解体屋→街づくり創造事業 4代目社長の行った60 年超企業の「脱・下請け」と「事業の拡大」/テラスホールディングス

解体屋→街づくり創造事業 4代目社長の行った60 年超企業の 「脱・下請け」と「事業の拡大」
広島県広島市に本社を置くテラスホールディングス株式会社は、グループ従業員70名超、グループ年商32億円の企業です。
その前身の株式会社桑原組は昭和33年10月に創業。解体業を祖業とする特定建設業です。
現在は解体業のほかにグループ全体で産業廃棄物の処理、収集運搬、宅地宅建業、建築など建設に関するもののほかに、不動産賃貸事業、コンサルティング事業などを手掛けています。
インタビュー&レポート

テラスホールディングス
代表取締役
Akio Kuwahara
桑原 明夫氏
「どうにかできていた50年」からの脱却
テラスホールディングスの代表取締役を務める桑原明夫氏は大学卒業後、リクルートを経て株式会社コラボを設立しました。
官公庁を中心に全国の企業にスリーエムの遮熱フィルムの導入を行う企業です。
その後父親が創業メンバーであった桑原組の代表取締役に就任、事業を整理するとともに新たな事業を推し進め、持ち株会社のテラスホールディングスを設立しました。
桑原氏が社長に就任した2009年、桑原組はゼネコンからの請負が99.9%の下請け専門工事会社でした。
「その性質上会社が大きく傾くことはありませんでしたが、その体質改善をいかにできるかが私に与えられた使命でした」
桑原氏はそう語ります。
桑原氏の社長就任後、桑原組は創業から50年を迎えました。ゼネコンからの完全下請会社で「待ち」の企業体質で、経営理念もなく、
基本方針や行動指針、人事に関する考えなどもなく 「どうにかできていた50年」だといいます。
桑原氏が社長に就任した当時、旧広島市民球場の解体案件の募集がありました。
受注したいと考えたものの、当時の桑原組は一般建設業で、入札の資格もなかったため、入札資格を持つ特定建設業の申請をしました。
それに合わせて、会社としてのルール、社内の基準を構築することの必要性を実感。
品質マネジメントシステムに関する国際規格のISO9001を取得するなどの整備を開始しました。
業務の面でも、解体工事に伴う宅地建物取引を取得。
桑原組は、広島のランドマーク的な建築物の取り壊し、再開発については、ほぼ毎回声掛けがされる地元の有力な解体会社でした。
それは同社の強みであるため、次は労働安全、労務安全管理に目を向けなければならないと、
労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格ISO 45001を取得し、月に1回の委員会と、全体を集めた安全朝礼などを実施し、安全への意識を高めています。
この時に合わせて人事評価制度の導入をスタートしています。
「人をきちんと評価する仕組みを構築しない限り、この先はない」と考えたためです。
それまでは主に年次で評価していたのを、どのような基準で評価するかを明確化。
建設の現場の職人をどう評価するかについても基準書を作成し、これまでに20回以上改訂しながら、3カ月に1回のペースで評価。そのような運用を15年近く続けています。
ほかにも、さまざまな投資を行いました。
工事を行う車両などの設備も、購入からかなりの年数が経っているものが中心だったのを、最新機器を導入するなどしました。
それまでの「ヒト・モノ・カネ」へのリソース配分があまりできてない状態から、新しい会社になることを実現するために、その状況を変えていっています。
担当コンサルタント

価値向上支援本部
アカウントパートナー推進部
マネージング・ディレクター
Keisuke Suzuki
鈴木 圭介
2007年株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に新卒で入社。法律事務所の事業戦略・マーケティング支援・組織開発に従事し、デジタルマーケティングを中心に変革を進め、業界を代表する事務所・士業グループを多数輩出。法律部門の責任者を経て、2021年より「中堅企業向けコンサルティングサービス部門」の立ち上げに参画し、特に20億~50億企業が100億企業になるためのコングロマリット企業化・ロードマップ策定に関する専門性を有する。「日本の未来を担う企業の成長を加速させる」ことをミッションに日々コンサルティングを行っている。2023年より同部門責任者(マネージングディレクター)に就任。『地域コングロマリット経営』(2023年)同文舘出版、『士業の業績革新マニュアル』(2015年)ダイヤモンド社等、多数の書籍を執筆。
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