無借金経営から積極投資へ!売上100億円突破の建設企業が挑んだ「攻めの財務体制」構築と成長軌跡
中村土建株式会社
業種:総合建設業
中村土建株式会社
常務取締役
伊藤 昌毅 氏
企業紹介
栃木県宇都宮市に本社を構える中村土建株式会社様は創業以来、地域社会の基盤づくりに貢献し続けている地域密着型の総合建設企業です。総勢85名の従業員を擁し、長年にわたり培ってきた確かな技術力と信頼を武器に、現場監督および施工管理業務を事業の中核として展開しています。
事業のポートフォリオは非常に多角化されており、中核となる建築・土木事業をはじめ設計事業、不動産事業、さらにはPFIの運営事業や再生可能エネルギー事業など、時代のニーズに合わせた幅広い事業領域を手掛けており、建築部門が約割、土木部門が約2割を占めています。
土木部門は主に公共工事が中心ですが、建築部門においては近年の官公庁案件の減少という市場環境の変化をいち早く捉え、現在ではほぼ100%が非住宅の民間建築事業へとシフトしています。どのような用途の施設であっても柔軟に対応できる「非住宅のプロフェッショナル」としての確固たる地位を築き上げています。
プロジェクトの背景
急成長に伴う「お金の管理」の限界と組織の空洞化
中村土建株式会社様が財務領域の体制構築プロジェクトを立ち上げた背景には、企業の急成長に伴う「お金の管理」に関する深刻な課題と、社内体制の急激な変化がありました。
同社は業績が右肩上がりで成長し100億円企業へと階段を駆け上がる中で、手掛ける建設案件が大型化しており、それに比例するように先行して必要となる立替資金や仕入れ資金も増大しました。
これまで同社は「無借金経営」を貫いてきましたが、事業の拡大スピードに対して手元の現金残高だけでやり繰りする旧来のスタイルでは対応しきれなくなり、いよいよ外部からの「借り入れ」が本格的に発生するフェーズへと突入したのです。
しかし長年無借金で経営してきたため、社内には「適正な借入額はいくらなのか」「どのように返済計画を立てていくべきなのか」といった、財務や資金繰りに関する知識・ノウハウが圧倒的に不足しているだけでなく、これまで長年にわたって会社の数字を管理してきた前任の財務担当者が定年退職を迎え、財務を専門に見ることができる人材が不在となりました。
加えて、会社としては「新社屋の建設」という大規模な設備投資プロジェクトも控えており、今後ますます資金の動きが活発化し、投資額が飛躍的に増大することが見込まれていたため、経営陣は強い危機感を抱き、会社全体のお金の管理体制をゼロベースから抜本的に見直すことを決断しました。
船井総研の選定理由
既存の支援を通じた確固たる信頼関係
このような会社の根幹に関わる重要な「財務体制の再構築」というプロジェクトのパートナーとして、中村土建様が船井総研を選定した理由は、これまでの支援実績に基づく「確固たる信頼関係」にありました。
同社は以前からマーケティング戦略の策定や人材採用の領域において、船井総研のコンサルティング支援を受けており、すでに強固なパートナーシップが築かれていました。
財務という会社の最も機密性の高い「お金」の部分を外部に開示し、指導を仰ぐためには自社のビジネスモデルや業界の特性、そして何より「会社の組織風土」を深く理解している相手でなければなりません。
「船井総研であれば我々のビジネスの現状や今後のビジョンをすでに深く理解してくれている。安心してゼロからの財務体制構築を任せられる」。そうした既存の支援を通じた絶対的な安心感と信頼が決め手となり、船井総研へ財務コンサルティングを依頼するに至ったと伊藤常務は語られます。

船井総研の貢献①
月次決算の導入と数字の把握による経営判断の変化
財務コンサルティングがスタートして真っ先に取り組んだのが、経営状態をリアルタイムで可視化するための「月次決算体制の構築」でした。
売上100億円を超える規模に成長していた同社ですが、以前は正確な月次決算が実施されておらず、最終的な決算上の正しい数字については「その事業年度が終わってみないと、正直なところどう着地したのか分からない」という状態が続いていたのです。
今後100億企業として展開していくには、これまでの職人的な勘や経験則に頼った経営はすでに限界に達しており、データに基づく経営へのシフトは急務でした。
船井総研の支援のもと、まずは社内で運用していた基幹システムのデータを整理し、スプレッドシートへと自動的に移管・連携させる仕組みを構築したことで、各月の詳細な売上、原価、そしてこれまでブラックボックス化していた経費の流れがクリアに「見える化」されました。
リアルタイムに「数字が見える」ようになったことで、借入の全体像や月々の返済額が明確になり、将来の資金繰りに対する漠然とした不安が払拭されました。
また販管費の項目を細分化して管理できるようになったことで、「どの部門の、どの経費に無駄があるのか」「どこに資金を投下すべきか」というコストコントロールが容易になり、結果として客観的な数値データという確固たる根拠に基づいた経営判断が可能となったことで、確実性と安定性が飛躍的に向上したと語られます。
船井総研の貢献②
「無借金経営」から「借り入れ」への転換と銀行多行化の戦略
月次決算による「守り」の体制構築と並行して進められたのが、資金調達という「攻め」の財務戦略の抜本的な見直しです。
それまで同社はメインバンク1行、サブバンク1行程度とのお付き合いにとどまっており、無借金経営を是としていたため設定されている借入枠も決して大きいものではなく、これからのさらなる成長と大型案件の受注、そして新社屋建設という大規模投資を支えるためには心もとない状態でした。
ここで船井総研が強く推進したのが、「取引銀行の多行化」という戦略です。
1行や2行の特定の金融機関に過度に依存することは、その銀行の融資方針が急変した際に一瞬にして企業の命脈を絶たれるリスクを孕んでおり、「成長戦略を描く上では、より多くの金融機関と関係性を構築し、いかなる経済状況下であっても常に安定して資金調達ができる仕組みを作ることが極めて重要である」と支援しました。
この支援を受け同社は直ちに方針を転換し、地域の地方銀行や信用金庫など、これまで取引のなかった様々な金融機関へ積極的にアプローチを開始した結果、現在では約10行近くの金融機関との間に新たな取引口座や融資枠を開拓することに成功しています。
当時確保していた借入枠は約8億円程度で売上高100億円の企業規模からすると、決して十分とは言えない水準でしたが、現在ではその借入枠が「30億円規模」へと大幅に増大しており、突発的な大型案件の受注や、不測の事態による資金需要の変動に対しても、余裕を持って対応できる資金的なやり繰りのバッファーが生まれました。
また副産物として銀行が持つ膨大なネットワークから、建設業界の動向、M&A案件、さらには直接的な営業情報など、経営に直結する極めて有益な情報が次々と流れ込んでくるようになり、金融機関が単純な「お金の貸し手」から「経営を共に伸ばすビジネスパートナー」へと変化したことで、同社のビジネスの仕組みそのものを大きく変革させる契機となりました。

