京本社とし、東京・博多・うきはの3 本社体制に移行。北海道に「デザインの森札幌」を移転・開設する。 ● 日刊工業新聞社 第53回機械工業デザイン賞 IDEA 日本 商工会議所会頭賞 ● 第9回ものづくり日本大賞 九州経済産業局長賞 /受賞製品:多目的造林機械『山もっとモット』CG510
2024
タイに現地法人「Canycom Asia Co., Ltd.」を設立。「演歌の森うきは」の新棟増設に向け、地鎮祭を実施する。 ● 日刊工業新聞社 第34回ネーミング大賞ビジネス部門1位/受賞製品:電動運搬車『ジャス パー砂与』SC30
2025
創立70周年 and goes on

担当コンサルタント

価値向上支援本部
アカウントパートナー推進部
マネージング・ディレクター

Keisuke Suzuki

鈴木 圭介

2007年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に新卒で入社。法律事務所の事業戦略・マーケティング支援・組織開発に従事し、デジタルマーケティングを中心に変革を進め、業界を代表する事務所・士業グループを多数輩出。法律部門の責任者を経て、2021年より「中堅企業向けコンサルティングサービス部門」の立ち上げに参画し、特に20億~50億企業が100億企業になるためのコングロマリット企業化・ロードマップ策定に関する専門性を有する。「日本の未来を担う企業の成長を加速させる」ことをミッションに日々コンサルティングを行っている。2023年より同部門責任者(マネージングディレクター)に就任。『地域コングロマリット経営』(2023年)同文舘出版、『士業の業績革新マニュアル』(2015年)ダイヤモンド社等、多数の書籍を執筆。

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