【100億宣言】働楽ホールディングス:個性を活かす人材育成と成長戦略

2026.07.28

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株式会社働楽ホールディングス 代表取締役社長 西島 富久氏

株式会社働楽ホールディングスは、ITインフラからクラウド、AI、ERP、そしてヘルスケア領域に至るまで幅広い技術力を有し、社会と企業の課題解決に挑み続けるIT企業である。通信インフラの黎明期から技術革新の最前線を駆け抜けてきた経験を礎に、2003年の創業以来、絶え間ない変化と事業の多角化を推進してきた。リーマンショックや東日本大震災といった幾多の危機を乗り越え、グローバル展開や異業種からの多様な人材育成を力強く進めている。現在、売上高100億円という明確な目標を掲げ、日本のIT業界が抱える構造的な人材課題にも一石を投じながら、次世代への事業継承と持続的な成長に向けた新たなフェーズへと踏み出している。本稿では、同社が歩んできた軌跡と、未来へ向けた確固たる戦略を紐解く。

企業情報
会社名
株式会社働楽ホールディングス
設立
2003年4月(株式会社IT働楽研究所設立)
従業員数
373名(2026年4月現在)
事業内容
情報インフラシステム開発、ソフトウェアシステム開発、ヘルスケア業務支援事業
100億宣言
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/pdf/00372-00.pdf
HP
https://www.doraku-holdings.co.jp

通信ネットワークの歴史と共に歩んだ技術者の矜持

同社の経営基盤は、日本の通信ネットワーク技術の発展と共に培われてきた。
1960年代、日本が高度経済成長へと向かう中、通信インフラの整備は急務であった。増産しても増産しても需要に応えられない状況は、通信インフラの高速、高性能、高品質化を実現する技術を急速に進化させた。
1970年代に入ると銀行システムへのコンピュータ導入が本格化し、やがて産業・公共などすべてのシステムがオンライン化されるに至った。コンピュータ・ネットワークの基盤として、パケット交換技術が確立され、後に情報革命を牽引した。やがてインターネット技術へと進化してインターネット革命時代をもたらしている。
同社を率いる西島富久は大手企業における30年以上のエンジニア生活の中で最前線の技術開発を体験してきたのである。

「時代が必要とする技術は開発するしかない、社会が求める技術を開発するのは技術者の使命」との思いで、開発をやり遂げてきた。未知なる技術の変遷を肌で感じ、技術開発の要諦を熟知していることは、『成功するまで諦めない』という同社の強力なバックボーンとなっている。
常に新しい技術が社会をどう変えるかを見極め、複雑なシステムを実用化していく知見は、現在展開している多様なITソリューションサービスの根本に息づいている。

長い開発屋人生を通じて、若い技術者を育て、仲間と共にプロジェクトの成功を喜び合う体験が、同社の「社員を育て、社員の成長が会社成長に繋がる」考えのもと、社員育成環境を充実させている。半世紀にわたる技術者としての経験値こそが、流行に流されない堅牢で本質的なシステム構築を可能にしているのである。

就職氷河期の若者に道を拓いた2003年の創業と急成長

1990年代後半から2000年にかけて、日本経済はITバブルの崩壊と就職氷河期という二重の苦難に見舞われていた。大手企業でさえも大規模な赤字を計上し、早期退職優遇制度などを導入して人員整理を進める激動の時代であった。
そのような状況下において、西島は56歳で長年勤めた企業を退職し、新たな道を歩み始める決断を下した。その根底にあったのは、過酷な就職氷河期において「IT業界で働きたい」という意欲を持ちながらも機会に恵まれない若者たちに、活躍の場を提供したいという強い想いであった。

2003年4月、株式会社働楽ホールディングスの前身となる株式会社IT働楽研究所が産声を上げた。創業初期は、インターネットを活用した企業システム構築の需要が急速に高まっていた時期と重なる。同社は、ネットワーク技術の基礎資格などを取得することを条件に未経験の若者を積極的に採用し、自社で育成しながら第一線のエンジニアへと育て上げる方針を採った。未経験者であっても温かく迎え入れ、技術を習得させるこのアプローチは功を奏し、会社は目覚ましい成長を遂げた。創業からわずか4年で売上高10億円を突破。若き技術者たちの熱意と、時代が求めるITインフラ構築のニーズが見事に合致し、同社は急速に事業基盤を確立していったのである。

