地域密着×多角化経営 10年で業績5倍、年商200億円突破
株式会社シアーズホームグループHD
業種:住宅不動産、リフォーム事業会 社 名 | 株式会社シアーズホームグループHD |
---|---|
設 立 | 1989年 |
従 業 員 数 | 580名(グループ合計) |
事 業 内 容 | 住宅不動産、リフォーム事業 |
商品力×営業力×ブランディングで、圧倒的一番企業に
住宅・不動産で多角化、地域内の「家を売る」マーケットをすべてカバー
住宅不動産業、リフォーム事業などを手掛ける株式会社シアーズホームグループHD。
シアーズホームグループの持株会社で、総売上高は約230億円(2020年度)です。
本社を置く熊本では、業界1位の売上。さらに現在は近隣の福岡・佐賀・鹿児島エリアへも進出しています。
同社の特徴が、グループ各社による異なるビジネス展開。主力とする注文住宅、規格住宅、建売住宅、
リフォーム・リノベーションのほか、ホテル事業、金融事業や専門工事業を手掛けるグループ会社など。
これら運営会社は、顧客の取り合いにならないように事業・ブランド・価格帯で分けられ、
顧客紹介につながるなどの相乗効果も生まれるほど。
こうして同社は地域内の「家を売る」マーケットをすべてカバーすることを可能としています。
そして、これらマーケット戦略を実現していくための仕組みが、同社の人財戦略です。
ビジネスモデル別に営業を仕組み化し、独自の研修制度「シアーズアカデミー」として
紙面や動画でマニュアルを整備。さらにSalesforce(セールスフォース)を活用しながら、
営業KPIや進捗状況を可視化しています。こうして、トップセールスパーソンの「家を売る技術」を
「営業の型」×「Salesforce活用」×「教育の仕組み化&実践」に落とし込むことで、
強い人財を短期間に育てられる仕組みを整えています。
他にも、グループ内各社の採用・育成・定着を支援。これにより、新入社員の離職率を下げ、
またグループ会社の経営者や店長への負担を軽減できるようにサポートしています。
こうした人財戦略によって、同社は強い人財を短期間で育成できています。
営業歩留率を見ると業界平均の10%に対し、同社は20%超。同社の家を売る技術が高いことがわかります。
こうしてコロナ禍にあっても、成長は止まらず2019年から2020年には前年比120%の成長を果たしました。
成長は人財に還元されます。経営指標には「会社の平均年収を5%以上、毎年上げ続けること」が掲げられ、
実際に毎年15%以上の売上成長、社員1人売上5,000万円以上、粗利30%以上などのミッションが達成され、
平均年収を5%以上アップしても営業利益率は8%以上となっています。
また、同社は年商の1~2%程度を目安に、利益を地域に還元しています。
野球をはじめ、サッカー、バスケットボール、バレーボールの地域チームを、スポンサーになって支援。
また、096k熊本歌劇団など、様々な文化団体も支援。他にも熊本市民会館のネーミングライツの獲得や、
地域観光への支援も積極的に行っています。同時に企業ブランディングにもつながっており、
紹介・口コミでの紹介率向上にも貢献しています。現在、同社の紹介・口コミ経由の受注比率は50%を超えます。
松竹梅展開で地域のマーケットを攻略
1989年に、小売業の経営に携わっていた丸本文紀氏が不動産の仲介業を行う
シアーズコーポレーションを設立したことに端を発する同社。ターニングポイントは2008年にありました。
それまでは1ブランドのみを展開していましたが、1つのブランドで様々な価格帯を扱うと、
営業担当者が売りやすい価格の安いものの販売に力を入れる傾向が出てきたほか、
顧客にとってもわかりにくいことから、価格帯ごとのブランドを増やしていきます。
これが同社の進める松竹梅展開です。“松事業”を担う注文住宅(シアーズホーム)は、
2007年は熊本エリアで129棟を販売し売上31億円でした。それが松竹梅展開以後、
“竹事業”である規格住宅(ジャストホーム)の115棟19億円、“梅事業”である建売住宅(サンタ不動産)の
70棟19億円が増えただけでなく、互いの事業への顧客紹介も生まれています。
相乗効果で注文住宅の販売増加にもつながり、シアーズホームは172棟42億円に。
