地域中堅企業が進めるサプライチェーン統合型勝ち残り戦略/株式会社タカカツホールディングス

地域中堅企業が進めるサプライチェーン統合型勝ち残り戦略
宮城県大崎市のタカカツグループは、建築資材の製造販売、新築住宅、不動産、リフォーム事業を展開する8社と持ち株会社である株式会社タカカツホールディングスの計9社で構成するグループ企業です。垂直型に多角化経営を行ってきた同グループの歩みを、ホールディングス取締役会長の髙橋勝行氏に伺いました。
インタビュー&レポート

株式会社 タカカツホールディングス
取締役会長
Katsuyuki Takahashi
髙橋勝行氏
タカカツグループは「木と住まいと暮らしの垂直統合 地域密着 多角化 モデル企業」と言われています。人口の少ないエリアで売り上げを確保する ために、様々な形で多角化していく必要がありました。もちろん「木と住ま いと暮らし」以外の事業にも挑戦したこともありました。しかし、うまくい きませんでした。67年目になる会社の歩みを振り返ると、成功より失敗し た経験のほうが圧倒的に多いです。
材木店からホームセンター進出、撤退を経験し原点へ
1955年、私の父が材木店を立ち上げました。しかし50歳の若さで亡くなっ てしまい、当時27歳だった私が経営を引き継ぎました。 創業者である父が存命だったならば、もしかしたら、もっと別の手法で会社を経営していたかもしれません。経営者が代わったことは非常に大きな節目だったと感じます。 当時は建材販売業として地元の工務店に建材を販売しながら、企業としての経営基盤を築いていましたが、毎年不良債権が出ていました。1978年の宮城県沖地震をきっかけに、空前の住宅ブームが起きましたが、2、3年後には以前の状況に戻りました。そこで考えたのがホームセンター進出でし た。
ホームセンターに建築資材が一部並んでいたこともあり販売を試みましたが、大手ホームセンターが小さな街に進出してくると全く敵わなくなりまし た。このままではやっていけないと、事業の売却を決断しました。倒産は免れましたが、社員と事業そのものを全て譲りました。 ホームセンター事業を売却してから、もう1度改めて「木と住まい」に特化しようと再スタートしました。
辿り着いた「WOOD EGG PROJECT」
現在、会社は9つのグループに分かれています。基本的には1事業1種類 ですが、客層が違うと経営手法も違うため、会社を客層別に分けています。 高級住宅を扱う会社と比較的安い値段の住宅を扱う会社は同じエリアでも別になっています。「木と住まい」に特化して展開していった結果 「WOOD EGG PROJECT」 (ウッドエッグプロジェクト)を立ち上げました。 建材業から始まり、川下に下りていってエンドユーザーとつながり、川上 のほうに展開して製材工場を持ちました。必要に迫られて進んできました が、気が付いたら川上から川下まで垂直的に結ばれていた形です。
製材工場設立は業界が異なったため、参入のハードルが高かったのですが、そこでいろいろなことがわかりました。 卵を生卵で売ると1個20~30円ですが、ケーキになると倍以上の値段に なります。 建築資材も住宅まで展開すると付加価値が生まれるのです。私たちも別々 のグループ会社で、共に付加価値を生み出すことにつなげていきました。さらに、地域に雇用が生まれ、木材という資源の活用もできます。地域における資源や価値に対して、グループ全体として相乗効果を生み出していく取り組みを、「木の卵」の意味から 「WOOD EGG」と名付けました。
担当コンサルタント

価値向上支援本部 アカウントパートナー推進部
マネージング・ディレクター
Keisuke Suzuki
鈴木 圭介
2007年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に新卒で入社。法律事務所の事業戦略・マーケティング支援・組織開発に従事し、デジタルマーケティングを中心に変革を進め、業界を代表する事務所・士業グループを多数輩出。法律部門の責任者を経て、2021年より「中堅企業向けコンサルティングサービス部門」の立ち上げに参画し、特に20億~50億企業が100億企業になるためのコングロマリット企業化・ロードマップ策定に関する専門性を有する。「日本の未来を担う企業の成長を加速させる」ことをミッションに日々コンサルティングを行っている。2023年より同部門責任者(マネージングディレクター)に就任。『地域コングロマリット経営』(2023年)同文舘出版、『士業の業績革新マニュアル』(2015年)ダイヤモンド社等、多数の書籍を執筆。
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