危機を乗り越え強靭な企業体質を創る多角化への舵切り

順調な成長を続けていた同社に、世界的な経済危機が襲いかかる。2008年のリーマンショックである。この未曾有の不況により、企業のIT投資は凍結され、同社も売上が低迷する苦しい時期を経験することとなった。
さらに2011年には東日本大震災が発生し、日本全体が深い悲しみと混乱に包まれた。
しかし、同社はこの危機的状況をただ耐え忍ぶのではなく、事業基盤をより強固なものにするための「多角化」への契機と捉えたのである。

震災直後の2011年4月、同社は大手ソフトウェア会社から事業を譲り受け、更に、いきいきメディケアサポート株式会社を設立するという2つの大きな動きがあった。周囲からは震災の混乱期における投資を危ぶむ声もあったが、これまでの主要顧客である大手企業との安定した取引基盤があったからこそ、攻めの姿勢を崩さなかった。特定の事業や顧客に依存するリスクを分散し、新たな事業の柱を立てることで、いかなる経済変動にも揺るがない企業体質への変革を図ったのである。この多角化路線への舵切りは、その後の成長につながる転換点となった。

IT人材の枯渇を見据えたミャンマーへのグローバル進出

同社は、日本国内における少子高齢化とそれに伴う深刻なIT人材不足を早くから予見していた。「10年後には数十万人規模のIT人材が不足する」という予測が現実味を帯びる中、同社は海外へと活路を求めた。2014年、中国への一極集中を避ける「チャイナプラスワン」の動きが加速する中、民主化が進み経済成長のポテンシャルを秘めていたミャンマーへの進出を決定したのである。

現地の優秀なIT人材を確保するため、ミャンマーにおけるトップクラスのコンピュータ系大学との連携を深め、現地に拠点を設けた。当初は日本国内のシステム開発の一部をミャンマーで分担するオフショア開発の拠点としての位置づけであったが、将来的にはミャンマー経済の成長に伴う現地でのIT需要の取り込みも視野に入れていた。日本の約3分の1というコスト競争力を持ちながら、優秀な理系人材による開発体制を実現することは、同社の開発リソースを大きく拡大させる結果となった。先を見据えたこのグローバルな人材戦略は、労働力不足という日本特有の課題に対する有効な解決策の一つとなっている。

社会課題をITで解決する訪問看護支援システムの展開

多角化戦略の一環として、同社はヘルスケア領域への挑戦も開始した。日本の高齢化が急速に進展し、国の方針として病院から在宅での療養・看護へとシフトしていく流れを的確に捉え、在宅医療・看護をITの力で支援する事業を立ち上げたのである。それが、訪問看護ステーション向けの業務支援システム「いきいき訪看」の展開である。

サービス開始当初、まだクラウドという言葉すら浸透しておらず、高額なサーバーを自社に設置することが当たり前であった時代に、同社はいち早くクラウド型のサービスを提供した。
煩雑なインストール作業や多額の初期投資を不要にし、紙の記録からデジタルへの移行を強力に推進したことは、現場の医療・看護従事者の負担を大幅に軽減する画期的な取り組みであった。
現在ではさらに進化を遂げ、AIを活用した記録業務の簡略化など、大幅な業務効率化を目指す次世代システムの開発にも着手している。社会が抱える本質的な課題に対し、高度な技術力をもって解決策を提示し続ける姿勢は、同社の企業価値を一層高めている。

文系出身者も異業種からの転職者も輝く多様性のある組織

同社の大きな特徴の一つに、独自の採用・教育方針がある。新卒採用において、IT企業でありながら文系出身者が約半数を占めているのである。これは、「技術力だけでなく、好奇心や前向きな姿勢、責任感こそが成長の鍵である」という確固たる信念に基づいている。入社後には3ヶ月間にわたる手厚い研修期間が設けられており、文系・理系を問わず、ITエンジニアとしての基礎を徹底的に身につけさせる。

さらに、中途採用においては、全くの異業種からIT業界へ飛び込んできた人材も多数活躍している。彼らは社会人としての経験に基づく高いコミュニケーション能力と、新たな環境で挑戦する強い覚悟を持っており、同社に新しい風を吹き込んでいる。
西島社長自らが全社員の最終面接を行い、一人ひとりの個性や経歴を深く把握している。宮大工が「木のクセ」を読んで適材適所に配置するように、一人ひとりの異なる個性や強みを組み合わせることで、より柔軟で強靭な組織を構築しているのである。
全員が同じ枠に収まるのではなく、「違っていてもいい」という前提に立ち、多様性を力に変えるマネジメントが同社の成長を根底から支えている。

