定番商品にバリエーションを加え、 人財戦略と合わせ大台へ/株式会社ピエトロ(売上100億9,648万円)2025年3月号

「簡単ではないことを粘り強く続ける」成長を支える「風土づくり」
「ピエトロのドレッシング」を利用している方も多いのではないでしょうか。
もともとレストランで提供するサラダに使用していたドレッシングが好評を得て、今では売上のほとんどを占めるようになりました。
その一方で、その成長は伸び悩み、また創業者が急死するというピンチに見舞われました。
創業者のあとを継いで社長に就任した2代目経営者は、創業者の遺したものを大切にしながらも、それだけではない新たな成長の構想を固め、実行に移しています。
合わせて、ピエトロの特筆すべき点は「会社の目指す方向や働く意義を共有し、働く人たちが楽しく仕事に取り組めるような風土づくり」を大切にした人財戦略です。
新入社員は1年2ヶ月に及ぶ、さまざまな研修を行っています。
決して簡単ではないことを粘り強く続ける。
ピエトロが経営において大切にしていることをお感じいただければと思います。
Consultant Introduction Consultant Introduction コンサルタント紹介
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価値向上支援本部
Kaito Noguchi
野口 海渡
福岡県出身。神戸大学経営学部卒業後、船井総合研究所に新卒で入社。医療機関向けコンサルティング部門にて、人材マネジメントの仕組みづくりから集患戦略の立案まで、経営基盤の強化に貢献。現在は、中堅・大手企業を専門とするコンサルティング部門にて活躍。製造業、商社、化粧品メーカー、ホテル・旅館など、業界の垣根を越えた幅広い知見を活かし、企業の成長戦略立案から実行支援まで一貫してサポート。特に売上100億円規模への成長を見据えたロードマップ策定と実現に強みを持つ。「成長する企業の存在が、地域に新たな活力を生む」という信念のもと、企業の持続的な成長を支援。経営者に寄り添った実践的なアプローチと地域特性を活かした成長モデルの構築で、地域社会の課題解決を担う企業の創出に取り組んでいる。
Interview & Report

株式会社ピエトロ
代表取締役社長
Yasuyuki Takahashi
高橋 泰行氏
創業者の遺した商品、精神を基盤に それらに頼ることなく、さらなる成長へ
売上100億に達する規模に成長しながらも、商品づくりもサービスも、創業時の小さなレストランの頃の想いを大切にしているピエトロ。
100億達成には、その積み重ねと同時に、それまでの延長ではない、いわば過去のものに頼らない施策があります。
創業者の遺した商品、精神を基盤に それらに頼ることなく、さらなる成長へ
売上100億に達する規模に成長しながらも、商品づくりもサービスも、創業時の小さなレストランの頃の想いを大切にしているピエトロ。
100億達成には、その積み重ねと同時に、それまでの延長ではない、いわば過去のものに頼らない施策があります。
BusinessSummary
定番商品のドレッシングを軸に100億へ
株式会社ピエトロは、福岡県福岡市に本社を置く食品メーカーです。
1980年12月9日に創業し、2002年4月に東京証券取引所市場第二部に上場、2015年12月には東京証券取引所市場第一部へ変更し、現在では、東証スタンダードに上場しています。
主力商品はドレッシング、パスタソースなどで、そのほかにもパスタ料理をメインとしたレストランも運営しています。
同社は2024年3月期、売上100億円に達しました( 連結 )。
そこに至るまでの変遷をお届けします。
CompanyHistory
スパゲティ専門店の「サラダにかけるドレッシング」が大ヒット
ピエトロは1980年、福岡県福岡市天神に36席の小さなスパゲティ専門店として創業しました。
当時、スパゲティといえばナポリタンやミートソースなど「赤いソース」が主流でしたが、ピエトロは明太子や高菜、納豆など和の素材をアレンジした新しいスパゲティを提供することで、新たな食文化を生み出すことを目指しました。
当時は効率を重視し麺は先にゆでておく形が一般的だったのを、ゆでたてを提供するために、注文を受けてから麺をゆでる調理スタイルを採用。
料理を提供するまでに10分ほど時間がかかってしまうため、提供までの時間を楽しんでもらえるよう、サラダを出すことにしました。
そのサラダに使用していたドレッシングがお客から好評を博したことが、今の事業の礎となっています。
それまでの一般的な酸味の強いドレッシングではなく、醤油を使用したまろやかな味のものだったことが、新しく、かつおいしいものとして受け入れられ、提供開始から1年後には行列のできる人気店に成長しました。
「次第にお客様がお店にいらっしゃって、『ここのドレッシングだとうちの家族が野菜を食べるので、ぜひ分けてほしい』と言われるようになりました。
当時は容器がなかったので、ワインの空き瓶などに入れてお分けしていましたが、その回数が増えてきたので、これも事業になるのかもしれないと専用のボトルを用意したところ、
おかげさまで口コミによりドレッシングの購入者の数が広がっていきました」ピエトロの代表取締役社長、高橋泰行氏は語ります。
「サービスの一環で開始したドレッシング事業が『街のレストラン』から大きく飛躍するきっかけとなり、現在ではドレッシング事業が売上全体の4分の3を占めるまでに成長しています。
ドレッシングの製造は工場で行っていますが、私たちは工場を『大きな厨房』と呼び、レストランと同じように手作りの過程を大事にしています。1日に約2万個の国産たまねぎを1つずつ人の手で切り、味のばらつきが出やすい巨大なタンクではなく、寸胴鍋で製造しています。
効率のため一度にたくさんつくるのではなく、“少しずつをたくさん”つくる。
それが規模の拡大した今でも、変わらないピエトロのこだわりです」