数多くの失敗を糧に成長を遂げ、 知多半島の覇者への道はなお続く/株式会社エネチタ

知多半島の阿久比町に本社を構える株式会社エネチタ。
同社は1935年、愛知県常滑の石炭事業に端を発し、ガソリンスタンドからプロパンガス事業、産業エネルギー事業へと拡大していきました。さらにリフォーム事業からフードサービス事業、不動産事業、コインランドリー事業、給湯器専門事業と幅広く展開し、2024年で90周年を迎える地域コングロマリット企業です。
2023年6月現在の事業所は40拠点、従業員数は410名。2022年度の年商は78億円、第一四半期での今期予測は105~110億円を見込んでいます。
社長の後藤康之氏は3代目。
現在8事業を手がける後藤氏ですが、これまでに数多くの事業で失敗し、撤退も経験してきました。
新築事業は2回手がけ、2回とも撤退。水の宅配事業では、ウォーターサーバーの倉庫を作り、車両も全部手配したものの撤退。
その後は、ハウスメーカーと組み、太陽光パネルを設置していくも撤退。この他に板金事業、車検事業、焼肉屋事業、ペット専門リフォームもすべて撤退です。これだけ多くの失敗を経験したからこそ、今日の成功につながったそうです。

Consultant  Introduction Consultant Introduction コンサルタント紹介

価値向上支援本部
アカウントパートナー推進部
マネージング・ディレクター

Keisuke Suzuki

鈴木 圭介

2007年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に新卒で入社。法律事務所の事業戦略・マーケティング支援・組織開発に従事し、デジタルマーケティングを中心に変革を進め、業界を代表する事務所・士業グループを多数輩出。法律部門の責任者を経て、2021年より「中堅企業向けコンサルティングサービス部門」の立ち上げに参画し、特に20億~50億企業が100億企業になるためのコングロマリット企業化・ロードマップ策定に関する専門性を有する。「日本の未来を担う企業の成長を加速させる」ことをミッションに日々コンサルティングを行っている。2023年より同部門責任者(マネージングディレクター)に就任。『地域コングロマリット経営』(2023年)同文舘出版、『士業の業績革新マニュアル』(2015年)ダイヤモンド社等、多数の書籍を執筆。

Interview & Report

代表取締役

Yasuyuki Goto

後藤 康之氏

3代目として急遽地元に戻ったものの失敗の連続

エネチタの展開する地域は人口60万人の知多半島。

経営の根底にあるのは「知多半島の衣食住」すべてを支えるという熱い思い。

最近はコインランドリー事業に加え、ガソリンスタンドや自動車のキーパーコーティングなど、移動の「移」を含めた地域の「衣(移)食住」を支えています。

 

学生時代の後藤氏はスノーボードに夢中になり、東北の大学に進学。

卒業後は他の会社に就職しました。しかし、就職して1年半ほどして知多半島に戻ることになります。

父親が亡くなったのです。

父親は石油製品販売の会社を経営していました。

ほとんど社会人経験がない後藤氏としては、社長の死去=会社が潰れると思い、足が震えるばかりで泣くことも忘れていたそうです。

当時、会社には3億円ほどの借金があったといいます。

後藤氏は、父親の遺した会社で働くことになりました。

「知名度のない会社を背負い、ノウハウもない状態でも、自分で何とかしなくてはならない。」

そう考えた後藤氏は、「会社が潰れないためには、お客様の数が増えて売上が上がればいい」と仮説を立てました。

書店に行き「1年でメルセデスベンツを400台売った男の話」や「絶対に断られない営業アポ」といった本を読みあさり、3年の間、1日も休まずに働いたのです。

 

本に書いてあるのは、「手紙を書きなさい」とか「営業の仕方はこうしなさい」と、「面倒くさい」と感じることばかりでした。

しかし、背水の陣でセールスをし続けたところ、成果が出てきたのです。

父親の信用で銀行からお金を借り、人は外部からハンティングして、次々と出店。会社はみるみる多角化していきました。

しかし、会社が大きくなりすぎて経営の仕方がわからなくなり、たどり着いたのが自由経営という名の放任経営でした。

さまざまな付き合いも増え、たまに出社して業績が落ちているのを見ては、「お前ら何やってんだ。お前らに任せてやっただろう」と 暴言を吐く始末でした。

その後、幹部全員に囲まれ、「社長のもとではやっていけません」とボイコットに遭いました。

そのとき、自分は社長として人を全く育てていなかったことに初めて気づいたといいます。

それ以降、多角化を進めるのと同時に、社員教育に力を入れていくようになりました。

 

多角化を進めていく上で、いろんな事業の方から相談が来るようになりました。

気をつけるべきポイントの第一は財務です。イチかバチかの賭けのような、失敗が即ダメージとなるような多角化戦略はとらなかったといいます。

二つ目に大切なのは、最初からシナジー効果を期待しすぎないこと。

エネチタでは、事業を始めるにあたって、エリアでナンバーワンになることを狙います。

一つの事業でナンバーワンになり、ナンバーワンになった事業同士が組むことで、初めてシナジー効果が生まれるのだそうです。

三つ目に、効率性ばかりを追い求めるのではなく、社長がワクワクするかどうか、社長自身がやりたいかどうかという社長のモチベーションが重要です。

効率がよくても、社長のモチベーションが上がらない事業はうまくいきません。

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