IT業界の歪みに一石を投じる人材流動化への鋭い提言

多様な人材を採用し、自社で時間とコストをかけて優秀なエンジニアへと育成している同社にとって、日本のIT業界が抱える「人材引き抜き」の構造は看過できない問題である。同社は、衰退産業から成長産業への「水平移動」には大いに賛同している。しかし、多大なコストをかけて育成した若手人材が、資金力とブランド力に物を言わせる企業へと安易に流出してしまう「垂直移動」については、業界の健全な発展を阻害する歪みであると強く警鐘を鳴らしている。

「若者の育成コストを誰が負担すべきなのか」という本質的な問いに対し、同社は単に現状を嘆くのではなく、政府や関連機関に対して助成金の拡充など具体的な制度設計を提言している。また、社内においても、人材の定着を図るための新たな人事施策を講じている。その一例が「管理者インセンティブ制度」である。利益の一部を毎年プールし、数年後に還元するこの仕組みは、管理職のモチベーションを高め、組織の要となる中間層の離職を防ぐための戦略的な一手である。業界の課題に対して真正面から向き合い、内外に働きかけを続ける同社の姿勢は、次世代のIT産業のあるべき姿を模索する真摯な取り組みである。

日本の商慣習に相応しいERPとAI活用のコンサルティング

システムインフラの構築に加えて、同社が現在注力しているのが、グローバルなERP(統合基幹業務システム)製品を用いた業務ソリューションの提供と、AI技術の実践的な活用である。海外製のパッケージソフトは優れているものの、そのままでは日本の複雑な商慣習や独自の管理手法に適合しないケースが多い。そこで同社は、長年のシステム開発で培った知見を活かし、他社にはない独自の機能をアドオン(追加開発)することで、日本の顧客が真に使いやすいシステムへと昇華させている。

さらに、AI技術の活用においても、単なるプラットフォームの提供に留まらず、顧客の業務のどこにAIを適用すれば効果が期待できるかを提案するコンサルティング業務もすでに推進中である。システム設計から開発プロセスの短縮化、そして業務効率の飛躍的な向上に至るまで、あらゆるフェーズにAIを組み込むことで、これまでのシステムインテグレーションの枠を超えた高付加価値なサービスを提供している。技術を導入すること自体を目的とするのではなく、顧客の事業成長に直結するDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現することが、同社の目指すソリューションの姿である。

売上高100億円への確かな布石と次世代への事業継承

長年にわたる事業の多角化、グローバル展開、そして盤石な人材育成の仕組みづくりを経て、同社はいま、売上高100億円という大きな目標に向けた中期経営計画の中を力強く進んでいる。この「100億宣言」は、決して思いつきで掲げられたものではない。社内で綿密に練り上げられてきた成長戦略を、満を持して対外的にコミットメントしたものである。

この壮大な目標を達成するためには、全社員が同じ方向を向き、高い志を共有することが不可欠である。同社では、大学の教授陣を招いた高度な技術研修を定期的に開催し、社員のスキルアップを強力に支援している。また、全社員が一堂に会する総会では、業界の専門家が激励に訪れるなど、社員が誇りを持って働ける環境づくりに投資を惜しまない。高い技術力と多様な人材の力を結集し、次なる100億円企業としての飛躍を目指す株式会社働楽ホールディングスの挑戦は、これからも日本のIT業界に確かな足跡を残していくに違いない。

成長を牽引し続ける強固な組織力と未来への展望

株式会社働楽ホールディングスの歩みは、日本のIT技術の進化と軌を一にするものである。通信インフラの黎明期から培われた高度な技術的知見は、いかなる最新技術の波にも揺るがない確固たる基盤となっている。同社が幾多の経済的・社会的危機を乗り越え、多角的な事業展開を成功させてきた背景には、技術への深い理解とともに、人を育て、人を活かすという人間中心の経営哲学が存在している。

多様なバックグラウンドを持つ人材を広く受け入れ、それぞれの個性や特長を活かして適材適所で輝かせる組織マネジメント。そして、育成した人材の流出という業界の構造的課題に対しても、対策を講じる実直な姿勢。これらすべてが、同社の持続的な成長エンジンとなっている。「売上高100億円」という目標は、これまでに打ってきた数々の布石が結実する一つの通過点に過ぎない。AIやクラウドといった最先端技術を日本の商慣習に合わせて最適化し、社会や企業の課題を本質的に解決していく同社の挑戦は、これからも次世代のリーダーたちによって力強く牽引され、更なる高みへと続いていく。

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