創業13年で年商100億円達成を実現した “3つの転換”/株式会社novis(売上185億8,900万円/従業員95人)2024年7月号

「変化をいとわないこと」が急速な成長を支える
今回ご紹介する企業は、
わずか13年という短い期間で年商 10 0億円を達成しました。
その急成長ぶりには目を見張るものがあります。
この企業の変遷を見ていると、創業からの期間がそれだけとは思えないほどに
さまざまな「転換」を行ってきていることがわかります。
それだけ柔軟に対応してきたからこそ、
最短距離で成長することができたというのが、感じることです。
また、大胆な変更をしながら、創業から一貫して変えない部分もあります。
そのあたりの「メリハリ」も感じていただくとともに、
市況の変化を見据えて今後どのような手を打っていくかについての展望も、
企業が年商 10 0億円という高みに達したのちもさらなる成長を目指すために必要な観点ですので、
ぜひご覧いただければと思います。
Consultant Introduction Consultant Introduction コンサルタント紹介

価値向上支援本部
アカウントパートナー推進部
マネージング・ディレクター
Keisuke Suzuki
鈴木 圭介
2007年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に新卒で入社。法律事務所の事業戦略・マーケティング支援・組織開発に従事し、デジタルマーケティングを中心に変革を進め、業界を代表する事務所・士業グループを多数輩出。法律部門の責任者を経て、2021年より「中堅企業向けコンサルティングサービス部門」の立ち上げに参画し、特に20億~50億企業が100億企業になるためのコングロマリット企業化・ロードマップ策定に関する専門性を有する。「日本の未来を担う企業の成長を加速させる」ことをミッションに日々コンサルティングを行っている。2023年より同部門責任者(マネージングディレクター)に就任。『地域コングロマリット経営』(2023年)同文舘出版、『士業の業績革新マニュアル』(2015年)ダイヤモンド社等、多数の書籍を執筆。
Interview & Report

株式会社novis
代表取締役
Yuichi Yamaguchi
山口 裕一氏
太陽熱温水器からメガソーラー、 個人から組織、 訪問販売から卸売商社へ
太陽熱温水器の訪問販売からスタートした株式会社novisは
「売るものを変える」「評価を変える」「売り方を変える」で大きな成長を遂げてきました。
倒産の危機に瀕したこともあるなかで、柔軟な変化によりピンチをチャンスに変えてきた軌跡をお伝えします。
太陽熱温水器からメガソーラー、 個人から組織、 訪問販売から卸売商社へ
太陽熱温水器の訪問販売からスタートした株式会社novisは
「売るものを変える」「評価を変える」「売り方を変える」で大きな成長を遂げてきました。
倒産の危機に瀕したこともあるなかで、柔軟な変化によりピンチをチャンスに変えてきた軌跡をお伝えします。
BusinessSummary
時代の変化に合わせて「変える」「変えない」を決める
株式会社novisは太陽光事業をメインに住宅資材・電材事業を行う卸売商社です。
京都府宇治市の本社以外にも、東京・名古屋・札幌に3つの支店を展開。2006年の創業からわずか13年で売上100億円を超えた、勢いのある会社です。
同社は創業時、太陽の熱を集めてお湯を沸かす「太陽熱温水器」の代理店として、訪問販売を主軸に事業を展開していました。
時代の変化で太陽熱温水器の販売数が低下したのに伴い事業を転換したことで、その後の業績を急拡大させています。
同社の成長は、転換点となる出来事が起きた際に、その都度「変化すること・させないこと」を適切に選んできた、
だからこそ安定的に成長する土台が築けた、とnovis代表取締役の山口裕一氏は語ります。
TurningPoint
販売するもの、評価、ビジネスモデルの転換
novisが京都や滋賀を地盤とする訪問販売会社から、全国展開する100億円企業にまで成長した理由に、3つの転換ポイントが挙げられます。
・個人主義から組織主義への転換
・エコ商材から太陽光発電商材への転換
・訪問販売から卸売商社へ転換
評価制度の変更で8割が退職
novisの前身である「京滋ソーラー」は、太陽熱温水器の訪問販売をする会社として立ち上がりました。
創業者はnovisのもう一人の代表取締役、山口洋史氏です。
裕一氏と洋史氏は実の兄弟で、弟である洋史氏が立ち上げた会社に裕一氏が転職してきたことで、さまざまな転換が始まりました。
京滋ソーラーは創業直後から利益を上げ、営業会社として順調に成長していました。
その様子を見ていた兄の裕一氏は「このビジネスにはチャンスがある」と感じ、15年間営業職として勤めていたトヨタ系ディーラーを退職し、京滋ソーラーに参画します。
裕一氏が入社してすぐに懸念を抱いたのが、当時の「個人事業主の集まり」のような企業風土です。
上司と部下は数字を報告し合うだけで、上司が指導をするような関係性ではありませんでした。
「従業員数も増えている中で、これから一緒に仕事をしていく仲間同士の関係が、こんなにも希薄でいいのだろうか?
事業規模を拡大するには、より強固なものにしたい」裕一氏はそのような企業風土を転換することを決意します。
ディーラーで働いていた知見を活かし、支店ごとに営業目標を設け、評価を個人ではなく支店ごとに評価する制度に変更。
社員1人ひとりが競争するのではなく、支店単位で競争する仕組みに変えていきました。
社員は自分が売り上げるほどに稼ぎも増える形に魅力を感じて入社した人たちなので、組織単位の評価に変わったことで、社員の8割が退職してしまったといいます。
裕一氏は「会社の体質を変えるためには仕方がないと判断していた」と話します。
市場ニーズに合わせ、メイン商材を大胆に変更
京滋ソーラーが当初扱っていたのは「太陽熱温水器」という、太陽の熱を集めてタンクの水を直接温める設備です。
発電機とは異なり、電気を生み出すものではありません。あくまでもお湯を沸かすための設備で、1970~80年ごろに急速に設置が進みました。
その後、原油価格が低下してガス給湯のコストが下がったことや、太陽光発電機をはじめとするエコ関連設備の登場により、太陽熱温水器の需要は下火になっていきます。
そこで、京滋ソーラーは太陽熱温水器の取り扱いを全面的に止め、エコキュートやIH関連の設備へと主力商品を大幅に変更します。
エコキュートやIH関連設備は、太陽熱温水器よりも単価が高く、今の時代に需要があります。
こうして主力商品を大きく入れ替えることで、売上を拡大することに成功したのです。