壮大なゴールから逆算することで、クラブの未来像が具体化した成長戦略策定の全容

株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ

業種:サービス業(スポーツクラブ運営)
壮大なゴールから逆算することで、クラブの未来像が具体化した成長戦略策定の全容

株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ

代表取締役社長

森井 悠氏

企業情報

会社名
株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ
事業内容
スポーツ、健康教室に関する事業、スポーツ選手の育成に関する事業、指導者の育成に関する事業等

企業紹介

地域の夢を育む

株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ様は、岡山をホームタウンとしてトップチームの運営、試合興行、スクール事業、指定管理事業などを通じ、スポーツが地域にもたらす価値を広げ続けてきたクラブです。
クラブ理念として「子どもたちに夢を!」を掲げ、競技成績だけでなく地域に根ざした活動を通じて、子どもたちや地域社会に前向きな影響を届けることを大切にされています。

2006年の設立以降、同クラブは岡山の多くの人々に支えられながら歩みを重ね、2009年にはJ2昇格、そして2024年にはJ1昇格の権利を勝ち取り、2025年からJ1の舞台で戦う新たなフェーズへと進まれました。
2026年にはクラブ創設20周年という節目も控えており、まさに歴史の積み重ねの先に、次の成長局面を迎えているタイミングにあります。

同クラブの特徴は、サッカークラブとして勝敗を競うだけでなく、地域とともに価値を育てる存在であり続けようとしている点にあります。
クラブの活動指針としても、「最高の選手と子どもたちが仲間になる」「家庭と地域と学校の三者が協働できる社会づくりに貢献する」「岡山の誇りとなる存在になる」といった考え方が明確に示されており、地域貢献そのものが事業の土台になっています。

その一方でJ1という新たなステージに進んだ今、これまでの延長線上だけでは困難な成長が求められるようになっています。
クラブとしての志や理念を守りながらも、より大きな規模で、より速いスピードで成長していくために、中長期での構想を整理し、組織として実行できる形へ落とし込む必要がありました。
今回のロードマップ策定は、そうした変化の入り口に立つクラブにとって、未来の姿を具体化する重要な取り組みとして位置づけられていました。

当時の課題

J1挑戦と成長課題

森井社長が今回のプロジェクトを進める必要性を感じられていた背景には、J1昇格という大きな転機がありました。クラブとして新たな舞台に立つ以上、事業規模も組織のあり方も、このままではいずれ大きな壁に直面する。そうした危機感が、今回の中長期ロードマップ策定出発点になっています。

特に課題として認識されていたのは、人的・金銭的リソースに限りがある中で、いかに持続可能な成長を実現するかという点です。
親会社を持たないクラブである以上、外部から潤沢な資本や人材が自動的に流れ込むわけではありません。

だからこそ自分たちで未来を構想し、自分たちでその成長の道筋を描かなければならない難しさがあり、森井社長も、「従来の延長線上ではない成長を遂げるためのパートナーが必要でした」と振り返られています。

また、長く同じ組織・同じメンバーで運営していると、どうしても発想が内向きになりやすく、新しい視点や大胆な打ち手が生まれにくくなるという課題もありました。トップチームの興行を中心とした既存事業をどう伸ばすかだけではなく、その周辺にどのような新しい価値を生み出せるか、どこに投資し、どこを強化していくべきかを整理する必要がありました。

さらに組織面では、人事評価制度が属人的な運用になっていたことも大きなテーマでした。
社員が安心して挑戦し、外に向かってクラブの価値を伝えていくためには、まず内側の組織基盤が安定していることが欠かせません。制度や仕組みを整えることは、単なる管理のためではなく、クラブが次の成長を目指すための土台づくりでもありました。

そのような中で船井総研を選定いただいた理由には、信頼できる人的ネットワークと、スポーツビジネス領域への専門性への期待がありました。
学生時代からの関係性に加え、スポーツビジネスへの取り組みを強化していたタイミングが重なり、「経験豊富な外部パートナーとともに、スピード感を持って成長したい」という思いが後押しになったことがうかがえます。

単なる計画づくりではなく、クラブの可能性を広げるための伴走相手として、船井総研に期待を寄せていただきました。

支援イメージ

【PMVV】

【事業成長戦略】

【人員数計画】

【財務戦略】

ロードマップ策定の成果①

理念と組織の可視化

今回のプロジェクトにおける一つ目の成果は、クラブがもともと持っていた強みを、感覚ではなく“見える形”で再確認できたことです。支援の中ではPMVVの整理や、組織の状態を可視化する取り組みが行われ、社員がクラブの理念に対して高い共感を持っていることが明らかになりました。

