【100億宣言】株式会社LASSIC|リモートワークで結ぶ地方創生と人的資本インフラの構築

2026.09.18

株式会社LASSIC 代表取締役社長 若山幸司氏

地方創生という大きな社会的テーマに対し、単なる理念やボランティアにとどまらず、持続可能な事業モデルを通じて挑み続ける企業がある。鳥取県鳥取市に本社を構える株式会社LASSICである。 同社は「地方における人的資本へのアクセスのしにくさ」という不均衡な構造に着目し、リモートワークを軸とした人材サービス「Remogu(リモグ)」「リラシク」やITソリューション事業を展開してきた。日本で最も人口が少ない鳥取県で自ら事業の成り立ちを実証し、コロナ禍以前から「働く場所の制約」を取り払う新しいワークスタイルを提唱している。 同社は2026年5月に東京証券取引所 TOKYO PRO Marketへの上場を果たし、次なる大きな節目である売上高100億円の達成に向けた攻めの姿勢を強めている。本記事では、同社が歩んできた軌跡、地方創生に対する独自の経営哲学、そして日本全国の中小企業(SMB)の成長を加速させるための将来構想について紐解いていく。

企業情報
会社名
株式会社LASSIC
創業(グループ)
2006年12月26日
従業員数
280名(2026年4月30日現在)
グループ事業
リモートワークに特化したIT人材ソリューションの提供
100億宣言
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/01879-00.pdf
HP
https://lassic.co.jp

地方創生と「人的資本アクセス」の構造的課題への挑戦

日本社会が直面する少子高齢化と人口減少は、地方経済の持続可能性に対して深刻な影を落としている。多くの地方企業が直面している本質的な問題は、資金や情報へのアクセスではなく、「必要な人的資本にアクセスできない」という構造的な課題である。

インターネットの普及により、資金調達や情報の流通、さらには物販における顧客へのアクセスは、地域を問わず均等化が進んできた。しかしながら、人に関する労働市場においては、長らく特定の地域内に閉じたマッチングが主流であり、デジタル化の恩恵が十分に及んでいなかった。

この構造がもたらす結果として、地方において採用力や提示条件で優位に立てない企業は、事業拡大に必要な人材を獲得できず、成長機会を失ってしまう。さらには、優秀な人材を獲得するために本社機能や拠点を都心部へ移転せざるを得なくなり、結果として過度の一極集中と地方の衰退を加速させる悪循環が生じていた。

一方で、働く個人側に目を向けても、地元へのUターンやIターンを希望しながらもキャリアの断絶を恐れて踏み切れないケースや、育児・介護といったライフイベントによって従来の出社型勤務が困難になるケースが後を絶たなかった。

株式会社LASSICは、この「企業側の採用課題」と「個人の働き方の課題」の双方を解決する鍵こそが、働く場所の壁を越えるボーダレスな仕組みであると見抜いた。日本で最も人口が少ない鳥取県を創業の地に選び、人的資本へのアクセスが最も困難な環境で事業を成立させるという高いハードルを設定したのである。自らが極限の環境でモデルケースを実証できれば、日本全国のあらゆる地域へ水平展開が可能になるという確信のもと、同社の挑戦は始まったのである。

地方における事業モデルの実証と受託IT事業からの展開

創業初期において、リモートワークという概念は一般的なビジネス社会においてほとんど浸透しておらず、在宅勤務や遠隔地からの業務参画を許容する企業は極めて稀であった。そのような環境下において、理想的な理念のみを掲げても事業として存続することは困難である。同社はまず、顧客が求める成果物を確実に納品するアウトソーシング型(受託型)のITインテグレーション事業から着手する戦略をとった。

首都圏の大手企業など、豊富な業務需要が存在するエリアで案件を受注し、その実務デリバリーを鳥取をはじめとする地方拠点でリモートで実施する仕組みを自社内に構築したのである。顧客から見れば、セキュリティ基準は満たした上で、品質の高い成果物が確実に納品されるのであれば、開発や運用の作業がどの場所で行われているかは問われない。

この受託IT事業を通じて、同社は自社雇用したエンジニアを育成し、遠隔地間でのプロジェクト管理、セキュリティ体制の確立、チームコミュニケーションの最適化といったリモート業務のノウハウを徹底的に蓄積していった。

外部の環境変化にも柔軟に対応した。一時期はメンタルヘルスケアや自然環境を活用した研修事業、産学官連携による地域活性化プログラムなど、多角的なアプローチを展開した。これらは、人的資本の価値を既存の枠組みにとらわれず最大化するための試みであった。

最終的には、市場の潮目の変化や自社のコアコンピタンスを見極め、ITと人材サービスへリソースを集中させる判断を下した。受託IT事業で培った実績と信頼、そしてリモート運用の再現性こそが、後に大きな飛躍を遂げるための堅固な土台となったのである。

先見的な意思決定が結実したリモート特化型サービス「Remogu」の創出

同社にとって大きな転換点となったのが、2018年に開始されたリモートワーク特化型人材サービス「Remogu(リモグ)」の立ち上げである。
当時はまだコロナ禍前であり、一般的な企業においてリモートワークの導入率は決して高くなかった。しかし、同社経営陣は、将来的な国際的スポーツイベントの開催に伴う働き方改革の推進や、デジタルネイティブ世代が社会の意思決定層へと台頭してくる将来のトレンドを冷静に予測していた。

労働力不足の加速、通信テクノロジーの進化、そして価値観の変化という3つの構造的要因から、リモートワークは不可逆的な潮流になると判断し、競合他社に先駆けてフリーランスエンジニア活用を企業に提案するリモート特化型人材サービスを市場に投入したのである。