結果、同社は熊本エリアで約2.5倍に増加しました。松竹梅展開による多角経営が、
業績向上につながっていったのです。
また、松竹梅展開による豊富なブランドは、新規エリアへの参入時にも大いに力を発揮しています。
同社が新規エリアに参入する際には、「まず盤石化をし、そこから拡大」を原則としています。
そのために、次の3ステップを踏みます。
まず、主力の“松事業”である注文住宅の全国FCブランドに加盟し、その地域での販売の地盤づくりを行います。
次に“竹事業”である規格住宅や“梅事業”を展開して価格ごとのシェアを拡大。
その上で、主力の“松事業”の注文住宅でオリジナルブランドを展開します。
高価格帯の“松事業”でのオリジナルブランド展開により、
FCブランドでは発生していたロイヤリティがなくなる分だけ収益率の改善につながり、
さらなる成長を見込むことができています。
事業の核となる松竹梅戦略を多面的に支援
グループ各社がそれぞれ異なる事業を進めながら、
「家を売る」マーケットをすべてカバーすると同時に相乗効果も生み出す、同社の松竹梅戦略。
これについてグループ各社が、個別に強い会社として成長するための支援を船井総研では行ってきました。
船井総研が同社に関わり出したのは約10年前。当時すでに松竹梅戦略がありましたが、
同社の丸本文紀社長は「もっとそれぞれの事業基盤を固めて成長させたい」という課題を感じていました。
そこで船井総研では新規ビジネスモデルの提案やそれぞれのビジネスモデルの強化などについて支援していきました。
DIY住宅などの事業を新たに提案し、さらに同社の積年の希望であったリフォーム・リノベーション事業への挑戦も
軌道に乗せられるように支援しました。低価格でありながら個性が出せるDIY住宅はトレンドでもあり、
こうした新しい事業の提案も船井総研が得意する分野です。
また、松竹梅戦略とはマーケットを単純に3つにセグメントするだけに留まる戦略ではありません。
船井総研は、松竹梅戦略をその先のレベルまで進化させるべく、
価格帯、意匠、性能、地域とさらに細かなセグメントに応じた事業を提案。
一例として“竹事業”は現在、大きなくくりの中にも、同社オリジナルブランドであるジャストホーム、
FCブランドの企画型注文住宅をブエラハウス(熊本エリア)とベースハウス365(福岡エリア)とに分けて展開しています。
こうした多様なビジネスモデルが、同社の「売る力」や、
協力業者との密接な連携による「建てる力」と組み合わさることで、最大限の効果を発揮しています。
リフォーム事業1つとっても、現在は約8億円までに成長しており、
これも今後、松竹梅戦略を掛け合わせることでの成長を視野に見据えています。
また、複数のビジネスモデルがあることは社会的リスクへの耐性の強化にもつながっています。
2020年からの新型コロナウイルス感染症のまん延によって住宅業界では総合展示場への集客が半減。
また2021年には世界的な木材価格の高騰という「ウッドショック」にも見舞われました。
しかし、この逆風にあっても同社が成長を続けたことは先述のとおりです。
現在、各事業が成長を果たし、熊本県に強い地盤を得た同社。一方で近隣の福岡・佐賀・鹿児島エリアへ進出しました。
この際にも、運営会社を分けていることが松竹梅戦略の特徴。
福岡エリアで建売住宅を販売する株式会社シアーズエステートについて、船井総研も支援を行い、
2022年現在、約20億円の規模に成長しています。
事業が成長すれば、人材も成長していかなければなりません。
これについても船井総研では、当初から支援を行ってきました。
同社には、物よりも人(自分自身)をまず売るという「思想営業」が根底にあります。
業績を上げるためにも人の成長は不可欠。また、社員は成長しなければ、退職していくリスクも考えられます。
そのため、もともと同社は研修へも相当の投資をしてきました。
しかし、各社の商品は価格も特性も異なるため、当然ながら売り方も異なってきます。
これに対応するため、船井総研はビジネスモデルのみでなく人財育成戦略も提案。
その成長段階に合わせて事業ごとに研修を行い、同社の成長を支援。
同社のシアーズアカデミーという新人営業研修の仕組みに沿うようにマニュアルを作成しています。