森井社長は、「社員が理念を本当に大切にしていることが見えたのは、大きな自信になりました」と受け止めておられます。
成長戦略を描くうえでは、足りないものに目が向きがちですが、同クラブにおいては、すでにある理念共感の強さこそが将来の成長を支える土台であることが確認できました。

また、この可視化は理念面だけにとどまらず、人事評価制度をはじめとする、これまで属人的に運用されてきた部分を整備していく必要性もより明確になりました。

森井社長が考えられていた「社員が安心して働ける環境づくり」は、単なる制度設計ではなく、クラブが次のステージに進むための基盤整備でもあります。
理念への共感という強みを確かめると同時に、その強みを持続的な成長へつなげるための組織土台を整える方向性が見えたことは、大きな成果だったといえます。

ロードマップ策定の成果②

逆算思考への転換

二つ目の成果は、今あるものを積み上げる発想から、10年後のあるべき姿から逆算して今を考える発想へと転換できたことです。

これまでの延長で少しずつ成長していくのではなく、「100億円規模のクラブになる」「その先にはヨーロッパ市場に伍するクラブを目指す」といった壮大なゴールを先に描き、そこから必要な打ち手を洗い出していく。この視点の変化が今回のロードマップ策定の核心でした。

森井社長も、「10年後の壮大なゴールを先に決め、そこから逆算して今を考える。この視点の転換こそが、今回得た最大の収穫です」と語られており、遠い未来を具体的に描くからこそ、今の打ち手の解像度が上がり、何に投資し、何を強化し、何を捨てるべきかが明確になりました。

この変化は計画策定にとどまらず、経営の思考様式そのものに影響を与えており、目の前の課題への対処だけではなく、将来のクラブ像から見たときに今の自分たちは何をすべきか。そうした問いを持てるようになったことは、今後の意思決定の質を大きく変える成果だと考えられます。

特にJ1という新たな舞台に立った今、過去の成功体験をなぞるだけではなく、未来から逆算して経営判断を行う視点を持てたことは、クラブにとって大きな転換点になったと思われます。

ロードマップ策定の成果③

事業価値と実行基盤

三つ目の成果は、クラブの事業価値をより広い視点で捉え直すと同時に、それを実行に移すための基盤づくりに着手できたことです。

これまでスポンサー営業は、どうしても広告枠の販売という枠組みで見られがちな面がありましたが、今回のプロジェクトを通じて、クラブが地域に提供できる価値はそれだけではなく、地域の人々がスポーツに触れる機会を生み、地域企業やパートナーと新たな関係性を築く存在でもあることが改めて整理されました。
その結果、営業活動においても、既存の枠組みを前提にするのではなく、「クラブだからこそ提供できる価値は何か」を起点に考える視点が生まれています。

トップチームの勝敗や広告露出の量だけではなく、地域との接点、共感、巻き込み力といった無形資産まで含めて、クラブの価値を再定義できたことは、今後の事業拡大に向けて大きな意味を持ちます。

さらに、こうした価値を継続的に発揮していくには、組織の内側が安定していることが不可欠です。
森井社長の「社員が安心して挑戦できる制度が整えば、その分外に出て、より多くの方にクラブの価値を伝えていけるはずです」という言葉からも分かるように、制度整備は守りのためだけではなく、攻めの成長を支える準備でもあります。

事業価値の再定義と、それを支える実行基盤の整備が並行して進み始めたことは、今回のロードマップ策定が“絵に描いた計画”ではなく、現実の成長に結びつくプロジェクトであったことを示しています。

今後の展望

100億クラブのその先を見据えて

今後について森井社長は、100億円規模のクラブ、さらにはその先のマーケットでも存在感を示せるクラブを目指していきたいと語られています。
J1昇格はあくまで通過点であり、本当に重要なのは、その先も持続的に成長できるクラブになること。
だからこそ今回策定したロードマップをもとに、スピード感を持って実行を重ねていくことが大切になります。
また、親会社を持たないクラブだからこそ、クラブの内側だけで完結するのではなく、多様なパートナーと建設的に議論しながら可能性を広げていく姿勢も、今後ますます重要になります。

今回のロードマップ策定は、単に数値目標を置くための取り組みではありません。
クラブの理念、組織の土台、事業の可能性をあらためて整理し、「どこへ向かうのか」を明確にするためのプロジェクトであり、森井社長が語られるように、「大きな目標を掲げ、自分たちの発想の枠を超えて考えること」が、組織を次のステージへ押し上げる原動力です。

株式会社ファジアーノ岡山スポーツクラブ様は、地域に夢を届けるクラブとしての原点を大切にしながら、J1のその先、そして100億円規模のクラブを見据えた新たな成長フェーズへ、着実に歩みを進めています。

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