船井総研の貢献③
20億円の大規模補助金採択
同社のさらなる飛躍の決定打となったのが、新社屋建設に伴う「20億円規模の大規模成長補助金」の採択です。ここでも船井総研が決定的な役割を果たしました。
当初、同社は新社屋の建設について自己資金と通常の銀行借入のみでまかなう単なる「設備投資」として計画を進めていましたが、事業承継の準備や従業員の退職金制度の整備など、社屋以外にも多額の資金需要が重なっており、経営陣は資金計画に頭を悩ませていました。
そんな折、「自社が顧客に提案しているこの大型補助金スキームを、当社自身の新社屋建設にも適用できるのか」というご相談からプロジェクトがはじまりました。ただし、通常単なるオフィスビルの建設で大規模な補助金を獲得することは非常に困難です。
しかし新社屋がいかに地域の雇用創出や生産性向上、DX推進に寄与するかという綿密な事業計画を策定し、補助金専門チームと細かい調整を重ねた結果、見事20億円規模という極めて難易度の高い大規模補助金の採択を勝ち取りました。
この補助金採択は単に建設コストが削減できたという金銭的なメリットだけでなく、事業計画を策定するプロセスを通じて「ただ新しい建物を建てるという発想から、この巨大な投資を武器にして、いかに売上を拡大し、従業員の賃金を向上させ地域経済に還元していくか」という、全社的な『成長戦略投資』としての明確なビジョンを描くようになりました。
伊藤常務は、「船井総研のサポートがなければ、ここまで大きなビジョンを描くことはできなかった。このプロジェクトを通じて、会社の向かうべき方向性の流れが完全に変わった」とその伴走支援の価値を高く評価しています。
船井総研の貢献④
金融機関出身の「財務専任担当」の採用
船井総研の支援は財務・補助金に留まらず、採用にも成果をもたらしています。
100億円企業からさらなる高みを目指す上で、過去の数字をまとめるだけの人材ではなく、未来の企業価値を創造できる「財務専門の責任者」が絶対に必要であるという考えのもと、採用にあたっては銀行の内部事情や融資の仕組みを熟知している『金融機関出身者』を充てるべきだと進言しました。
しかし高度な金融スキルを持つ優秀な人材を自力で採用することは容易ではありません。
同社は人材採用の領域でも豊富な実績を持つ船井総研に財務担当者の採用支援を依頼したところ、驚くべきことに採用活動開始からわずか2〜3ヶ月という異例のスピードで、条件に合致する「銀行出身の30代の優秀な人材」の採用に成功したのです。
さらに銀行出身の財務専任者が入社したことで、「イノベーションラボ」という部署が創設されました。
単なるお金の計算係ではなく、財務の視点から企業の新たな価値や事業を創造していくという強い決意が込められ、現在社長直轄の組織として機能しています。
伊藤常務は「彼が入社してくれたことで会社としての戦略の精度が格段に上がり、明らかに社内の空気が変わった。本当に頼りになる強力な戦力を得ることができた」と、その変化を肌で感じており船井総研の採用支援に対しても深い感謝の意を表しています。

今後の展望について
攻めの財務体制が切り拓く「創出型建設業」としての新たな挑戦
盤石な財務基盤と優秀な人材を得た中村土建株式会社様は、現在売上高200億円、300億円という次なる壮大な目標に向け、力強い一歩を踏み出しています。
補助金を活用した新社屋の建設と投資計画を通じて同社が目指す未来のビジョンは明確になり、今後は自らが企画立案から携わるPFI事業の運営などに積極的に関与し、新しいビジネスモデルや収益基盤を自らの手で創り出す、「デベロッパー」に近い立ち位置へと事業構造を進化させていく計画です。
また建設中の新社屋は単なるオフィス空間にとどまらず、最先端の「ICT・DXの事業拠点」として設計されており、自社が実践する最新のデジタル施工管理やスマートオフィスの実例を、顧客に直接「見て、体感してもらう」ことで、次の受注へと繋げる「ショールーム型マーケティング」を展開する予定です。
中村土建株式会社様は今回のプロジェクトにおける「攻めの財務体制」を原動力に、同社の地域社会を巻き込んだ新たな飛躍の歴史が幕を開けようとしています。
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