「99%つぶれる」と言われた会社が、100億を超えた理由
2026.09.10
いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。
船井総合研究所 地域コングロマリット支援部 小寺 伸幸です。
年商100億円という壁。それは多くの企業にとって大きな目標であり、同時に越えるべき高いハードルでもあります。
今回は、倒産寸前の危機から見事にV字回復を果たし、年商100億円を突破した株式会社ヤブシタ(北海道・代表取締役社長 森忠裕氏)の事例から、成長を加速させるヒントをお届けします。
「99%つぶれる」と言われた絶望的な『事業承継』からの再建
現在でこそグループ19社、売上高114億円(2026年度実績)を誇るものづくり総合カンパニーですが、森社長が会社を引き継いだ当時は債務超過に陥り、顧問税理士からも「99%倒産する」と言われるほどの絶望的な状況でした。
さらに、「非親族承継」という厳しい環境でのスタートでした。
そこから同社がいかにして再建を果たしたのか。
その最初の転機となったのは、「誰よりも早く参入し、誰よりも早く撤退する」という大胆な意思決定です。
黎明期だった太陽光ビジネスに目をつけ、雪国特有の架台提供だけでなく「施工の丸ごと請負」でメガソーラー案件を獲得。
高利益率を叩き出し、V字回復を果たしました。
そして、市場が価格競争に陥る前に素早く撤退するという、見事な引き際を見せたのです。
利益を本業へ全振りする「思い切った投資」
太陽光事業で稼ぎ出した潤沢な資金を、森社長は本来の軸足である「冷熱(空調)製品」の強化へと惜しみなく再投資しました。
他社が真似できない圧倒的な強みを作るため、業界の常識を覆す巨額投資を行い、自社独自の「半無響試験室」を建設。
この投資により、音のエネルギーを1000分の1まで低減する日本最高水準の防音技術を生み出すに至りました。
事業承継後の危機を脱したのち、本業へと徹底的に投資して基盤を再構築したことが、現在の100億企業の礎となっています。
時間と基盤を買う『M&A戦略』と義理人情のマネジメント
ヤブシタグループが非連続的な成長を遂げ、多角化期に入ってグループ19社にまで拡大できた最大の要因が、緻密に計算された「M&A戦略」です。
森社長のM&Aに対する考え方は非常に明確です。
【1】財務の健全性を徹底して見極める
買収先の選定において表面的な条件に惑わされず、在庫や売掛金に潜む歪みを徹底的に洗い出します。
「工場や製造設備という資産が残るメーカー」を選ぶことで、リスクを抑えた買収を行っています。
【2】徹底した「人」への配慮と信頼醸成
M&A後、買収先の従業員が安心して働けるよう雇用を最優先で維持し、途絶えていた賞与の支給を再開するなど、対話を通じて強固な信頼関係を築き上げます。
【3】「恩返し」の経営采配
直近でM&Aを行った医療機器メーカーの社長には、かつてヤブシタの厳しい時期を支えてくれた恩人である先輩を抜擢しました。
義理人情に厚い采配が、組織を一つにまとめる大きな推進力となっています。
「スタートアップには多大な時間がかかる。だからこそM&Aで時間と基盤を買う」という視点は、事業拡大を急ぐ経営者にとって非常に示唆に富むアプローチです。
「非効率」な教育投資と自律駆動する組織づくり
効率化や管理を追い求める企業が多い中、森社長はあえて「非効率」な教育に莫大な資金と時間を投資し続けています。
その象徴が、社員に予算を渡し、プレゼンから試作、マーケティングまでをすべて任せる「ものづくり大会」です。
この一見コストのかかる取り組みから、後に巨大な防衛ビジネスへと化ける可能性を秘めた「地下シェルター」事業の芽が生まれました。
森社長の組織マネジメントの極意は、「お金の管理」と「安全(人の命)」という絶対に守るべき2つの境界線だけを厳格に管理し、それ以外は現場を信頼して全面的に任せることにあります。
社員一人ひとりの強みを引き出し、自己実現を促すことで、
「天地がひっくり返っても絶対に辞めない」と確信できる幹部が育ち、自律駆動型の強い組織が作られています。
当社では、100億を目指す・実現した企業様が実際に取り組んだ事例を研究しています。
気になる方は、お気軽にお問い合わせください。
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