立ち上げ初年度(2018年)のRemogu事業は、法人顧客も先進的なスタートアップ等に限られていた。しかし、同社は着実にリモート人材のデータベース構築とマッチングノウハウの磨き込みを継続した。

そして2020年、パンデミックの到来によって社会全体に急速な在宅勤務の必要性が生じた際、同社はすでに何年もの運用実績と豊富なリモートエンジニア資産を保有する唯一無二の存在となっていた。社会の変化とともに需要は爆発的に増加し、Remogu事業は全社成長を牽引する強力なエンジンとなった。さらに2022年には、同じくリモートワークに特化した転職エージェント「Remogu(リモグ)キャリア」(現リラシク)を開始、全社売上高は一気に拡大し、49億円規模(2026年4月期時点)へと飛躍的な成長を遂げたのである。

自ら示すリモート組織の強みと上場への結実

株式会社LASSICの大きな強みは、自社が提供する「ボーダレスワーク」というコンセプトを、自らの組織運営において完璧に体現し証明している点にある。同社は全国各地に設けていた物理オフィスを順次整理し、全社的なリモート勤務体制へと移行した*。本社機能や株式上場に向けた重要プロジェクトにおいても、全国各地に在住する優秀なプロフェッショナル人材をリモートで採用・配置している。

*業務特性や希望により出社・ハイブリッド勤務もある

従来であれば、地方の拠点だけで上場準備に対応できる専門人材(財務、法務、内部統制等)を確保することは極めて困難であり、事業成長の大きなボトルネックとなり得た。しかし、同社は働く場所の制約を取り払うことで、全国の広大な労働市場からトップクラスの人材を素早く獲得することに成功した。

対面でのリアルなコミュニケーションが持つ価値を理解しつつも、業務の遂行や意思決定においてはデジタルツールをフル活用し、地理的なハンディキャップを完全に無効化している。経営陣と直接対面することなく、遠隔地から重要プロジェクトを遂行し成果を上げている社員も少なくない。

鳥取に本社を置きながら、2026年5月には東京証券取引所 TOKYO PRO Marketへの上場(証券コード:574A)を果たした。この事実は、地方企業であっても適切な戦略とデジタル活用によって高い専門性を備えた組織を構築し、社会的信用を獲得できることを鮮やかに証明している。自らが実践者として成果を出し続けているからこそ、顧客企業に対しても圧倒的な説得力をもってリモート活用のソリューションを提案できるのである。

全国の中小企業が抱える人的資本の壁を打ち破るプラットフォーム構想

現在、同社が最も見据えているターゲットは、首都圏の大手企業にとどまらず、日本全国に存在する中小企業(SMB)や事業承継期を迎えている地方企業である。全国のSMB企業の多くは、優れた技術や魅力的なプロダクトを持ちながらも、ミドルマネジメント層や事業責任者、CXOクラスといった優秀な人材を獲得できず、成長の機会損失(チャンスロス)を膨大に生み出している。

従来の採用手法では、自社の通勤圏内という限定された狭いエリアから人材を探すか、条件面で大手企業と直接競合せざるを得ず、敗北を喫することが多かった。ここで同社が提案するのが、「働く場所の条件を妥協し、採用基準を一切下げない」という思考の転換である。例えば、人口規模が限られた地方都市の企業がフルリモート採用を解禁した瞬間、母集団となる労働市場の規模は数百倍にまで膨れ上がる。都市部で豊富な経験を積んだ高度人材を、自社の成長エンジンとして迎え入れることが可能になるのである。

同社は、単に求人案件と求職者をマッチングするだけでなく、オンラインセールスの仕組みや迅速な提案体制を構築し、SMB企業が手軽に高度な人的資本へアクセスできる社会インフラ(HRプラットフォーム)の構築を目指している。問い合わせから極めて短時間で最適な人材を提案できるオペレーション精度を高め、人的資本の獲得に悩む経営者の期待にスピーディーに応える体制を整えている。このプラットフォームが普及することで、地方の優れた企業が次々と覚醒し、日本全体の経済に強い活力が与えられることになる。

100億円企業へ向けた成長軌道と「ボーダレスワーク」の未来

売上高100億円の達成という目標は、同社にとって単なる規模の拡大を意味する数値目標ではない。それは、地方創生とリモートワークを掛け合わせたビジネスモデルが、社会的にも経済的にも極めて高い価値を持つことを証明するための通過点である。

足元では、パンデミックの収束に伴う一部の出社回帰の動きや、市場環境の変化も見られる。しかし、人口減少に伴う深刻な人手不足、世代交代による経営者の意識変化、 tender してテクノロジーのさらなる進化という中長期的なトレンドを考慮すれば、リモートワークの活用は不可逆的な潮流である。

特に、若手経営者への世代交代や事業承継が進む地方企業においては、デジタルを活用した組織づくりへの抵抗感が薄れ、リモート人材の活用を成長戦略の柱に据えるケースが確実に増加している。同社は自治体や地域パートナーとの連携を通じて、各地の市場環境や意識の変化を継続的にモニタリングし、最適なタイミングで投資と営業活動を加速させる戦略をとっている。

「リモート社会をリードし、ボーダレスワークの実現によって社会に貢献する。」というビジョンのもと、住む場所やライフスタイルに左右されず、誰もが自分の能力を遺憾なく発揮できる社会の実現。そして、場所の制約によって成長を諦める企業をゼロにするという強い信念。

株式会社LASSICは、売上高100億円の実現を見据え、日本の労働市場における構造的課題を解決する「ボーダレスワークのプラットフォーム」として、これからも力強い進化を続けていく。

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