【100億宣言】WBPグループ|外国人材と多角化で拓く独自経済圏

2026.10.30

WBPグループ株式会社 代表取締役 五十嵐一氏

兵庫県尼崎市に本社を置くWBPグループ株式会社は、外国人材に特化した総合人材サービスを中核に据え、不動産、教育、商社など多角的な事業展開を加速させている。深刻化する国内の労働力不足に対し、単なる労働力の供給にとどまらず、住環境の提供から生活支援、さらにはクライアント企業の海外販路開拓までを包括的に支える独自の経済圏を確立した。

同社が掲げる本来の到達点は「2034年にグループ売上高300億円以上」という明確な長期構想であり、今回の「100億宣言」はその途上における一つの通過点、ならびに認知度向上の契機と位置づけている。代表者自身の原体験である「尼崎への恩返し」を原点に、株式の財団寄付による次世代支援という確固たるゴールを見据えながら、実利に裏打ちされた合理的な経営戦略を推進する同社の軌跡と展望を追う。

企業情報
会社名
WBPグループ株式会社
創業(グループ)
2016年2月22日
従業員数
137 名(正社員)
事業内容
外国人に特化した総合人財サービス、国際インターンシップ事業、技能実習、特定技能、日本語学校の運営、商社事業(日本企業の商品、サービス、文化、技術などの海外輸出)、不動産事業
100億宣言
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/02413-00.pdf
HP
https://wbp-gr.com/

創業の原体験と尼崎への恩返しに根差す経営理念

WBPグループのすべての事業構想は、代表者自身の生い立ちと日本で受けた温かい支援に対する強い感謝の念から出発している。
内モンゴルの地で生まれ育ち、家庭の経済的困窮から高校進学を諦めかけていた少年時代、現地を訪れた日本人支援者との出会いが人生を大きく好転させた。支援者の私費援助によって高校進学を果たし、その恩人が拠点を置いていた兵庫県尼崎市を頼って来日を果たした経緯がある。

異国の地で学費を工面しながら学業を修め、生活基盤を築く過程において、尼崎という街とそこに暮らす人々から受けた恩恵は計り知れない。高等教育機関を卒業後、国内の大手人材サービス会社へ就職した代表者は、現場配属からわずか1週間で営業所立ち上げメンバーに抜擢され、持ち前の実行力でトップ営業から管理職へと昇進を重ねた。しかし、現場の最前線で直面したのは、意欲と能力を持ちながらも言葉や制度の壁に阻まれ、正当に評価されない外国人労働者の過酷な現実であった。

自身を育ててくれた日本社会、とりわけ尼崎の街に対して最大の恩返しを果たすためには、雇用という最も根本的な生活基盤を通じて、外国人と地域社会が共に豊かになれる仕組みを創るほかない。
その確信を胸に、2016年にわずか家賃数万円のプレハブ小屋同然の事務所から事業を立ち上げた。同社の原点は、抽象的なスローガンではなく、「尼崎への恩義に報い、社会に還元する」という泥臭くも純粋な創業精神に深く根ざしている。

コロナショックとビジネスモデルの根本的転換

創業当初の人材紹介および派遣事業は、インバウンド観光の活況を追い風に、ホテル業界や観光関連分野への人材供給を中心に急成長を遂げた。順調に業績を伸ばし、売上高が数億円規模へと達した矢先、突如として世界中を襲った感染症の拡大により事業環境は一変した。主要な取引先であった宿泊・飲食施設の需要が蒸発し、同社の売上はわずか短期間で5分の1にまで激減するという、存亡の危機に立たされたのである。

この壊滅的な打撃を通じて痛感したのは、景況感や外的ショックによって容易に契約が打ち切られてしまう単一的な派遣事業の脆弱さであった。
外部要因に翻弄されて雇用を守れなくなる事態を二度と繰り返さないため、同社は即座に拠点を地方の製造業集積地へと振り向け、生活必需品を生産する食品製造などの極めて底堅い産業分野へと経営資源を全面集中させた。

同時に、顧客企業との関係を単なる人員の貸し借りにとどめず、いかなる危機下でも「絶対に切られないパートナー」へと昇華させるための多角化を矢継ぎ早に実行した。特定技能や技能実習の受け入れ体制を整備し、就労者の生活を支える不動産仲介機能や教育機関の設立を推進した。住居の手配から生活指導、現場での稼働管理までをワンストップで完結させる体制を構築したことで、顧客にとって代替不可能な事業インフラとしての地位を固めていった。

