新規事業策定

コングロマリット化による成功事例の紹介:自動車業界の成長の可能性

2024.09.06

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昨今、日本の市場は縮小傾向にあり、コストの増加や人材確保の難しさ、デジタル格差の拡大といった課題が山積しています。多くの経営者がこの状況に頭を悩ませていますが、日本の未来は本当に暗いのでしょうか?業界や業種ごとのライフサイクルの視点で見れば、異なる見方ができるかもしれません。

例えば、船井総研は元々小売りのコンサルティングを行っており、特に衣食住の衣食部門に注力してきました。この分野は成熟度が非常に高く、独占化・寡占化が進行しています。家具や雑貨の分野でも大企業による集約が見られます。
モビリティ業界も徐々に成熟期から衰退期に入りつつあり、過渡期にあるとされています。成熟化が進むと、上位数社による統合が進むため、地域の中でナンバー1やナンバー2のポジションを確保しなければ生き残れないと言われています。このため、多くの経営者は成長戦略を模索しているのではないでしょうか。

コングロマリット化のメリット

これからは多角化、つまりコングロマリット化が求められます。多角化のメリットは、事業間シナジーやコーポレートシナジーによる営業面や資金調達力の向上、リスク分散による負のシナジー回避です。
元金融庁の日下氏が述べているように、元気な地方には必ず地域コングロマリットが存在します。多角化することでリスクが分散され、雇用の受け皿となります。また、経営者人材の育成も重要なポイントです。経営者たる器になる人材を育てるための新規事業やホールディングス化が必要です。

コングロマリット化の5つのパターン

1.自社アセット&リソース型

– 10~30万人の商圏で成立。衣食住に関連する商売を複合的に展開し、地域に密着したビジネスモデル。
– 例: 愛媛県松山市のキスケ様は、パチンコからボウリング、不動産、温泉など多角的に展開。

2.顧客LTV(ライフタイムバリュー)伸長型

– 1人のお客様に対して、長期間にわたり多様なサービスを提供することで顧客の生涯価値を最大化するモデル。
– 例: 林モータース様は、モビリティを中心に異業種にも展開。

3.自社ドメイン特化型

– 特定の分野に集中し、幅広い客層に対応するビジネスモデル。
– 例: 宮城県大崎市のタカカツホールディングス様は、建材、不動産、リフォームを手がけ、地域に密着。

4.サプライチェーン統合型

– 垂直統合し、メーカーから卸売までを一貫して展開するビジネスモデル。
– 例: 福岡県大川市の関家具様は、50年の歴史を持ち、サプライチェーンを統合して成功。

5.機能スピンアウト型

– 特定の機能に特化した子会社を設立し、新しい市場に挑戦するビジネスモデル。
– 例: 船井総研グループはデジタル領域に特化したスピンアウトを実施。

新規事業の選び方とシナジーの活用

新規事業を選定する際には、理念やミッションに基づき、事業間のシナジーを重視することが重要です。事業案選びよりも、人材面と財務面の視点を重視し、エース人材の登用や高額資金調達の準備を怠らないことが求められます。また、新規事業の立ち上げにはスピードと多店舗展開の発想が必要であり、柔軟な対応と撤退ラインの明確化が成功の鍵です。

新規事業の選定とシナジーの創出

多くの企業が新規事業の立ち上げを検討する際、主に売上の成長を目指すと同時に、採用ブランディングの向上を図るという重要な目的を持っています。成熟した業界では、新規事業を通じて企業のイメージを刷新し、優秀な人材を引きつけることが必要です。特にモビリティ業界のように、従来のイメージが定着している業界では、新規事業をプラスすることで企業の見せ方を変え、地域コングロマリット企業としての魅力をアピールする必要があります。これは、例えばパチンコ業界のように、成熟した業界での売上が伸び悩む状況を打破するためにも重要です。
新規事業の選定においては、事業の収益性が重要ですが、それだけでなく、地域に密着した形で地域コングロマリット企業としての見せ方を工夫することも求められます。特に、若い人材にとって魅力的な企業にするためには、事業選定の際に先進性や社会性を考慮し、人材吸引力のある事業を選ぶことが不可欠です。例えば、おしゃれでかっこいい事業を選ぶことで、企業の魅力を高めることができます
地域コングロマリット企業としてのイメージを持つために、例えばモビリティを中核に据えつつ、健康、シニア、社会福祉、HRなどの事業を組み合わせることが考えられます。このような事業の多角化は、組織の新陳代謝を促進し、若い人材にとって魅力的な企業となるためにも重要です。小規模な事業でも、組織全体を見た時に車屋さんから脱却し、地域に密着した企業としての見せ方を工夫することで、新規事業を成功に導くことができます。

