「パチンコ屋」から 「地域に貢献する総合レジャーの会社」へ年商365億円企業の成長戦略の中心は新規事業/キスケ株式会社

キスケ株式会社は、愛媛県松山市に本社を置き、パチンコ、カラオケ、温泉施設、ボウリング、不動産業などを展開。創業から70年連続で黒字経営を続け、2023年の年商は365億円に達しています。
その成長戦略について、同社の3代目である代表取締役副社長の山路大助氏にお話を伺いました。

Consultant  Introduction Consultant Introduction コンサルタント紹介

価値向上支援本部
アカウントパートナー推進部
マネージング・ディレクター

Keisuke Suzuki

鈴木 圭介

2007年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に新卒で入社。法律事務所の事業戦略・マーケティング支援・組織開発に従事し、デジタルマーケティングを中心に変革を進め、業界を代表する事務所・士業グループを多数輩出。法律部門の責任者を経て、2021年より「中堅企業向けコンサルティングサービス部門」の立ち上げに参画し、特に20億~50億企業が100億企業になるためのコングロマリット企業化・ロードマップ策定に関する専門性を有する。「日本の未来を担う企業の成長を加速させる」ことをミッションに日々コンサルティングを行っている。2023年より同部門責任者(マネージングディレクター)に就任。『地域コングロマリット経営』(2023年)同文舘出版、『士業の業績革新マニュアル』(2015年)ダイヤモンド社等、多数の書籍を執筆。

Interview & Report

キスケ株式会社
代表取締役副社長

Daisuke Yamaji

山路 大助氏

ミッションを軸に多様な事業を展開

私たちキスケのミッションは、「遊び」を通じて、喜びを創り続けることです。

遊びを中心に据えて、いろいろな事業を展開し、地域のみなさまに喜んでいただきたいと考えています。

当社が現在展開している事業と、そのねらいについてお話しします。

キスケは、子どもから高齢者の方に至るまで、「遊び」を通して一生お付き合いできる事業体制をつくろうと考えています。

 

キスケの事業

[パチンコ]

8店舗を運営。松山市にある最大の店舗は1,431席

[温泉]

温浴施設2店舗を運営。大きな店舗は年間約50万人が来場

[マージャン]

マージャンを「頭を使うスポーツ」と打ち出し、若者にも楽しんでもらえる施設として運営

[不動産]

愛媛と東京に物件を所有し運用

[アミューズメント施設]

ボウリング、カラオケ、飲食等を時間制で楽しめる施設を運営

[キッズパーク事業]

子どもが巨大なネットジャングル、ボルダリング等で遊べる屋内型キッズパークを運営

また、県外からお越しになった方にもご利用いただけるよう、簡易宿泊所、岩盤浴、韓国式サウナなども運営しています。

私たちはこれからも地域のみなさまのために、新しい事業を加えていきたいと考えています。

 

パチンコの利益をほかの事業へ「串団子モデル」で経営の安定化と新規事業の創出を実現

キスケはさまざまな事業を展開していますが、「資金の使い方」は1つに決めています。

「串団子モデル」と私は呼んでいるのですが、資金を左から右に動かしています。

一番左にあるのがパチンコ事業で、これが投資の源泉になります。

2013年はパチンコによる利益が全事業の8割を占める中心事業でしたので、その利益を元手に右へと投資をしていっています。

エンターテイメント事業(温泉、カラオケ等)では、地域のお客様に遊びや学びの場を提供し、

キスケが「遊び」の会社であることを知っていただき、 開発事業(不動産)では自社物件化による高収益化と収益物件の運用で安定収益を得る。

これらの既存事業を磨き続け、伸ばし続けながら、新たな事業の開発を行っています。

かつては利益の8割を占めていたパチンコは、現在その利益の比率が4割になっています。

積極的な投資を行った結果、パチンコ以外の事業が伸びてきました。

当社の明確な強みといえるのが財務内容です。

創業時から70年黒字経営を続けており、自己資本比率は現在95%超(業界平均は約44%)、また、パチンコの店舗平均売上高は42億円と業界平均の約2倍です。

競合よりも大型の店舗を抱えられるだけの営業力があります。

 

利益におけるパチンコの割合が減っているのを裏付けるように、パチンコ店はこの10年間出店していません。

売上拡大のために新規出店するという選択肢もありますが、現在は既存店を磨き上げようと考えています。

外から見れば店舗数は増えていないのですが、総資産は10年前の約1.5倍になっています。

債務の償還年数はゼロ。

店舗は自社物件にしていて家賃もかからないため、競業他社より優位性があります。

実は当社も今の無借金状態になるまでは紆余曲折がありました。

私が子どもだった頃、会社の借金は200億円近くあったそうです。

私が高校生の頃に、その借金が100億円以下に減ったと初めて父から聞いて、「うちにはそんなに借金があるのか」と心配になった記憶があります。

それから返済を続け、無借金経営ができるようになったのです。

 

パチンコ8割→4割 この10年で変わった事業構成と収益比率

当社の事業別利益の割合はこの10年で大きく変わりました。

2013年時にはパチンコが80.3%、不動産13.2%、アミューズメント6.6%でしたが、2021年はパチンコが44.4%、不動産54.4%、アミューズメント1%になっ ています。これは不動産事業が伸びたこともありますが、パチンコとア ミューズメントがコロナ禍で影響を受けてしまったことも理由です。

当社のこの10年をふり返ると、2013年までは、パチンコの最盛期、2017年からは不動産事業の成長期、2021年からは新規事業のチャレンジ期と移り変わっています。

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