高単価・直取引へのシフトと現場深耕戦略

人材業界において多くの企業が陥りがちなのが、中間業者を介した多重下請け構造や、価格競争による収益性の悪化である。WBPグループは2023年以降、この構造的課題に対して極めて実利的な大改革を断行した。それは、薄利多売で過酷な労働環境になりがちな大手委託製造工場や下請け加工現場からの完全撤退と、自社で製品を企画・製造・販売するメーカーとの「直接取引」への一本化である。

委託加工を中心とする現場では、親会社からの厳しいコスト制約ゆえに派遣単価が低く抑えられ、結果として就労者に十分な時給を還元できない。最低賃金に近い水準では優秀な外国人材が集まらず、仮に就業しても定着率が著しく低下するという悪循環に陥る。同社はこの負の連鎖を断ち切るため、価格決定権を持つ自社ブランドメーカーとの直取引に絞り込み、適正かつ高水準な単価を確保する戦略へと舵を切った。

この直取引モデルを基盤に、同社は顧客工場の現場を徹底的に深耕している。
大手食品メーカーの製造拠点において、突発的な繁忙期を支える短期スポット人材から、基幹ラインを担う長期雇用人材、さらには周辺の清掃や警備に至るまで、現場の人員需要を一手に引き受ける。現場で働くスタッフの9割以上を同社が占めるケースも珍しくなく、中間マージンを排除した高い時給設定と手厚い生活サポートによって、圧倒的な定着率と生産性を顧客企業にもたらしている。

外部媒体費ゼロを実現するリファラルと教育機関との連携

求人広告の出稿や有料媒体への依存が常態化している人材サービス業界において、同社は有料の求人広告費を一切投じない特異な調達体制を敷いている。一般的な求人ポータルサイトの利用や有料登録会の開催を行わず、募集窓口を公的機関であるハローワークおよび無償のSNS発信に限定し、人材獲得の大部分を既存スタッフや関係者からの「口コミ(リファラル)」で完結させている。

このリファラル採用の徹底は、同社の採用力と定着率を支える強固な防壁となっている。
既に現場で活躍しているスタッフが、自身の友人や親族に対して「働きやすく、処遇が公正である」と確信を持って紹介するため、就業前から高い信頼関係が構築されている。出自や人柄が担保された人材が集まることで、勤務開始後のトラブルや早期離職は劇的に減少し、広告宣伝費という莫大な固定費を削減することにも成功している。

さらに、国内の新卒採用においては、関西圏を中心とする有力大学のキャリアセンターへ代表自らが足繁く通い、直接的な関係性を構築してきた。大学側が求める誠実な就職先としての信頼を獲得した結果、求人広告を打たずとも毎年百数名規模の応募者が集まる仕組みが確立された。浮いた採用コストはすべて従業員の待遇改善や現場サポートの強化へと再配分され、それがさらなる紹介を生むという強力な循環が機能している。

格差と分断を排除する全職種同一待遇と「5年卒業制」

同社の人事制度の根底には、創業者が前職時代に抱いた強い違和感と反省がある。かつて勤務した大手企業において、営業活動の成果を陰で支え、書類作成や顧客対応の漏れを献身的にカバーしてくれていたのはバックオフィスの事務スタッフであった。しかし、彼女たちの多くは契約社員として処遇され、多大な貢献にもかかわらず賞与すら支給されない現実に直面した。また、社内の懇親会などで正社員と非正規社員の間に生じる心理的分断に強い痛痒を覚えていた。

この経験から、WBPグループでは試用期間を除く全従業員を「正社員」として雇用し、アルバイトや契約社員といった雇用区分の格差を完全に撤廃した。さらに、初任給は営業職・事務職・経理職を問わず一律25万円スタートとし、賞与の支給基準も同一に揃えている。職種による上下関係を排し、営業と管理部門が対等なパートナーとして互いを尊重し合う組織風土を築いた結果、とりわけ事務系スタッフの定着率は100パーセントに近い極めて高い水準を誇っている。

また、同社は社員の自立を促す独自のキャリア制度として「5年卒業制」を導入している。定年まで一社に依存するのではなく、入社から5年間でビジネスパーソンとしての市場価値を飛躍的に高め、その後は自ら豊かな道を切り拓くことを推奨している。7割の社員が他社への転職や独立起業によって羽ばたき、残る3割がグループの幹部や子会社の代表として経営を担う。限られた時間で最大の成長を遂げようとする高い意欲を持つ人材が集まることで、組織全体に健全な新陳代謝と推進力が保たれている。