人財育成では、特に入社1~3年目の社員に早く一人前になってもらうための研修を重視しながらも、
伸び悩んでいる中堅社員がいれば、安定的に数カ月間販売実績をあげられるようにするための研修なども行い、
同社の「売る力」をサポートしています。
これについては「早く船井研修を卒業してくださいね」という言葉も出てくるほどで、
一人前を示すための一定基準として船井総研の研修が定着しています。
株式会社シアーズホームグループ HD 代表取締役 丸本文紀氏
「当グループは1989年に私が1人で創業しました。前職の小売業の会社では役員まで務めましたが、社員皆が一生懸命に仕事をしながらも「何のために仕事をしているのか?」という答えが誰にもありませんでした。目指すものなしに、ただ「頑張ればいい」という風潮には疑問がありました。そこで自分の想いや理想を形にするために頑張れる会社を作ろうと思ったことが当グループの始まりです。
現在、当社は「社員の幸せ」のために仕事をしています。私がよく言っているのは「給料は高く、休みは多く」そのためには生産性も利益も上げなければなりません。船井総研にはこの想いにも共感いただきながら、10年近くご支援いただいています。
毎月、コンサルタントの方に来ていただき、課題を共有して「これを知りたい」「こんな課題がある。どこかに情報はない?」と聞くと、何か情報を持ってきてくれる。そのアドバイスや他社で上手くいっているビジネスモデルなどの情報をこちらで検討し、当社流にアレンジしたりしています。
率直に言って、船井総研さんと上手く付き合うと業績は上がる。おかげで当グループは確実に良くなっていますし、だからこそ今までお付き合いが続いてきました。今後も長いお付き合いをさせていただきたいですね」
さらなる地域密着と圧倒的一番を目指して
シアーズホームグループ様とのお付き合いは10年近くにもなります。当社が最初に関わるようになったきっかけは、
リフォーム事業の収益化でした。同社はそれまでに何度かリフォーム事業を軌道に乗せようとしていたものの
うまくいかず、それを船井総研が支援しました。
その後、開始したばかりの「竹」事業のジャストホームの販売がまだ属人的、
営業担当者の資質により営業成績に大きな差があったので、人材育成のためのマニュアルが必要と、
ジャストホームの支援も開始しています。
「梅」事業のサンタ不動産もまだまだ伸ばせる余地があったことから、
船井総研が提案している建売・分譲地販売事業のビジネスモデルを提案し、お手伝いしました。
船井総研がシアーズホームグループ様に対し最も行っているのはビジネスモデルの提案と、
それが実現するためのお手伝いです。新たなビジネスモデルは2~3年ほどで軌道に乗り、売上が立ち始めます。
そうなると人を増やす必要が生じることから、マニュアル作成や研修など人材育成の支援に移っていく形です。
支援時は、毎月1回、1時間ほどコンサルタントが丸本社長と面談を行います。
事業の進捗を聞き、社長の抱えている課題を共有いただきます。そしてその課題を解決する方法を幹部研修、
営業研修で社員に共有し、実行していってもらう形を整備しています。
課題やコンサルタントに求められる内容も、企業の成長に伴い変化しています。
これまでは「いろいろなビジネスモデルを提案してほしい」がよく求められることでしたが、
松竹梅戦略とリフォームの事業が高いレベルで機能するようになってからは、
それらの戦略をどう推し進めていくか、が話し合いの中心となりました。
この間、5倍以上の成長を遂げられたのも、同社の地域密着や社員を大切にする姿勢と、
その上での経営戦略の実行があったと言えるでしょう。社員を大切にする姿勢は毎月の訪問でも強く感じ、
いつも「人の成長」という視点で話がされます。しかも「この人はどのように成長してもらえば良いだろうか?」という
個々人に焦点を当てた相談もあります。こちらからは、うかがった個別の課題を整理し、
そのうえで営業研修に生かしています。
丸本社長は、本社を置く熊本県だけでなく、福岡県、佐賀県、鹿児島県でも地域一番になるべく、
地域密着の経営を目指しています。この先の売上1,000億円という目標に向けて、引き続き支援して参ります。