10億宣言とは何か。いま中小企業に求められるのは、“売上拡大”ではなく“稼ぐ力”への転換である

2026.07.13

▼『100億企業を実現した5人の経営者の成功事例』 無料ダウンロードはこちら

いま、中小企業の成長支援策として注目を集めているのが「10億宣言」です。

これは単なる売上目標のスローガンではありません。売上高1億円以上10億円未満の成長志向企業が、地域金融機関の伴走を受けながら、売上10億円の突破と高収益化を目指す方向性を公表し、その実現に向けて投資・金融・人材面の支援を受けていく――そうした政策パッケージとして検討されているものです。 
10億宣言の本質は、「もっと頑張れば伸びる」という精神論ではありません。
 人手不足が進み、従来型の労働集約経営では成長が難しくなる中で、少ない人数でも高い付加価値を生み出せる会社へ転換すること。ここに、政策の狙いがあります。 

10億宣言は、「売上10億円を目指します」という表明だけではない

10億宣言を表面的に見ると、「売上10億円を目指す企業への新しい支援制度」と理解されがちです。もちろんそれは間違いではありません。しかし、政策として重要なのは、その数字そのものよりも、その数字を実現できる経営へ変わる意思と計画があるかです。 

現時点で示されている方向性では、10億宣言は、成長意欲を持つ中小企業が自社のビジョンを明確にし、地域金融機関の伴走も受けながら、設備投資や販路拡大、人材確保、経営基盤の整備を進めていく枠組みとして構想されています。つまり、制度の本質は「宣言」よりも、宣言の中身をどう実行可能な成長戦略にするかにあります。 

なぜ今、10億宣言なのか。背景にあるのは「労働供給制約社会」である

いまの中小企業政策は、単なる事業継続支援から、成長支援へと明確に軸足を移しつつあります。その背景にあるのが、人口減少と人手不足です。これからの時代、人数を増やせば売上が伸びるというモデルは、ますます通用しにくくなります。だからこそ政策側は、中小企業に対しても「量」ではなく「質」、つまり付加価値労働生産性を高める経営を求めています。 

この文脈で見ると、10億宣言は売上拡大支援ではなく、むしろ“稼ぐ力”の強化支援です。

安い価格で数をこなす会社よりも、選ばれる商品・サービスを持ち、価格決定力を持ち、投資余力を持てる会社へ。10億宣言は、その転換を後押しするための政策メッセージだと捉えるべきです。 

対象になるのは、すでに大きい会社ではない。これから伸びる会社である

100億宣言が「売上100億円超を目指す企業」を対象とするのに対し、10億宣言は、より手前の層、すなわち売上高1億円以上10億円未満の中小企業を想定した支援の方向性として語られています。ここが非常に重要です。 
このレンジの企業は、創業期を抜け、一定の事業基盤はあるものの、次の成長に向けて壁にぶつかりやすい層でもあります。

社長依存が強い、幹部が育っていない、営業が属人的、価格交渉力が弱い、ITやDXが遅れている、投資したくても金融機関との対話が浅い。

10億宣言は、まさにそうした企業群を対象に、成長の踊り場を突破させるための制度設計として注目されています。

支援の柱は「投資」「金融」「ソフト」の3つにある

10億宣言の方向性で特徴的なのは、支援が単発ではなく、複線的に設計されている点です。報じられている内容では、柱は大きく3つあります。

ひとつは設備投資や生産性向上を後押しする投資支援

もうひとつは政策金融などを通じた金融支援

そしてもうひとつが、人材確保や経営基盤整備などのソフト支援です。

ここで見落としてはいけないのは、政策側が「補助金だけ渡して終わり」とは考えていないことです。投資しても、それを回せる組織がなければ成果は出ません。融資がついても、返せる利益構造がなければ持続しません。だからこそ、10億宣言は、設備・資金・人材を切り離さず、企業の成長基盤を一体で整える思想を持った制度として見るべきです。 

10億宣言で問われるのは、「申請力」より「構想力」である

制度が始まると、多くの企業はまず「うちも使えるか」「どの補助金が対象か」と考えます。もちろんそれ自体は自然なことです。

ですが、10億宣言で本当に差がつくのは、申請書の巧拙ではなく、自社の成長ストーリーをどこまで描けているかです。

自社の強みは何か。どの市場で勝つのか。何に投資するのか。その投資で、どのように付加価値を高め、どのように粗利を増やし、どのように10億円を超えていくのか。これが語れない状態では、宣言は単なる希望表明で終わります。

逆に、ここが明確な会社にとっては、10億宣言は自社の成長戦略を外部に示し、金融機関や支援機関を巻き込む絶好の機会になります。 

10億宣言は「制度対応」ではなく「企業変革」の入口である

船井総研がこれまで多くの成長企業を支援してきた立場から見ると、10億宣言は単なる新制度ではありません。むしろ、これまで感覚的に語られがちだった「次の成長」の条件が、政策として言語化され始めたものだと捉えています。

成長する企業は、例外なくどこかで、社長依存からの脱却、粗利構造の見直し、営業の仕組み化、幹部育成、財務戦略の高度化に取り組んでいます。10億宣言は、それらを後回しにしてきた企業に対して、「いまこそ本気で経営を作り変えるタイミングだ」と示しているのです。 

10億宣言は、売上10億円を目指す企業への追い風になる可能性があります。

しかし、その価値は制度を知ることにあるのではなく、制度が求めている経営の姿を理解することにあります。 

これからの中小企業に求められるのは、人を増やして売上を作る経営ではなく、付加価値を高めて利益を生み、投資を回し、さらに成長できる経営です。10億宣言は、その第一歩を後押しする政策として、大きな意味を持ちます。

だからこそ今、経営者に必要なのは、「制度が始まったら考える」ことではありません。自社は10億円企業になる準備ができているかを、いま問うことです。 

▼『100億企業を実現した5人の経営者の成功事例』 無料ダウンロードはこちら

100億企業化
コンサルティングに
ついてはこちら

お問い合わせ

CONTACT

CONTACT FORM