事業案よりも重要な人材・財務戦略視点

新規事業の成功には、事業戦略だけでなく人材と財務の戦略が不可欠です。特に、事業が成長するにつれて、人材の育成と財務の安定性が企業の成長に直結します。社長や経営陣が全社戦略を意識し、事業ポートフォリオや人材育成、採用、財務戦略を包括的に考える必要があります。例えば、100名以上の規模の企業では、経営者が事業ポートフォリオの組み合わせをどうするか、人材をどう育成するか、財務戦略をどう展開するかという視点が求められます。
新規事業を立ち上げる際には、エース人材を登用し、推進力を最大化することが重要です。また、財務の面でも、必要な額を調達し、一気に面展開できる投資余力を持つことが求められます。これには、銀行や金融機関との良好な関係を築き、M&Aの調達枠を確保することが重要です。新規事業を成功させるためには、既存事業の安定性を保ちながら、新規事業にチャレンジするタイミングを見極めることが必要です。
ホールディングス化は、攻めの新規事業戦略として有効です。ホールディングス化によって、全社戦略をやりやすくし、経営人材を育成する体制を整えることができます。特に、モビリティ業界のように規模が大きくなるにつれて、収益性が向上する業界では、仕入れのスケールメリットや組織の効率化が収益性の向上に寄与します。

新規事業立ち上げシナリオ

新規事業の立ち上げには、準備、立ち上げ、加速、撤退の各ステップが重要です。特に、有望なマーケットを狙う際には、スピードと多店舗展開の発想が必要です。地域の10億規模の大箱事業を狙うことで、スモールビジネスでは実現できない大きな成長を狙うことができます。
新規事業の立ち上げにおいては、事業検討から確定までの期間を3ヶ月、参入準備を3ヶ月、実際の準備と参入までを6ヶ月と見積もり、1年程度の期間をかけることが現実的です。特に、地域マーケットでは土地や物件の確保に時間がかかるため、早期に検討し、ダメならすぐ撤退するという発想が重要です。
また、新規事業の立ち上げ時には、エース人材を登用し、既存事業が傾かないように体制を整えることが必要です。財務の視点では、高額の資金調達ができるよう準備を整え、多店舗展開に挑戦するための耐久力を持つことが求められます。新規事業の成功率は100%ではないため、複数の事業にチャレンジし、一勝一分一敗を目指す姿勢が重要です。
新規事業の成功には、しっかりとした準備と戦略が不可欠です。特に、人材と財務の視点を重視し、エース人材の登用や高額資金調達の準備を怠らないことが重要です。また、撤退ラインを明確にし、柔軟な対応をすることで、新規事業のリスクを最小限に抑えることができます。

地域密着型ビジネスの成功事例 ~ダブルツリー社とヒューベストホールディングス社の成長戦略~

企業が成長し続けるためには、地域に密着したビジネスモデルの採用や、多角化戦略が重要です。今回は、岡山県のダブルツリー社と佐賀県のヒューベストホールディングス社が、どのような過程で成長し続けているかについてご紹介します。

ダブルツリー様の成功事例

軽自動車業態からの転換

ダブルツリー様は、岡山県で軽自動車を中心に展開していましたが、業界の先行き不透明さや成長余地の限界から新たな展開を模索していました。地域に根付いたビジネスモデルを選び、吸引力のある新規事業に取り組むことにしました。その結果、飲食業やグランピング事業など多角的な事業展開を行い、新卒採用にも好影響を与えました。

新規事業の影響

新規事業の展開により、地元での採用ランキングが向上し、地域の有力企業としての地位を確立しました。特に、グランピング事業の成功はモビリティ事業との相乗効果を生み、地域密着型ビジネスの強みを活かした展開が功を奏しました。

ヒューベストホールディングス様の成功事例

ディーラー事業からの脱却

もともとホンダカーズ佐賀としてディーラー事業を中心に展開していたヒューベストホールディングス様も、業界の成熟と成長余地の限界から新たなビジネスモデルを模索しました。フィットネス事業や内装事業への多角化を進めることで、地域密着型のコングロマリット企業としての地位を確立しました。

新規事業とM&A戦略

2018年には内装会社をM&Aし、地域密着型のローコスト住宅事業を展開しました。これにより、売上構成比が多様化し、モビリティ事業に依存しない安定した経営基盤を築きました。また、神奈川の企業をM&Aすることで、最新の情報を取り入れつつ地域展開を加速させました。

まとめ

地域密着型のビジネスモデルを採用し、多角化戦略を実行することで、企業は成長し続けることが可能です。ダブルツリー社とヒューベストホールディングス社の成功事例は、地元のニーズに応えながら新たなビジネスチャンスを掴むことの重要性を示しています。
これからの経営戦略としては、地域に根ざしたビジネスモデルを活用し、新規事業の展開とホールディングス化を通じて多角化を進めることが求められます。企業が描くビジョンを明確にし、そのビジョンに基づいた戦略を実行することで、さらなる成長を遂げることができるでしょう。

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執筆者名:アカウントパートナー室

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