選択と集中による持株会社化と外国人材による再生M&A

売上規模が数十億円へと急伸するなかで、同社はグループ経営の規律を高めるための選択と集中を断行した。一時期は多角化の一環として手掛けていた約10社におよぶ事業会社のうち、中核である人材事業とのシナジーが薄い警備事業の株式売却や、清掃事業の切り離しを順次進めた。本社機能を尼崎に集約し、経営資源を外国人材支援とその派生事業へと集中させる体制を整えた上で、純粋持株会社制(ホールディングス化)への移行を2027年9月末までに移行を完了させる予定である。

一方で、持続的成長の起爆剤として位置づけるのが戦略的なM&Aである。同社が狙いとするのは、業績が低迷している日本人中心の中小派遣会社である。これらの企業は、国内の深刻な人手不足によって派遣スタッフを充足できず、顧客の需要を取りこぼして経営難に陥っているケースが多い。そこへ同社の圧倒的な外国人材調達力と管理ノウハウを注入し、既存の取引先に対して外国人材を適切に補填・提案することで、買収先を短期間で劇的に再生させるのである。

法令遵守が疑わしい同業の外国人材ブローカーを安易に買収することは避け、健全な顧客基盤を持ちながらも採用難に喘ぐ企業を再生させる手法は、グループ全体の取扱高を急拡大させる再現性の高い成長ドライバーとなっている。さらに、次世代リーダーとして20代の若手社員を子会社社長へと抜擢し、現場主導のスピード感あふれる事業運営を展開することで、資本効率の高いグループ拡大を両立させている。

自社流通網を通じたクライアントの戦略的囲い込み

WBPグループが展開する事業のなかでも、極めて独自性の高い試みが商社・流通事業の統合である。同社はモンゴルをはじめとする親日国において、日本製品のみを取り扱う「Made in Japan専門コンビニ」を複数店舗展開し、高い粗利益率を確保しながら事業を急速に拡大させている。

この商社事業の真の狙いは、単なる貿易マージンの獲得ではない。最大の目的は、国内の人材派遣取引先である食品メーカーなどの主力製品を自社の海外店舗で直接仕入れて販売し、その「海外売上の過半(最大50%規模)」を同社が担うことにある。人材を供給しているメーカーの製品を自らの販売網で大々的に流通させ、売上貢献という絶大な付加価値を提供することにより、顧客企業との関係性をより強固なものへと昇華させるのである。

クライアントにとって、WBPグループは単なる人材供給会社ではなく、自社製品の海外販路を切り拓いてくれるかけがえのないビジネスパートナーとなる。これにより、競合他社による安価な単価提案や派遣契約の打ち切りといったリプレイスリスクは構造的に排除される。人材の就労支援、生活管理、そして製品の流通までを一気通貫で手掛ける独自の経済圏を確立したことで、同社は他社が容易に模倣できない強固な参入障壁を築き上げた。

2034年売上300億円構想と財団設立による社会還元

同社が掲げる成長戦略の主眼は、あくまで「2034年におけるグループ売上高300億円以上」の達成にある。今回取り沙汰される「100億宣言」は、企業としての成長過程における自然な通過点に過ぎず、行政制度への参画や検索トラフィックを通じた認知度向上という実利的な契機として捉えている。目指すべきは、外国人材ビジネスの枠にとどまらず、日本社会の構造的課題に風穴を開ける中堅・メガベンチャー企業への飛躍である。

そして、この300億円構想の先にある最終目的地こそが、創業者自身の原点である社会還元である。代表者は2030年に経営の第一線を次世代へ譲り、2034年には自身が保有するグループ全株式を設立予定の公益財団法人へ寄付することを公言している。代表の尼崎からいただいた恩を尼崎へ恩返しの為に、同族経営(オーナー企業)の道を完全に拒絶し、上場株式から得られる配当収入を活用と地域の企業と仲間と力を合わし、代表が現役の間に、1,000名以上の子どもを立派な大人にする夢を実現する。経済的、家庭的な事情で進学できない子供たちの自立から教育まで支援する恒久的な仕組みを完成させる計画である。

かつて見ず知らずの日本人に救われ、尼崎の温かさに育まれた一人の青年が興した企業は、自らの利益を社会へ還元する「公の器」としての完成形を見据えている。強固なビジネスモデルによって高い収益を生み出し、その果実を次世代の育成へと注ぎ込む持続可能な経営モデル。100億円という通過点を越え、300億円の頂きとその先の社会貢献へ向けて、WBPグループの挑戦は揺るぎない確信とともに加速している。

100億企業化
コンサルティングに
ついてはこちら

お問い合わせ

CONTACT

CONTACT FORM