100億企業化セミナーレポート 持続的成長のための第二本業セミナー 2023年7月号
年商10億円事業の連続立ち上げ術 地域密着・成熟業種でも 新規事業で再成長
イワモトグループは和歌山県を中心に5店舗のコインランドリー、リノベる和歌山、
10店舗のエニタイムフィットネス、セルフエステ、無人航空機、太陽光パネル・風力発電など新規事業の立ち上げに取り組む、年商136億円の企業です。
業界的に売上が変動する中で、「100億を超える組織のポイントとは?」「どのようなポイントで新規事業展開しているのか?」
といった内容を本紙で紐解いていきます。
Consultant Introduction Consultant Introduction コンサルタント紹介
株式会社 船井総合研究所
価値向上本部 事業イノベーション支援部
マネージングディレクター
Hajime Yoshida
吉田 創
2008年の入社以来、様々な業種・業態の中小企業へ「企業価値向上」をテーマとした事業戦略の策定・現場への推進プロジェクトを展開。これまでの累計担当プロジェクト数は300を超える。その経験を活かし、現在は中小企業の企業価値向上ステップを見える化する「ビジネスモデル診断」の開発責任者として、船井総研グループを横断して企業価値向上手法の普及に従事している。
近年は特に、ぱちんこ・自動車・住宅不動産等(=成熟業界)を中心に 「成熟業界でも成長し続けるためのリブランディング支援」を中心にご支援中。
Interview & Report
岩本石油株式会社
常務取締役
Tsutomu Iwamoto
岩本勉氏
● 慶應ビジネススクール卒業後、横浜市のLP事業会社にて需要開発に従事、その後石油元売りにてSS開発などを経て家業へ戻る。
● イワモトグループは和歌山県内を中心に石油事業(県内11店舗)・LPガス事業・車検事業(県内5店舗)・保険事業・設備業・不動産事業などを軸に展開しており、既存事業の成長に陰りが見える中で積極的な新規事業の立ち上げを目指す。
●入社後はコインランドリー(5店舗)・リノベる和歌山・エニタイムフィットネス(10店舗)・セルフエステなどの新規事業に取り組む。
● 直近では無人航空機事業を新設。国産メーカーであるACSL社の正規代理店として、機体及び関連機器の販売を行う。また、自社保有機体を用
いたソリューション(太陽光パネル・風力発電・その他設備)も展開。
● 慶應ビジネススクール卒業後、横浜市のLP事業会社にて需要開発に従事、その後石油元売りにてSS開発などを経て家業へ戻る。
● イワモトグループは和歌山県内を中心に石油事業(県内11店舗)・LPガス事業・車検事業(県内5店舗)・保険事業・設備業・不動産事業などを軸に展開しており、既存事業の成長に陰りが見える中で積極的な新規事業の立ち上げを目指す。
●入社後はコインランドリー(5店舗)・リノベる和歌山・エニタイムフィットネス(10店舗)・セルフエステなどの新規事業に取り組む。
● 直近では無人航空機事業を新設。国産メーカーであるACSL社の正規代理店として、機体及び関連機器の販売を行う。また、自社保有機体を用
いたソリューション(太陽光パネル・風力発電・その他設備)も展開。
【1】会社概要&ビジネスモデル
吉田:岩本石油が行っているビジネスモデルは供給元から元売・商社を介している代理店ビジネスに近い構造です。その中で、ホールディングス体制をとっており、岩本石油を中心に既存関連会社と全く違う分野の新規事業会社を混在させながら事業ポートフォリオを組んでいます。展開事業をテーマ別に分けると、「ライフスタイルサポート」「ビジネスサポート」「カーライフサポート」「エネルギーサポート」の4テーマになり、2022年では全体で年商136億円となっています。
岩本:まずはグループの事業変遷からお話いたします。岩本石油グループは創業105年目となり、私が4代目にあたります。もともと、創業者の岩本秀吉が1918年に船舶の油を精製する事業で創業し、2代目が油を精製する過程でガスがでる点を活かし、LPG事業を拡大しました。3代目が、油→ガスと続く中で、石油需要が船からクルマへと移行したことに着目し、クルマに関連する事業に参入、自動車関連事業を拡大しました。同時に時代のトレンドにあったカラオケ事業にも参画していき、私が家業に戻った際には既に多くの事業がありました。
【2】「ただ跡を継いだだけ」にはなりたくなかった
岩本:岩本には先代から経営の根幹に事業開発が根付いています。例として、岩本の関連事業の名前には「星」の名前がついています。これは2代目が星が好きで「星の数ほど会社を作ろう」という考えから名づけられたものです。そんな先代をみてきた私は、幼いころから家業に戻ったら何か新規事業をたちあげようと思っていました。同時に、3代続いていると「跡をつぐのは当たり前」という風潮がありました。そんな中、2代目が亡くなった際の葬儀で、以前の取引先から「先代にはお世話になったが今後も安定的に取引が続くとは思わないでほしい」と言われたことが転機となります。それをきっかけに4代目就任後、「ただ跡を継いだだけにはならない」と誓い、自分の領域でコントロールできる「既存事業とシナジーが生まれる新規事業」を大事にしてきました。
吉田:実際に4代目就任時に既存事業の見通しはありましたか?
岩本:石油LPG市場は人口に比例して減少していました。今後も急激に大きく縮小することはないが、30年後には取引額や客数が半分くらいになると予想していました。だからこそ、自分の代から「新たな創業期」で既存事業の市場規模が縮小しても伸びる会社にしたいと考えました。吉田:そんな中で既存事業とシナジーが生まれる新規事業を大事にされていたとのことですが、どのような選び方をされましたか?岩本:先代の思想で「保安→予防→サービス→収益」の優先順位を大事にしろと教わってきました。まずは、安心できることが大前提、安かろう悪かろう、は良しとしない。その考えから、インフラなどに関連する利用者に安心を提供することを選定して、2018年以降の事業参入を行ってきました。