11年で売上16倍 166億円に達した多角化戦略
100億企業への道 成長を加速させるヒント
物価の高騰や深刻な人手不足、不安定な為替、地政学リスクなど、さまざまな不安要素が日本中を覆っています。こうした厳しい状況下において、東京商工リサーチの調べによると、2025年の企業倒産は1万300件にのぼり、4年連続で増加しています。
このような逆風のなか、力強く業績を伸ばしているのがALLAGI(アレジ)株式会社です。
10年前に12億円だった売上高はおよそ166億円へと拡大し、競争の激しい関西の市場でシェアを獲得、東京への進出も果たしました。2025年度の決算では、売上高210億円を見込んでいます。
同社の強みは、同業他社と「同じことをやって違う結果を出す」体制にあります。
その原動力こそが、「人が育つ多角化戦略」です。同社は経営の目的を「人を育てること」と定め、売上高以上に、人が伸びる環境づくりを意識した経営を行っています。
人が成長するためには、挑戦できる環境が欠かせません。
おのずと事業を任せられる人を育て、新規のサービスへと手を伸ばすなかで、社員が幹部へと育っていく。
このサイクルが急激な成長につながったのです。
インタビュー&レポート
Company History
技術は一流でも経営は火の車、「脱下請け」志した2代目
大阪市に本社を置く建築・不動産業のALLAGI(アレジ)株式会社。
同社のルーツは、先代の谷上博夫氏が1971年に創業した「谷上工務店」です。
当時は社員全員が大工という職人集団であり、大手ハウスメーカーの下請け工事を中心に生計を立てていました。日本に数多く存在する、典型的な地域密着型の工務店そのものでした。
現場での評価は常にトップクラスであり、2002年、2004年と立て続けに「 施工部門顧客満足度コンテスト」で全国上位に入賞しました。職人としての腕は、間違いなく一流だったといえるでしょう。
しかし、どれだけ現場で汗を流しても会社の経営状況は芳しくありませんでした。
阪神淡路大震災の復興需要が一巡した関西の住宅市場は一気に冷え込み、ハウスメーカー間の熾烈な値下げ競争が勃発していました。
元請けからのコストダウン要求が、末端の工務店へと容赦なく押し寄せました。断れば仕事がなくなりますが、価格決定権は元請けにあるため、受ければ赤字になります。
そんな板挟みのなかで厳しい経営を続けていました。
そのような環境のなか、2001年に現社長の谷上元朗(たにうえ・もとあき)氏が入社しました。
小さなゼネコンで現場監督として働いていた元朗氏が家業に戻るきっかけとなったのは、創業者である父親からの何気ない一言でした。
「お前、いつまで勤めてるんや」。
その言葉の裏に、経営の厳しさと父親の弱気を感じ取ったといいます。2006年、谷上元朗氏が2代目社長に就任。
行ったのは、長年染み付いた「 下請け体質 」からの脱却でした。
元朗氏は弟の富彦氏と共に、私財500万円を投じて建築コンサルを導入。そこで経営の原理原則を叩き込みました。
時期を同じくして、注文住宅事業部「STYLE HOUSE」を発足。これが、現在のALLAGIへと続くスタートラインとなります。
Turning Point
常識破りの「多角化戦略」人を育てるためのコングロマリット企業へ
■ 経営の目的は人を育てること
同社の経営で最もユニークなのは、コングロマリット化の原動力が業績向上ではなく「 人材育成 」にあるということです。ALLAGIの多角化の起点は「人の成長」にあります。
同社の理念は「人を創り、世の中をよくする」。すなわち経営の目的を「 人の成長 」と定めました。
この「人の成長のために事業を作る」という逆転の発想こそが、同社の成長エンジンと言えます。
通常、企業が多角化を行う目的は、企業価値を高めるための収益源の確保やリスク分散が中心で、そのために人を育てます。
しかし同社の場合は人を育てるため、社員が輝くための「ポスト」を作るために新しい事業を生み出しています。
優秀な社員であるほど、同じ仕事に3年、5年と携わるとどうしても慣れや成長の鈍化が見られます。会社が新しい挑戦の機会を提供できなければ、外部に流出してしまうかもしれません。
そうした中だるみを防ぎ、社員に常に高い目標とやりがいを提供し続ける。そのための施策が、結果として「多角化」だったのです。
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